次の日
椿
………
莉桃
………椿君?
莉桃
今日どうかしたの?
莉桃
朝からずっとぼーっとしてるけど………
椿
え?
椿
そ、そうかな、?
椿
気のせいじゃ………
莉桃
………もしかして………
莉桃
………愛杏先輩のこと、?
椿
!
椿
………うん、
紫音
………
紫音
だ、大丈夫だよ!
紫音
凪咲君も最後は気のせいかも、みたいな事言ってたんでしょ?
紫音
じゃあ気にしなくてもいいよ!
椿
……そう………かな、?
椿
…………
椿
………うん、そうだね、笑
椿
(気にしなくていい………)
椿
(わかってる………)
椿
(………わかってるけど………)
椿
(どうしてこんなに引っ掛けるんだろう、)
椿
(心の中の僕は一体愛杏君に何を思ってるの、?)
椿
(何が引っ掛けるの、?)
椿
………何が、ボソッ
莉桃
………
椿
………
麗音
よっす、椿〜
椿
!
椿
た、橘先輩、!
麗音
堅苦しいな〜
麗音
麗音でいいぞ
麗音
敬語も使わなくていいから
椿
あ、………
椿
………じゃ、じゃあ麗音君、
椿
あ、あれから真琴先輩とはどう、?
麗音
真琴とか?
麗音
………お陰様で仲直り出来た
麗音
まさか年下に背中を押してもらうことになるとはな〜
麗音
しかもその日に出会ったばっかりの!
椿
あ、あはは、
麗音
真琴も元通りだぞ
麗音
元の性格よりちょっと丸くなったけど
麗音
昨日みたいなのじゃないから安心してくれ
椿
そ、そっか………
椿
それなら良かった、
椿
じゃ、じゃあ僕はこれで、
麗音
ちょちょ、待った待った
椿
、?
椿
何、?
麗音
椿から何も聞いてないぞ〜?
麗音
俺はお前から話を聞くために声をかけたんだ
椿
は、話、?
麗音
そ
麗音
顔暗いけど、どうかしたか?
椿
!
椿
(出会ったばっかりの麗音君にまで見破られるなんて……)
椿
僕………そんなに顔に出てるかな、?
麗音
?
麗音
おう!
麗音
The・暗い顔って感じだぞ!
椿
そ、そっか、
椿
………
椿
じ、実は………
麗音
ほー、なるほど
麗音
愛杏ってのは昨日の奴だな?
椿
うん、
麗音
うーん………
麗音
俺はその愛杏って奴に一回しか会ってねぇから
麗音
なんとも言えねぇなぁ、
麗音
俺はすげぇいい奴そうだなとしか思わなかったし
椿
だ、だよね、
麗音
………でも
麗音
なんか、昔の俺を見てるみたいだった
麗音
真琴と無理に距離を取ろうとしてる、中学の時の自分を
椿
………
麗音
………人が自分を偽るときってのはな
麗音
誰かを傷つけないためだ
麗音
その誰かは自分自身の事かもしれないし
麗音
兄弟や友人かもしれない
麗音
誰かを傷つけないために自分を偽る愛杏ってやつは
麗音
椿の知ってる優しい愛杏って奴と同じじゃないか?
椿
………確かに……そう……かも、
椿
………うん、そうだね、
椿
………ありがとう、麗音君ニコッ
麗音
おう!
真琴
………おいお前
真琴
俺の麗音と何話してる
真琴
俺の親友奪うきか?
椿
え?
椿
あ、いや、えっと………
麗音
真琴、威嚇しちゃダメだ
麗音
それに、俺の方から話しかけた
麗音
椿は何も悪くない
真琴
………そうか
真琴
ならいい
真琴
……それより
真琴
愛杏がどこにいるか知らないか?
椿
え?
椿
あ、愛杏君……ですか?
椿
(な、なんてタイミング………)
真琴
あぁ
真琴
風紀委員のことでちょっと用があるんだが……
真琴
見当たらないんだ
麗音
まぁここ校舎広いもんな〜
椿
……じゃ、じゃあ………
椿
探すの………手伝いましょうか、?
真琴
は?
真琴
お前が?
真琴
お前風紀委員じゃねぇし………
麗音
まぁまぁ、いいじゃねぇか
麗音
椿が優しさで言ってくれてるんだから
真琴
………麗音が言うなら
真琴
………よろしく頼む
椿
は、はい、!!
椿
(麗音君すごいな………)
椿
(あの真琴先輩を一言で納得させちゃった………)
真琴
じゃあ俺は1年生の教室辺りを探す
麗音
んじゃ俺は2年生の教室辺りを探そうかな
椿
てことは僕は3年生の教室辺りですね
麗音
よし!じゃあ探すか〜
椿
………
椿
うーん………いないなぁ、
椿
後見てないところと言ったら……
椿
………あの空き教室かな、?
椿
いつもは閉まってるけど………
椿
………(扉のとってに手をかける)
椿
!
椿
………開いてる………((ボソッ
椿
…………
椿
………(そーっとドアを開ける)
椿
………チラッ(教室を除く)
愛杏
……………(窓から外の景色を眺める)
椿
!
椿
…………
椿
(………なんか………)
椿
(………いつもの愛杏君じゃない、)
愛杏
……………
愛杏
………スゥーッ(大きく息を吸う)
愛杏
うるさい
愛杏
いちいち頼るな
愛杏
鬱陶しい
愛杏
もっとハキハキ喋れ
愛杏
何が「流石委員長」だ
愛杏
自分の事は自分でやれ
愛杏
俺のノートばっかり頼りすぎ
愛杏
自分でちょっとはノートとれ
愛杏
俺の顔色ばっか伺うんじゃねぇ
愛杏
もっと真面目に授業受けろ
椿
……………
椿
(え、?え、??)
椿
(な、何、?今の………)
愛杏
……………
愛杏
はぁ…………
愛杏
……………(そろそろ戻るか、)
ガタッ
愛杏
!
愛杏
(………もしかして………)
愛杏
(…………誰かいる………のか?)
愛杏
…………(当たりを見回す)
愛杏
(誰もいない…………)
愛杏
…………気のせいか
椿
っ………はぁっ………はぁっ………
椿
あ、危なかった………
椿
………って、僕なんで逃げたんだろ………
椿
あのまま何か話したほうが良かったんじゃ………
椿
そもそも愛杏君の事を3人で探してたわけだし………
椿
うーん………戻ってみるのも1つの手………
椿
いや、でもな………
椿
うーん…………
愛杏
よっす
椿
うわっ!!!
椿
あ、ああ、愛杏君!!
愛杏
そんなに驚いてどうした〜?
愛杏
なんかあったか?
愛杏
悩み事があるなら聞くぞ?
椿
え、あ、う、ううん、
椿
大丈夫だよ、
椿
………愛杏君は
椿
………何か悩み事………ない?
愛杏
え?俺?
愛杏
俺は………
椿
………
愛杏
んー、特に何もないな
愛杏
強いていうなら最近有音達がかまってくれないことかな?笑
椿
あ、あはは………そ、そうなんだ、
椿
………あ、そうだ、!
椿
真琴先輩が探してたよ
椿
風紀委員のことで用があるって………
愛杏
んぁ?そうなのか?
愛杏
それ伝える為にわざわざ3年生の階を探しに来てくれたのか?
愛杏
ありがとーな
椿
あ、え、う、うん………
愛杏
んじゃ、俺は真琴達んとこ行くわ
愛杏
またな、椿
椿
う、うん、
愛杏
……………
椿
………はぁ……………
椿
…………(これからどうしようかな…………)
椿
(誰かに相談………?)
椿
(でも勝手にこの事話してもいいのかな………)
椿
(ていうかそもそも誰に相談すれば………)
優樹
あれぇ?
優樹
椿先輩!
椿
あ!
椿
ゆ、優樹君!!
椿
久しぶり!
優樹
久しぶりです〜!
優樹
中等部の方に何か用ですか〜?
椿
え!?
椿
ちゅ、中等部!?
優樹
はい!
優樹
ここ中等部ですよ〜
椿
う、嘘………
椿
(愛杏君のこと考えすぎて気づかなかった………)
優樹
………
優樹
………まだ朝休みが終わるまで時間あるし…………
優樹
話………聞きましょうか?
椿
え?
椿
………
椿
お願い………出来るかな、?
優樹
はい!もちろんです!
椿
…………
椿
(何から話そうかな、)
椿
………愛杏先輩って知ってる?
優樹
ああ!
優樹
高等部の風紀委員長さんですよね!
椿
うん、
椿
それでね、
優樹
な、なるほど………
優樹
うーん………
優樹
愛杏先輩の裏と表………
優樹
…………
優樹
…………椿先輩が見た愛杏先輩はどんな感じだったんですか?
椿
えっと………
椿
………とにかくすごく怖かった、
椿
なんていうんだろう………
椿
………心に溜まってるものを全部吐き出してる感じだった、
優樹
…………
椿
………でも
優樹
?
椿
…………なんか
椿
…………寂しそう………だったかも、
優樹
……なるほど………
優樹
………やっぱり、直接本人に言ったほうがいいんじゃないですか、?
椿
………やっぱり、?
優樹
少なくとも僕はそう思います、
優樹
外見のことは見てすぐにわかるじゃないですか、
優樹
……でも………
優樹
心の事は本人に聞いてみないとわからないですよ、
優樹
………まぁ世の中には
優樹
心の事が、自分自身にもわからない人がいますけどね、
椿
………自分自身にも………
椿
…………
椿
………決めた、
椿
僕愛杏君と話してくる、!
椿
………どんな結果になっても…………
椿
それでも僕は愛杏君の友達だから………
椿
だからしっかりと愛杏君と向き合ってくる、!
優樹
………そうですか、
優樹
頑張ってください!!
優樹
応援してます!!
椿
うん!ありがとう!
椿
行ってくるね、!
優樹
はい!
優樹
いってらっしゃいです!