ガラッー。
西畑大吾
猛スピードで病院に訪れた俺は、 珍しく全力疾走で 流星のもとに向かった。
大橋和也
藤原丈一郎
2人の説明を聞き、 流星が眠るベッドに視線を落とす。
心なしか、いつもより 顔色が良いような気もする。
西畑大吾
少しの期待を込めて、 俺は流星の手を握った。
あぁ。
流星は、生きている。
だって、こんなに暖かいんだから。
大橋和也
藤原丈一郎
西畑大吾
相変わらず綺麗な顔で眠る流星の 髪を優しく撫で、 ゆっくりと流星に口付けた。
その時やった。
ぎゅっー。
微かな力で、流星が俺の手を 握り返してくれたのは。
西畑大吾
西畑大吾
俺は流星の頬を両手で包みながら、 必死に声をかけた。
大橋和也
藤原丈一郎
大橋和也
はっすんや丈くんの喜ぶ声。
流星、目を覚まして?
みんな待ってんで。
はっすんがお医者さんを 呼んできてくれてから、 俺たちは3人で 流星の意識が覚醒するのを待った。
大西流星
大西流星
長い間動かしていなかった声帯から 出された流星の声は、 掠れて蛙みたいになっとった。
それでもー。
流星が声を出してくれたことが 嬉しくて、俺たちは思い切り 抱き合った。
大西流星
なんか、グルグルする。
いきなり視界が明るくなって、 脳みそが戸惑っているような感覚。
大西流星
しばらくすると、 ぼやけていたはずの意識は鮮明になり、 徐々に周りが見えるようになった。
…あれ?
僕、あの日ー。
???
大橋和也
藤原丈一郎
僕の手を握る2人は、 僕の大切な人。
大西流星
でもー。
後1人。 この人は、誰や?
???
涙を流して僕の目覚めを喜んでくれる 優しい顔の男の人。
この人のことだけが、 どうしても思い出せない。
大西流星
大西流星
大橋和也
藤原丈一郎
???
あれ?
僕、まずいこと言ったかな?
藤原丈一郎
大橋和也
???
丈くんと大橋くんが、 信じられないものを見るような目で 僕を見ている。
そして、僕の知らないその人は、 悲しそうな表情で病室を飛び出した。
大橋和也
大橋くんは丈くんに アイコンタクトを送り、 そのまま大ちゃんと呼ばれた その人を追いかけて行く。
…なんなんやろう、この感じ。
胸にぽっかりと穴が 空いてしまったような気分や。
でも、僕がこの気持ちの 正体を知るのは、 もっとずっと後の話ー。
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