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ななか
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ななか
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翌朝
翠と優杏が通う私立女子中学校
先生
先生
教室中がざわついた
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイト
生徒たちの言葉に、先生は眉をひそめる
教室の空気が、少し重くなった
藤野 翠
思わず声が大きくなる
私以外はみんなもうすでに起きていて、 おばあさんは窓から差し込む光を浴びながら にっこり笑った
おばあさん
翌朝。っていうか昼
やっっと起きて身支度を済ませた私・翠は まだアホ毛が立ってる頭を二人に向かって 下げていた
広瀬 優杏
優杏が食卓を指差してそう言った
そこにはパンやスクランブルエッグ、 焼きソーセージなどの朝ご飯の残りが ラップに包まれて置かれてある
藤野 翠
いっつも遅れて起きて、 あまり食欲ない状態で 口にパンとかシリアル詰め込んで登校してた
藤野 翠
早寝早起き、朝ご飯もちゃんと食べる
おじいさんもおばあさんも 健康な生活してるな、と思った
広瀬 優杏
私が座ってパンを頬張っていると、 優杏がテーブルに置かれていた花を 見てそう言った
広瀬 優杏
優杏がおばあさんに尋ねる
おばあさん
おばあさんが静かに答えた
それを聞いた瞬間、私は少し噛むのを止めた
藤野 翠
私は胸のモヤモヤを誤魔化すようにパンを 一気に飲み込んで、優杏に明るく言った
藤野 翠
神奈川県警の捜査室
複数のモニターが整然と並び、 室内は静かな緊張に包まれている
若手警察官
若手警官がモニターに映る映像を 確認しながら、指先を軽く震わせて キーボードを叩く
先輩刑事は眉をひそめ、画面に集中している
若手警察官
ベテラン警察官
若手が打ち込む手の動きが少し早まる
若手警察官
モニターに、三重県伊賀上野駅での 通過時間が表示される
ベテラン刑事は軽く息を吐き、頷いた
ベテラン警察官
若手警察官
ベテラン警察官
刑事たちは、改札口付近の防犯カメラ映像を 拡大する
小柄な二人の女子中学生がリュックを 背負い、 不安げに周囲を見渡しながら改札を通る姿が 映っていた
ベテラン警察官
ベテラン警察官
若手刑事が眉を寄せ、無線機を手に取る
若手警察官
ベテラン警察官
ベテラン刑事は画面上の線路図を指で なぞりながら、深いため息を漏らす
ベテラン警察官
無線が短く鳴る
交番への指示が次々に飛び、 緊張した空気の中、 室内の時計の秒針の音だけが やけに大きく響いた
モニターに映る改札口には、二人の姿は もうなく、線路の先には深い森と田園風景が 広がっていた
ベテラン警察官
刑事たちは画面を見つめ、無言のまま 次の行動を考えていた
おじいさんに連れられて、私と優杏は畑へ やってきた
土の湿り気が足元に伝わる
おじいさん
広瀬 優杏
キュウリ、ナス、トマトに新ジャガイモ。 スナップエンドウにキャベツ
いくつもの夏野菜を三人でせっせと収穫して 籠へ入れていく
広瀬 優杏
藤野 翠
優杏は汗をかいてパタパタと手で顔を扇いだ
広瀬 優杏
藤野 翠
ヤバい
お願い、これはバレるわけにはいかないの
私はわざとゆっくり少しずつ右腕の袖を 捲り上げた
広瀬 優杏
優杏は不思議そうにしたあと、 すぐまた作業に戻った
私はホッとして、自分もまた収穫を始めた
汗の匂い、土の香り、畑の緑――。 小さな達成感と日常の穏やかさが、 ふと心を満たす
おじいさん
藤野 翠
おじいさんは畑の奥の方へ歩いて行った
太陽はどんどん上がり、 気温も高くなっていく
広瀬 優杏
藤野 翠
二人でそんなことを呟きながら、 野菜を籠に入れた
藤野 翠
私が手で顔を扇いでいると
広瀬 優杏
藤野 翠
翠が指差したのは、私の左腕
そこには、いくつもの細長い赤い傷跡
私は無意識に左腕まで袖を 捲ってしまったらしく、 日頃は隠していた傷口が 露わになっていた
藤野 翠
気をつけてたのに、今まで家族にも 隠し通せてたのに
暑さで思考が鈍ってたのかな
どうしよう、なにか言い訳……
……………駄目だ
普通の日常生活では絶対に付かない傷
誤魔化せない……
広瀬 優杏
いつも通りの口調で優杏は言った
それからは私の腕の傷をまじまじと 見ることはなく、収穫しながら私に問う
藤野 翠
認めるしかなかった
藤野 翠
藤野 翠
優杏と目が合わない
私は腕を隠すように握った
とりあえず呼気を整えようと深呼吸をする
藤野 翠
掠れた声でそう言った
広瀬 優杏
無かったことにしてしまいたいと そう言った途端、少し強く名前を呼ばれた
なんて言われるんだろう
広瀬 優杏
藤野 翠
急に何言い出すの
広瀬 優杏
広瀬 優杏
広瀬 優杏
広瀬 優杏
やっと優杏は私の顔を見た
広瀬 優杏
藤野 翠
たしかに。なんでだろう
専門家レベルの解説してた
広瀬 優杏
藤野 翠
優杏も?
それに十人に一人、って……
広瀬 優杏
広瀬 優杏
藤野 翠
藤野 翠
リスカのこと、誰かに初めて話した
すっと心が軽くなったのを感じる
風が吹いて、さっきまで気になっていた 暑さが少しだけ遠のいた気がした
おじいさんが持ってきた分も加えると、 籠はすぐ野菜で山盛りになった
おじいさん
広瀬 優杏
ぐで〜とバスケ部の優杏が芝生の上に 寝っ転がった
文化部の私はもう言うまでもなくヘトヘト
それなのに、おじいさんは 息一つ乱れていない
広瀬 優杏
優杏が手招きする
藤野 翠
土の上にそのまま転がるなんて……
広瀬 優杏
広瀬 優杏
藤野 翠
納得して、私も優杏の隣に寝転んだ
藤野 翠
芝生は思った以上に温かくて、心地よくて
青空が綺麗だった
藤野 翠
広瀬 優杏
この穏やかな時間が、 ずっと続けばいいのに…
おじいさん
広瀬 優杏
おじいさん
藤野 翠
広瀬 優杏
藤野 翠
広瀬 優杏
広瀬 優杏
おじいさん
おじいさんは笑って野菜の入った籠を持った
おじいさん
広瀬 優杏
優杏は一足先に勢いよく立ち上がり、 ゆっくりと私の手を引いてくれた
立ちくらみの心配をしてくれたのだろう
藤野 翠
広瀬 優杏
藤野 翠