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小月の短編集

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小月の短編集

13 - 【没】クレマン会の裏事情

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200

2023年07月11日

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連載用に書いたけどしっくりこなかったのでこっちに投稿します 番外編です、番外編 ⚠️一部暴力的な描写あり

10

会長

ようこそお越しくださいました。

会長

私、会長のクレマンと申します。

会長

『会長』とだけ言われてもなんのことだか分かりませんよね。

会長

『人間オークション』って聞いたことないですか?

 

会長

お、やっぱり知ってます?

会長

まあ1度は聞いたことあるでしょう。

会長

その名の通り、人間が出品されているオークションのことです。

会長

正式名称ではないですが。

会長

我が一族は、これで生計を立ててきました。

会長

このオークションには資産家、研究員、国のお偉いさんまで参加しています。

会長

奴隷や実験動物が手に入りますし、貴重な交流の場ともなっているのでたくさん参加されるんですよ。

会長

おっと、話が逸れてしまいましたね。

会長

あなたにお願いしたいことがあるんです。

 

会長

ここで働いていただけませんか?

会長

仕事内容は色々ありますが。

 

会長

別に断っていただいても構いませんよ?

会長

あなたのような方なら高値で落札されると思いますから。

 

 

会長

交渉成立です。

9

引き取り人

あなた、新人の方ですか?

 

引き取り人

やっぱり!

引き取り人

よろしくお願いします。

引き取り人

私たちの仕事は、オークションで出品された商品の引き取り。

引き取り人

この馬車に乗って、国内のいたるところに行きます。

引き取り人

着いたら金銭と交換して商品をここまで持ち帰ります。

引き取り人

何か質問はありますか?

 

引き取り人

それならよかったです。

引き取り人

では、早速行きましょう。

8

引き取り人

初仕事がトラプ街とは羨ましいです。

引き取り人

それほど離れていませんし、貧困地域でもありません。

引き取り人

素早く終わるでしょう。

引き取り人

こんにちは、クレマン会の者でございます。

出品者

お待ちしておりました。

出品者

どうぞお上がりください。

引き取り人

失礼いたします。

引き取り人

私は契約書を書いてもらうから、あなたは商品のところに行ってきてください。

引き取り人

彼女は目が不自由なので。

 

商品

どなたですか?

 

商品

ああ、クレマン会の。

商品

ついに来てしまったのですね。

商品

もう準備はできております。

商品

手を貸してくださいますか?

 

商品

ありがとうございます。

 

商品

どうされました?

商品

早く行きましょう。

 

商品

そんなこと聞かれましても……。

商品

仕方ないのです。

商品

私は家族にたくさんの迷惑をかけてきました。

商品

1人では歩くことも出掛けることもできません。

商品

母も私に付きっきりで、妹にも寂しい思いをさせました。

商品

私がいなくなれば母も妹の面倒を見れますし、お金もいただけるのでしょう?

 

商品

あなたが私を止めたところでどうするんですか?

商品

今までの生活を続けろと?

商品

続けてどうすればいいんですか。

 

商品

私はもういいのです。

商品

目が見えない私に生きる価値なんてありません。

商品

私が見ている世界も、未来も、全て暗闇の中。

引き取り人

遅かったですけど、何を話していたんですか?

 

引き取り人

へぇ~。

引き取り人

1つ言わせていただきます。

引き取り人

商品を引き留めようとは考えないでください。

引き取り人

それで契約破談になったとき、罰を受けるのは我々です。

引き取り人

あなただけならまだしも、私まで受けることになるのですから。

 

引き取り人

彼女の今後なんか、聞かれても知りませんよ。

引き取り人

興味ないです。

引き取り人

あなたは小麦を見て、「パンになるのかな、パスタになるのか」とか考えてるんですか?

引き取り人

もしそうだとしたらよっぽどの変わり者です。

引き取り人

彼女が生きようが死のうが私には関係ありませんから。

引き取り人

……。

引き取り人

そんな気持ちじゃないと、この仕事はやっていけませんよ。

7

引き取り人

今回はご老人です。

引き取り人

一応需要はあるんですよ?

引き取り人

年寄りな分安くなりますからね。

引き取り人

ほら、この前の少女より70万近く安い。

引き取り人

こんにちは、クレマン会の者でございます。

商品

入れ。

引き取り人

失礼いたします。

引き取り人

お一人ですか?

商品

そうだよ。

商品

なんか文句あるか?

引き取り人

いえ。

引き取り人

ご家族に見送られる方が多いので。

商品

もうとっくに出ていった。

引き取り人

そうですか。

引き取り人

失礼いたしました。

 

商品

何だ?

商品

オークションに出る理由?

引き取り人

君はさ……!

商品

しゃ~ねえだろ。

商品

もう1人じゃ生活できねえんだから。

商品

家族も帰ってこないし金もねえし。

商品

1人で死ぬよりは……。

 

商品

分かればいいんだよ。

引き取り人

大変失礼いたしました。

引き取り人

契約書にサインをお願いします。

商品

はいよ。

引き取り人

では、参りましょうか。

引き取り人

この前も言いましたよね?

引き取り人

商品を引き留めようとは考えないでください。

引き取り人

もし次何かしたら会長にご報告いたします。

 

引き取り人

なぜあなたはそんなに……。

引き取り人

いえ、何でもありません。

6

引き取り人

……。

 

引き取り人

あ、どうも!

引き取り人

すみません、ボーッとしてました。

引き取り人

今回は青年ですって。

引き取り人

気合い入れて行きましょう。

引き取り人

こんにちは、クレマン会の者でございます。

商品

え、クレマン会って……。

引き取り人

こちらにサインをお願いします。

出品者

はい。

商品

待ってよ父さん、どういうこと?

出品者

我が家のためだ。

商品

聞いてないよそんなの!

引き取り人

参りましょうか。

商品

やめろ!

引き取り人

またこれか……。

引き取り人

手首掴んでください。

引き取り人

早く!

商品

触るな!

バチンッ!

引き取り人

痛っ……!

引き取り人

暴れたって無駄なんだから大人しくしてください!

引き取り人

疲れましたね。

 

引き取り人

大丈夫ですよ、このくらいすぐに治ります。

引き取り人

今まで何度もありましたから。

引き取り人

……。

引き取り人

全て理解している人を連れていくよりも、何も理解していない人を連れていく方が辛いです。

引き取り人

きっと、捨てられているのと変わりませんから。

引き取り人

信頼していた人に捨てられる気持ちは……私たちには想像し難いでしょう。

 

引き取り人

あ、そうだ。

引き取り人

会長から異動の連絡きてましたよ。

引き取り人

管理の方に異動ですって。

引き取り人

残念、あなたのこともっと知りたかったのに~。

 

引き取り人

でも、あなたの知りたかったことはきっと知れますよ。

引き取り人

頑張って。

5

管理人

あなたか、こっちに異動してきたのは。

管理人

来てくれてありがとうね。

管理人

ここの主な仕事は商品の管理。

管理人

基本は個室で管理してるよ。

管理人

反乱を起こされたら大変だからね。

管理人

そこの扉に小さい窓ついてるでしょ?

管理人

あそこから食事を渡す。

管理人

見回りの時はちゃんと一人一人確認して。

管理人

たまに問題起こすやついるから。

管理人

それだけ気を付けてくれたらいいよ。

管理人

じゃ、これからよろしくね。

4

管理人

はい、食事持っていって。

管理人

……あ、この部屋の人両腕がないから食べさせてあげてくれる?

管理人

お願いね。

商品

こんにちは。

商品

ありがとうございます。

 

商品

はい、美味しいですよ。

 

商品

……両腕がない理由?

商品

……。

商品

お金がないからって切り落とされて。

商品

親に売られちゃった!

商品

アハハ!

 

商品

どうしたんですか、そんな顔して。

商品

笑ってくださいよ~!

商品

……。

商品

そうじゃないと、救われないから。

商品

都合よく扱われてきた今までの人生が、惨めに感じるから……。

管理人

お帰り~……ってどうしたの!?

 

管理人

あ~分かるよ、その気持ちは。

管理人

でも生きてるだけマシじゃない?

管理人

いつか殺されてたかもしれない。

管理人

少しでも生きられる希望があるなら、ここに連れてこられることも間違いじゃないのかもしれない。

3

管理人

ねえ、赤ちゃんの世話できる?

 

管理人

いや、赤ちゃんのお世話してくれてる人が今日体調悪くて。

管理人

代わりにやらなきゃいけないの。

商品

オギャー!

管理人

あ~泣いちゃった!

管理人

どうしようどうしよう!

 

管理人

なるほど、ミルクか!

商品

ゴクゴク

管理人

泣き止んでくれてよかった。

 

管理人

だよね!かわいいよね!

管理人

生後3ヶ月だって。

管理人

……。

管理人

赤ちゃんって高額で買い取られるんだよ。

管理人

だから、産まれてきた赤ちゃんをなんの躊躇いもなく売りにくる親がいるの。

管理人

子供のこと物だと思ってる。

管理人

何なんだろう。

管理人

自分たちが偉そうに言えることじゃないけどさ。

管理人

やっぱりおかしいよね。

管理人

人の命に値段つけて売買するの。

管理人

……でも、このオークションに救われた人もいる。

管理人

出品者も、落札者も、商品も。

管理人

何が正しくて、何が間違いなのか分からない。

管理人

自分たちにできるのは、商品の幸せを祈ることだけ。

2

会長

商品が逃げた?

会長

急いで探せ!

会長

もし見つけられなかったら連帯責任だ。

 

管理人

最悪……。

管理人

向こうの方探してきて!

 

商品

あと少し……。

商品

はっ!

 

商品

お願いします、見逃してください!

商品

お願い……します……。

 

 

管理人

無事に見つかってよかった。

管理人

罰を受けるのは勘弁。

 

管理人

え、あいつ?

管理人

処分されるんじゃないかな。

管理人

落札されても主人に反抗する可能性あるし。

 

管理人

大丈夫だよ。

管理人

そんな苦しまないようになってるから。

 

管理人

……。

管理人

あなたが見つけてくれなかったら自分たちが大変な目に遭ってたんだから。

管理人

感謝するよ。

 

管理人

人間は矛盾する生き物。

管理人

結局、自分の命が一番大事。

1

会長

何でこんなことしてるのか?

会長

金になるからですよ。

会長

悪いことなんて何一つありません。

会長

落札したお客様は満足そうに帰っていきますし。

会長

一度のオークションで多額の利益が出ますし。

 

会長

あいつらはただの商品。

会長

あいつらの幸せまで考えてたらキリがない。

会長

それに、自らの意思でここにやって来たんですから。

会長

どんなことも受け入れる覚悟を持って。

会長

用はそれだけか?

会長

早く仕事に戻れ。

 

会長

ん?

 

会長

お、おい、何持ってるんだよ……。

 

会長

それを置いてゆっくり話をしようじゃないか……!

 

会長

な、何か欲しいものはないのか?

会長

いくらでも買ってやるぞ?

 

 

会長

やめろ……やめろ!

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コメント

15

ユーザー

ど、どゆこと?

ユーザー

主人公側書かないでこんな作品作れるんだ...すご あ、100作品目おめでとう! 没じゃないよ?神だよ??

ユーザー

なるほど……これが…没ねぇ… え、どこが?←

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