ドアを開ける。
床に倒れている澪。
朱里
朱里
澪
澪
朱里
とりあえずソファまで運ぶね
ケーキボックスを置き、 澪をおぶってソファまで 移動する
朱里
澪
動けなかったの。ありがとう
朱里
頭痛薬持ってくるね
澪
朱里
澪の手が 私の服の裾を掴む
澪
朱里
薬取ってくるだけだよ
澪
朱里
澪が俯いていて 顔がよく見えない
澪
朱里
澪
朱里
澪
そう言って澪は 電池が切れたかのように 寝てしまった。
朱里
薬と水を持ってきたが 澪が起きる様子は無い。
玄関に置きっぱなしだった ケーキボックスを冷蔵庫に しまい、
澪が目覚めるまで 側にいることにした。
朱里
朱里
カーテンの隙間から漏れる光で 今が夕方なのがわかる。
澪が目覚める前に 夕飯を準備しようと思っていた
しかし、隣で寝息を立てている澪につられて私もいつのまにか 寝てしまっていた。
澪
澪
澪の隣に座ったまま 寝ている朱里がいた。
澪
澪
不思議な夢を見たの
何度も見た夢なのに 今日は少し違ったの
澪?
澪?
冷たい廊下に1人、裸足の澪 いるはずもない「先生」を ひたすらに探す昔の「私」
いつもなら、 ここで夢が終わるはず
朱里?
澪
澪?
夢の中の私は朱里に駆け寄った。
澪
面白い夢だなぁ)
澪
もう少し髪が、)
澪
あれ...先生の顔が思い出せない。
朱里?
澪?
おべんきょーいや
朱里?
澪?
澪?
「 」のためなら...
朱里?
私と「先生」と呼ばれる朱里が手を繋いで歩いていく
澪
澪
澪
隣で寝ている朱里を見て思う、
私は甘え続けていいのかな
朝起きたら私が 朱里と過ごした時間を忘れてて
その度に同じことを説明して 何度も、
何度も何度も何度も何度も何度も
私に忘れたくない 思い出を作ってくれるのかな
朱里には幸せになってほしい
澪
澪
澪
もう一度話せてよかった。
青い海月のキーホルダーを握って、玄関のドアを開けて外に一歩出る
なんもない、ドアの閉まる音が
もう戻れないと、 そう強く思わせた。