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コメント
2件
久しぶりぃ!! 今回も最高すぎて泣けますわ🥹🥹🫶🏻 大切な人との約束で待ってるなんて泣けちゃう🥺😚 天才すぎてますね🫵🏻🫵🏻💓
古い駅のベンチに 毎日同じ時間に 座るおじいさんがいた
誰かを待っているわけでもなく ただ小さな紙袋を膝に置いて空を見ている。
その駅を使う高校生はある日思い切って声をかけた
おじいさんは少し驚いた顔をして それから優しくふわっと笑った
それから2人は朝の数分だけ話すようになった
天気の事、電車の遅れ、テストの話 おじいさんは自分のことはあまり話さなかった
ある日高校生は聞いた
おじいさんは少しだけ空を見て言った
高校生はそれ以上聞かなかった 聞かなくてもいい気がしたから
春になって、駅の桜が咲き始めた頃。
おじいさんは急に来なくなった
心配になった高校生は駅員さんに聞いた
駅員さんは静かに頷いた
先週、亡くなられました。
毎朝来てたのは亡くなった友人との 思い出があったからだそうです
数日後、高校生はいつものベンチに座った
すると、ベンチの下に小さな紙袋があった
中には缶ココアと短い手紙
『話し相手になってくれてありがとう。 君と話す朝はとてもあたたかかった 夜がどんなに長くても、必ず朝は来る それを忘れないで』
高校生は缶ココアを握りしめた 不思議と涙は出なかった
変わりに、胸の奥がじんわりあたたかくなった。
電車が来る。朝日は昨日より少しだけ優しかった
1話完結なので続きありませんっ!