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私の一生分の愛をキミにあげる

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私の一生分の愛をキミにあげる

1 - 私の一生分の愛をキミにあげる

♥

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2019年08月20日

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7月14日

病室

コンコンッ

轟 優奈

はーい。どうぞ。

島根 塔矢

…よぉ。

轟 優奈

あ、塔矢(とうや)!

轟 優奈

来てくれたんだ〜!嬉しいな〜♪

島根 塔矢

別に…。

轟 優奈

もー。冷たいなぁ。

島根 塔矢

…。

轟 優奈

…。

島根 塔矢

体、、大丈夫なのか?

轟 優奈

ん?、、あぁ。多分?

島根 塔矢

多分て、、

轟 優奈

あはは笑、、よく分かんないんだよね。

轟 優奈

自分では、平気なんだけど。

島根 塔矢

…そっか。

轟 優奈

あ、でもね!来週、、なんと!

轟 優奈

退院できることになったの!

島根 塔矢

…まじで?!

轟 優奈

ふふっ♪そうなの!

轟 優奈

だから、、その、、

島根 塔矢

なに?

轟 優奈

た、退院したら、、さ

島根 塔矢

何だよ。

轟 優奈

わ、私と、、旅行に行って、、ほしい。

轟 優奈

です。

島根 塔矢

…は

轟 優奈

あ、いや、、嫌だったら良いの。

轟 優奈

別に、、うん。

島根 塔矢

良いよ。

轟 優奈

…え?

轟 優奈

行ってくれるの!?

島根 塔矢

…だから、そう言ってるだろ。

轟 優奈

やった〜!

轟 優奈

ふふっ♪楽しみだなぁ!

轟 優奈

来週が、待ち遠しい!

轟 優奈

あ、それでどこ行く!?

島根 塔矢

一旦落ち着け。

轟 優奈

…あ、ごめん。嬉しくて、、つい。

島根 塔矢

…ふはっ笑

轟 優奈

え?、、なに?!

轟 優奈

何で、笑うの?!

島根 塔矢

シュンとしたとことか、犬見てだなーって。

轟 優奈

むぅ!

島根 塔矢

そこ!笑

轟 優奈

え?

轟 優奈

どこ〜?!

轟 優奈

あ、それで、いつ行く?!

島根 塔矢

えっと、お前が退院するのが、1週間後で、7月21日だから、、23日とかは?

轟 優奈

うん!じゃあ、その日行こ!

島根 塔矢

分かった。

島根 塔矢

つか、そろそろ帰るな。

轟 優奈

うん!

轟 優奈

またね!

島根 塔矢

じゃあな。

轟 優奈

塔矢ー!

島根 塔矢

何?

轟 優奈

冷たいなぁ。

島根 塔矢

こっちは、勉強中。

轟 優奈

あははっ。まだ大学生だもんね〜。

島根 塔矢

はっ。大人は良いよな勉強しなくても良いし。

轟 優奈

あのねぇ。

轟 優奈

物凄く年の離れた年の差カップルみたいなこと言わないでよ!

島根 塔矢

でも、年は違うだろ?

轟 優奈

キミが、20歳で
私が、23歳で、

轟 優奈

たった、3歳違いでしょ!!

島根 塔矢

まぁな。

轟 優奈

「まぁな」て、、。

轟 優奈

軽いなぁ!

島根 塔矢

そーいや、退院したら仕事復帰すんの?

轟 優奈

まあね〜♪

轟 優奈

めんどくさい、、。😓

轟 優奈

てか、それがどうかしたの?

島根 塔矢

…別に。

轟 優奈

もー。教えてくれてもいいじゃない!😠

島根 塔矢

…旅行に行った時に、教えてやるよ。

轟 優奈

約束だからね!

島根 塔矢

あぁ。

轟 優奈

…あ、ごめん。そろそろ消灯時間だから、、終わるね。

島根 塔矢

ん。

轟 優奈

おやすみ💤

島根 塔矢

おやすみ

7月23日

轟 優奈

ふふっ、今日は塔矢と旅行だー!

轟 優奈

楽しみ♪

コンコンッ

轟 優奈

はーい。

お母さん

…優奈。

轟 優奈

あ、お母さんどしたの?

お母さん

薬、、持った?

轟 優奈

持ったよ。

お母さん

体調は?大丈夫?

お母さん

しんどいんだったら、今日は、、

轟 優奈

もー。大丈夫だって!

轟 優奈

心配しすぎだよ!

お母さん

だって、年下の彼氏なんて、、

轟 優奈

だから〜。年下とか年上とか、関係ないじゃん。

お母さん

でも、、。

轟 優奈

だから、心配しないでっ!私は大丈夫だからさっ!

轟 優奈

ほら、出てって〜!

轟 優奈

また、後でね!

お母さん

…えぇ。分かったわ。

パタン

轟 優奈

ふぅー。

轟 優奈

お母さんてば、私が病気してから、心配しすぎ。

轟 優奈

でも、、それだけ愛されてるのかな?

轟 優奈

ふふっ。なんか変な感じ笑

クラッ

轟 優奈

…っ!

轟 優奈

…ハァッ、、ハァッ

轟 優奈

ゴホッ、、ゴホッ、、

轟 優奈

…!?

手には、口から出たであろう血が付いていた。

轟 優奈

…っ!、、この事は、内緒にしておいた方が良いよね。

轟 優奈

…だって、、今日は旅行、、だもん。

これは、誰にも言っていない秘密。

私の余命は、1ヶ月も残っていない。

退院というのは、後の命を自由に生きるため。

私は、家族に秘密で、、塔矢にも。密かに決断した。最後の選択。

轟 優奈

…絶対、バレないようにしなきゃ。

ピンポーン

お母さん

優奈ー。塔矢さん来たわよー。

轟 優奈

はーい。

轟 優奈

今行くー!

お母さん

あの、塔矢さん。優奈のことお願いね。

お母さん

何処か変なところがあったら、直ぐに知らせてね。

島根 塔矢

はい。分かってます。

お母さん

優奈も、体調が悪かったら塔矢さんに直ぐに、、

轟 優奈

はいはい。分かってるって!

轟 優奈

行ってきまーす!

お母さん

もう。…まぁいいわ。

お母さん

行ってらしゃい。

島根 塔矢

はい。では。

轟 優奈

もー。お母さん話長すぎ!

島根 塔矢

ンなこと言うなよ。

轟 優奈

でも!早く行きたいの!

島根 塔矢

心配してくれてんだから、いいじゃねぇか。

轟 優奈

…そう言えばさ、塔矢の家行ったことないけど、、どんなとこ?

島根 塔矢

…。

轟 優奈

あ、ごめん。嫌なら、、

島根 塔矢

別に、、話しても何にも面白くねぇぞ?

轟 優奈

んー。なんか気になるから、話せるんなら話してよ。

島根 塔矢

…宿に着いてから話す。

轟 優奈

おけ!じゃ、聞かせてね〜。

島根 塔矢

…。

轟 優奈

(あ、あれ?黙っちゃった。
変なこと言っちゃったかな?)

轟 優奈

あ、ほら!早く駅行こっ!

轟 優奈

電車来ちゃう!

島根 塔矢

ん。

轟 優奈

え?

島根 塔矢

…荷物、、持つ。

轟 優奈

あ、いや悪いよ!

島根 塔矢

…いいから貸せよ。

轟 優奈

あ、うん、

轟 優奈

…ごめん

島根 塔矢

別にいーよ。

島根 塔矢

彼女の荷物くらい持たねーで、弟扱いされたら嫌じゃん。

轟 優奈

え?

島根 塔矢

…ほら、行くぞ。

轟 優奈

…うん///

宿に着いた。

轟 優奈

…いやー。疲れたねぇ。

島根 塔矢

…だな。

轟 優奈

外、真っ暗だ。

轟 優奈

ご飯も食べたし、温泉も入ったし!

轟 優奈

何する?!

島根 塔矢

…何って、何?

轟 優奈

ん〜。あ、そうだ。

轟 優奈

行きしにさ、塔矢の家の話宿で聞かせてくれるって言ってたじゃん!

轟 優奈

聞かせてよ!

島根 塔矢

…良いけど、、面白くもなんともねぇぞ?

轟 優奈

良いよ!聞きたいの!

島根 塔矢

…俺の親父さ、いつも暴力ふるいまくっててさ。

島根 塔矢

いつも、俺も、弟も、母さんも泣いてたんだ。

島根 塔矢

怖くて、怖くて。

島根 塔矢

でも、ある日いつものように、親父が暴力を振るおうとした時に

島根 塔矢

母さんが、庇ってくれたんだ。

島根 塔矢

…そしたら、それきり母さんは、動かなくなって。

轟 優奈

…それで?

島根 塔矢

…死んだ。母さんが死んでから15年経つ。

島根 塔矢

親父は今、刑務所出て、どっか行った。

島根 塔矢

だから、俺は心配される事も、愛された事も無いんだよ。

轟 優奈

…っ!

島根 塔矢

だから、俺が冷たい態度取ってるのはそのせいかもしれない。

島根 塔矢

…愛し方が分からねぇんだ。

轟 優奈

…っ!

島根 塔矢

俺が、お前を愛して、お前が傷ついて俺から離れて行ってしまうんじゃ無いかって。

島根 塔矢

…怖くて仕方ないんだ。

島根 塔矢

…って、、どした?!

轟 優奈

ポロポロ

島根 塔矢

何、泣いてんだよ!

轟 優奈

え、、泣いてる?

島根 塔矢

無自覚かよ。

轟 優奈

…多分。

轟 優奈

てか、ごめん。嫌、、だったよね。

轟 優奈

話すの。ごめん。無理やりさせて。

島根 塔矢

…良いよ。別に。

島根 塔矢

俺が、冷たい態度取ってるから、お前が傷ついてたら、嫌だなって思って。

轟 優奈

ううん。全然。傷つくわけないよ。

轟 優奈

キミはね、優しいよ。

轟 優奈

だから、傷つくわけないの。

島根 塔矢

…あっ、、そ。

轟 優奈

…じゃあ、私も言おうかな?

島根 塔矢

…何を?

轟 優奈

私の秘密。

それは、自身の病気のこと。

キミに無理やり言わせてしまったから、私も言うの。

島根 塔矢

…はっ

島根 塔矢

んだよ、、それ。

島根 塔矢

なんで、、それもっと早く言わなかったんだよ。

轟 優奈

ごめんね。キミにも私の家族にも言えなかった秘密。

轟 優奈

キミに言えて、少しは楽になったよ。

島根 塔矢

なぁ、治るんだろ?

島根 塔矢

…治るって言ってくれよ!

島根 塔矢

なぁ、、俺っ、俺!

轟 優奈

だから、、教えてあげる。

島根 塔矢

は?、、何を

轟 優奈

人の愛し方がわからないんでしょ?

島根 塔矢

…だから、、なんだよ、、

轟 優奈

教えてあげる。

轟 優奈

だから、この事覚えておいてね。

轟 優奈

私、以外の人とする時に役に立つから。

島根 塔矢

嫌だよ。俺は、、お前としか、、っ!

轟 優奈

私の一生分の愛を、、キミにあげる。

一年後

7月30日

島根 塔矢

…よぉ。

島根 塔矢

…返事くらいしてくれよ。

あいつはもう、この世には居ない。 冷たい石になって声も聞こえない。

あれから、7日後、、優奈は息を引き取った。

俺は、狂うように泣いた。

あの日、俺はあいつに『人の愛し方』を教えてもらった。

最後に、あいつは

轟 優奈

『必ず、私以外の人と幸せになってね』

って言ってた。

島根 塔矢

…なれると、、思うか?

島根 塔矢

無理に決まってんだろ。

島根 塔矢

俺は、お前がくれた『一生分の愛』で十分だよ。

島根 塔矢

だから、もし、生まれ変わって
また、会えたら、、

島根 塔矢

その時は、俺の『一生分の愛』をやるよ。

島根 塔矢

優奈

その時、ふと耳に聞こえた

轟 優奈

『ありがとう、塔矢』

島根 塔矢

…っ?!

辺りを見回しても誰もいない。

島根 塔矢

…空耳か?

島根 塔矢

…なんてな。

島根 塔矢

また、来年な。優奈

轟 優奈

『うん』

轟 優奈

『また、、来てね』

轟 優奈

『塔矢』

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