TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

エキザカム

一覧ページ

「エキザカム」のメインビジュアル

エキザカム

4 - 第4話

2024年06月20日

シェアするシェアする
報告する

美羽side 剛に右目の件を話した翌日。 右目は念の為眼帯をつけ、 今日の仕事を済ませようと 台所に立った。

美羽

あ、醤油とみりん切らしてたんだった。

近くのスーパーに行こうと スマホとお財布をカバンに入れ 冷蔵庫の中にある食材を 確認しているものをメモに書き そろそろ出ようかと準備してたら 誰かから電話が来た。 画面を見ると剛からの電話だった。

椎葉

『もしもし?いま大丈夫?』

美羽

うん。なんかあったん?

椎葉

『玄関のドア開けて。』

美羽

え?

椎葉

『いいから。』

美羽

ちょっと待って。

慌てて玄関のドアを開けると スーツケースを抱えて スマホを耳に当てている 剛の姿があった。

美羽

え?今日試合あるとか言ってなかったっけ?

椎葉

コーチに話したらはよ彼女のとこ行ってあげろって。やから飛んできた。

美羽

まぁ、とりあえず中どーぞ。

椎葉

お邪魔します…

リビングに招き入れ お茶を机の上に置いた。

椎葉

あ、どっか行く予定あった?

美羽

そんな大したことじゃないんだけど、醤油とみりんを買いに行こうとしてた。後、人参とコンソメスープに…

いるものを淡々と話してると すぐさま止められた。

椎葉

とりあえずいるものはわかった。俺買ってこよっか?

美羽

いま帰ってきたばっかなんだし、疲れてるから私買いに行ってくる。

椎葉

目は?

美羽

日常生活ならなんともないし、大丈夫。

多少不便なとこもあるけど なんとかなる状態。 料理も掃除も時間はかかるが 1人でも生活ができていた。 そんなこと考えながら 剛の顔を伺ってると 目元に涙の跡のような ものがあった。

椎葉

なんかついてんの?

美羽

いや、特に何もない。

椎葉

なんやねんそれ。

美羽

まぁしいって言えば、泣いた跡がある。

なにか心当たりがあるのか 目を元乱暴に擦りだした剛。 濡れたタオルを彼に渡して 話を聞こうとすると口篭り出した。 喋りにくそうだったから 台所にたって 剛の好きな飲み物を机の上に置いた。

椎葉

右目って治るの?

美羽

多分。

椎葉

病院の先生は?

美羽

治療すれば治るって。

椎葉

ていうか病名って何?

美羽

感染性角膜炎。先生の話じゃ軽いヤツらしい。

椎葉

感染性…?

美羽

感染性角膜炎。

なんのことか分からない様子だったから この間眼科の先生が 話してた内容を 覚えてる範囲で話し始める。 全て話終えると 何を思ったのか分からないが 両手を広げて 私を引き寄せてきた。

美羽

え?あ、

椎葉

ん?なに?

美羽

洗濯物あるだろうし、洗おっか?

椎葉

もう少し待って。あと10分。

しばらく何も言わずに 言われるがまま抱きしめられた。 彼がここまで言うのは珍しく 少し戸惑っていると 私の顔を覗き込むように 見つめてきた。

椎葉

1個だけお願いしていい?

美羽

なんでもどーぞ。

椎葉

これからは頼ってな。絶対。

美羽

…充分頼らせてもらってますよ。

椎葉

ううん。まだ。

美羽

なんでも言ってるんやけど…

椎葉

付き合い初めて最初らへんは熱出てもなんも言わへんかったけど。

美羽

言うようになったで。

椎葉

大喧嘩した時からね。

付き合って1年目の時に 記念日間際に 私が風邪拗らせて肺炎になり それを黙っていたら どこからか聞きつけた剛が 病室に駆け込んで 鬼の形相で喧嘩になった。 黙っていた私も悪かったが その時のお互いのすれ違いもあり 不満を全てぶつけてしまった。 お互い言い過ぎてしばらく 距離を置いて 様子を見ていたが 喧嘩した翌日に剛がやってきて 仲直りをして 今でも仲良くしてもらっている。

美羽

あんなに怒った剛初めて見た。

椎葉

俺も美羽がキレてんの初めて見たもん。

美羽

あれ以来大きな喧嘩あんましてないよね。

椎葉

まぁたしかに。

美羽

あ、それよりも醤油とみりん買ってこないと。私仕事できない。着いてきて。

椎葉

うん。いいよー

美羽

今日泊まるの?

椎葉

いいの?

美羽

外泊届け出してるんだったら。

椎葉

あー、それ…

何か言いかけた時に タイミングよく剛のスマホに 電話がかかってきた。 慌てて電話に出る剛の横で 買い物に必要なものを 玄関に持っていく。 リビングに戻ると いつの間にか電話が終わったのか ソファで座って ボーっとしていた。

美羽

剛なんかあったん?

椎葉

あ、トイレ行ってたのかと思ってた。さっきの電話の話なんだけど…

同期の方から連絡で 遠征に行っているコーチから 電話があり 外泊届を代わりに出しておいたから 彼女さんの手伝いしてあげてのこと。

椎葉

やから泊まっていい?

美羽

いいよー。お昼ご飯何がいい?

椎葉

これ食べたい。

そう差し出してきたのは 親子丼だった。 彼の希望を聞き入れ メモに追加で必要なものを書き スーパーに向かうのだった。

次の日

美羽

来てよかったの?こんな裏側に来ちゃったけど…

椎葉

うん。監督とコーチ、それにスタッフさんの許可貰ってる。後、美羽の事情を話したら心配だろうから連れてきてって。

剛によれば 私の目の様子を心配してくれ 1人じゃ不安だろうからとの事。 申し訳ないと思いつつ 剛に手を引かれながら 廊下を進んでいくと 誰かが剛に話しかけた。

石黒

あ、剛この子?彼女さん。

椎葉

うん。美羽この人が同期で同い年の石黒佑弥。

美羽

佐々木美羽です。いつも剛がお世話になっております。

石黒

いえいえこちらこそ。

椎葉

可愛いでしょ?

美羽

ちょっと。

森木

剛さん監督呼んでましたよ〜

石黒

この子剛の彼女さんだって。

森木

あ、剛さんがお世話になってます。

美羽

こちらこそお世話になってます。

森木

剛さん、彼女さんしっかりしてますね。

椎葉

でしょ?

美羽

それより監督さん呼んでるんじゃ…

石黒

監督どこにいるの?

森木

ベンチ裏のとこで待っといて欲しいって言ってました。あと彼女さんも一緒にって。

椎葉

了解。美羽いこ。

美羽

あ、うん。それじゃお先失礼します。

石黒

はーい。

剛の案内の元 監督が待つベンチ裏にやってきた。 まだ監督が来ていなかったらしく その場で話しながら 待っていると 監督らしき人が話しかけてきた。

椎葉

監督お疲れ様です。

2軍監督

この子が例の?

椎葉

そうです。

美羽

佐々木美羽と申します。剛がいつもお世話になっております。

2軍監督

いえいえこちらこそ。それでな、椎葉。

椎葉

はい。

剛に頼み事を託していて 私は半分聞いていなかったが しばらく上の空で聞いていた。 すると私に話を振られ 耳を傾ける。

2軍監督

それで、彼女に頼みがあるんだけど…

美羽

はい。私に出来ることなら。

2軍監督

多分この後スタッフから話あると思うけど寮の栄養士の仕事引き受けてくれんやろか…

美羽

え?

椎葉

そう。最近いた栄養士さん産休でお休みしてて。

2軍監督

んで、剛が『僕の彼女フリーで料理研究の仕事してるんですよね。』って言ってたから。あと俺の奥さんも彼女さんの本とかよく見てるから。それをスタッフに話したら話させてくれって言われて。

詳しい話を聞いて 仕事を受けようか迷ってしまう。 今の仕事も有難い事に 色々な番組やSNSに上げさせて 貰っていた。 それと並行してここの栄養士を 受けるとなると 私の身体が持つか分からないのが 1番の不安。

2軍監督

でも今すぐに決めなくて大丈夫だから。椎葉とよく相談して欲しい。

美羽

はい。

椎葉

監督質問なんですけど、彼女どこで待機させとけばいいですかね?

2軍監督

そうやな…ブルペンのとこでいいよ。そっちの方が安心でしょ?

椎葉

そうですね。わかりました。

2軍監督

答えが出たら椎葉に伝えて欲しい。

美羽

わかりました。考えておきます。

2軍監督

それじゃ椎葉頼んだ。またなんかあったら呼んで。

椎葉

はい。

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚