｢Insanity｣

7話－結局－

俺は施設の奴らを殴って

追い出されてしまった。

母親と妹の時と同じような感覚だった

縄で腕を縛られ

思う存分殴り返された後、

土砂降りの中、夜の街に捨てられた。

お腹も空いて

濡れて体が冷たい。

土砂降りの中

たった1人だけ話しかけてくれた。

俺とほぼ変わらないくらいの見た目のくせに

ある店の代表取締役を名乗っていた。

冷たく接する俺に

自分のジャケットを脱いでまで

肩にかけてくれた。

クッションの上に座って

擦り寄るニブを撫でるシエルは

全く悲しそうではなかった。

シエルはニブに向かって話しかける

ニブに顔を舐められて

驚くシエルは、心を開いているようだった

そう言って軽く微笑むシエルは

今まで見た事が無いほど明るかった。

昔から独占欲の強いニブは

シエルと話す俺に嫉妬して

シエルを独り占めしようと縋り付く。

ニブは、うつ伏せで寝転ぶシエルの上に

乗っかって、落ち着いていた。