リョウ
村長が青ざめ逃げた理由は、レイラの髪と瞳の色が婆さんと同じだったからだった。
ケイ
まーそんな気してたけどw
ナギ
あん時の男たちの中の一人って、村長よく生きてたなー。
リョウ
それな。俺もこの話聞いた時てっきり呪われて死んじまったのかと思ってたよ。
リョウ
で、村長は自宅からずっと出てこなくて、レイラは成人式が出来なかった。
リョウ
落胆したレイラはとぼとぼと家へ向かった。その道中ふと村のはずれのあの場所を思い出した。
リョウ
レイラは何の気なしにふらっと立ち寄ってみることにした。
リョウ
そこには、婆さんがいた。婆さんと言っても布でぐるぐる巻きにされていた人間らしき物体だった。
ケイ
ついに出会ってしまったか…
リョウ
ああ。レイラは優しい子だった。だから、そのぐるぐる巻きになった布を取ってやろうと婆さんに近寄って声をかけた。
リョウ
「大丈夫ですか?」そう言うと婆さんは「この布を取ってはくれぬか」と言った。レイラは快く受け入れ、布を取り外した。
リョウ
布を外し終り、レイラは婆さんの顔を覗き込んだ。その時レイラは目を丸くした。自分と同じ瞳の色をしていたからだ。
リョウ
今まで異端だと思っていた自分の髪と同じ髪色と瞳の色。親近感が湧くにはそれだけで十分すぎることだった。
リョウ
レイラは尋ねた。「お婆さん、私とどこかでお会いしましたか?」
リョウ
婆さんは言った。「あぁ、そうだねぇ、レイラ。お前は私の、呪いだよ」
リョウ
レイラはその日から居なくなった。
ケイ
レイラはどこにいったんだ…?
ナギ
婆さんに連れてかれたんじゃねぇの?
リョウ
分からない。だが、それから不可解なことが次々に起こった。
リョウ
まず、街から成人を迎えていない少女が居なくなった。
リョウ
次に、農作物が一気に枯れた。
リョウ
それから、村の成人以上の男たちが全員流行病にかかった。
リョウ
村は一瞬にして困難に陥った。食べるものが無くなり、他の村との交流もなかった為、村人たちは次々に死んでいった。
リョウ
その村に残っていた中にはレイラの親友もいた。レイラの親友・アーイシャはこの事態に酷く脅えて路頭に迷った。家族も、何もかもを失って彷徨うほかなかった。
リョウ
アーイシャは歩き疲れ、座り込むと声が聞こえた。「アーイシャよ。」顔を上げるとレイラと婆さんが居た。
ケイ
感動の再会か。
ナギ
感動かぁ?
ケイ
感動ではねぇか笑
リョウ
やっと会えたとアーイシャはレイラに駆け寄った。だが、レイラは冷たい目をしていた。あんなに輝いていた紫の瞳には光が無く、据わっていた。
リョウ
その隣にいた婆さんは言った。「アーイシャよ。失った気分はどうだ。憎いか。」アーイシャは言った。「あぁ憎い、憎いさ。」
リョウ
「何が憎い。」レイラが口を開いた。「何もかもが憎い。こんなことをした神が憎い。全てが憎い。」とアーイシャは言った。
リョウ
婆さんはアーイシャに暗示をかけるように、アーイシャの顔の前に手をかざし、「薬屋を開き、民を助けるが良い。」と。
リョウ
アーイシャは村のはずれに薬屋を開いた。村人たちはみるみるうちに治っていき、村は立て直した。
リョウ
それからまた、数十年経った。
リョウ
薄暗い薬屋をやってる婆さんがいた。
リョウ
その婆さんのことを村の奴らは気味悪がって、薬屋の植木に火を放ったり、大吹雪の時に店の扉や窓を壊したりしたり、散々な事をやったそうだ。
リョウ
その婆さんは金髪で紫の瞳をしていた。
ナギ
また同じことの繰り返しを…
ケイ
人間って同じ過ちを繰り返すんだな…
リョウ
まぁ、親父から聞いたが、この話は実話だそうだ。
ケイ
げぇ!マジかよ…
リョウ
それでだな、成人した奴にしか聞かせちゃいけないらしいんだw
ナギ
俺ら今年20だって言ってもギリギリセーフじゃん!危ねぇw
ナギ
てか、成人以外に聞かせたらどーなるんだ?
リョウ
女だったらどこか分からない所へ連れていかれるらしい。表向きは失踪として扱われるらしい。
ケイ
男は?
リョウ
重度の熱に冒されて、体がどんどんと動けなくなって死ぬらしい。
リョウ
親父はこの話、成人してからすぐじゃなくて21の時に聞いたんだと。
ケイ
何でだ…?
リョウ
しらね。じぃちゃんが躊躇ってたんじゃね?
ケイ
なぁ、エジプトの成人年齢って…?