テンペストの穏やかな昼下がり。
そらちゃんは、リビングで真っ白な顔をして固まっているジェジェを見つけた。手元の報告書が、ガタガタと震えている。
そら
「ジェ、ジェジェ? どうしたの、そんな恐ろしい敵でも見つけたような顔して……」

ジェジェ
「……そら……。信じがたい、いえ、あってはならない報告が入りました……。

ジェジェ
我が家の宝……そらねが、……同じ年齢と見られる男の子と……『デート』をしていたという目撃情報が……」

そら
「えぇっ!? そらねに彼氏!?」

そらちゃんが驚いていると、ちょうどそこへ、そらねちゃんが鼻歌まじりに帰ってきた。
頬を少し赤くして、手には可愛らしい花束を持っている。
そらね
「ただいまー! ママ、パパ! あのね、今日すっごく素敵なことがあったの!」

ジェジェ
「……そらね。その花は……一体誰に貰ったのですか。

ジェジェ
論理的、かつ詳細に説明しなさい。さもなければ、その相手を今すぐ影の底へ……」

そらね
「もう、パパうるさい! 彼はとっても優しくて、パパみたいに怖くないんだから!」

そらねちゃんの「パパより彼」発言に、ジェジェの精神(メンタル)がクリティカルヒットを受ける。
そらま
「ただいまー。……あ、姉貴も帰ってたんだ。……ママ、これ。彼女から貰ったお菓子、みんなで食べようよ」

涼しい顔で帰ってきたそら真くんの口から出たのは、さらなる爆弾発言。
ジェジェ
「……そら真、お前までか……!? 彼女……だと……?」

そらま
「うん。シュナさんの料理教室で一緒の子なんだけど。僕のこと『守ってあげたい』って言ってくれるんだ。

そらま
今度、家にも呼びたいんだけどいいかな?」

ジェジェ
《 報告。……個体名:ジェジェの理神論が完全に崩壊。……魔素の暴走を確認。……

ジェジェ
テンペスト上空に巨大な暗雲が発生しています。……パパ、限界です。 》

ジェジェ
「認めん……! 認めませんよ、私は!! そらねを連れ出す男も、そら真をたぶらかす女も、この私の『究極能力(アルティメットスキル)』で徹底的に調査……」

そら
「ジェジェ! 落ち着いて! 覇気が出すぎだってばぁ!!」

そらちゃんが慌ててジェジェにしがみついて止めるけれど、ジェジェの瞳は「親バカ魔王」として怪しく光っている。
愛娘と愛息子のダブル恋人発覚(?)。
そらちゃん一家に、史上最大の「家庭内紛争」の嵐が吹き荒れようとしていたのだった…