リムル
「いいか、そら。足音を消せ。魔素を完全に遮断するんだ……!」
テンペストの賑やかな中央通り。そらちゃんは、隣でやけに気合の入ったリムルと一緒に、物陰から様子を伺っていた。
リムルはわざわざ「隠密用」のフード付きローブをそらちゃんの分まで用意してくれている。
そら
「リムル様……そんなに本格的に隠れなくても。でも、やっぱり気になるよね」
リムル
「当たり前だろ! あの小さかったそらねとそら真に春が来たんだぞ?
リムル
テンペストの盟主として、見守る義務がある……っていうか、単なる野次馬だけどな!」
二人の視線の先には、まずそらねちゃんの姿があった。 相手は、若手警備隊員の精悍な青年。
そらねちゃんは、パパの前では見せないような、少し背伸びした「大人びた女の子」の顔で笑っている。
そら
「……あ、見て! そらねが、あの男の子の腕に抱きついてる!」
リムル
「うわぁ、ジェジェが見たらショックで街が半分消えるぞ、これ……。
リムル
でも、あいつ、そらねの魔法の話を一生懸命聞いてやってるな。いい奴そうだ」
続いて視線をずらすと、公園のベンチに座るそら真くんを発見した。
相手は、少し年上の、おっとりとした雰囲気の優しそうな女の子。
そら真くんは、なんと彼女の膝枕で読書をしている。
そら
「そ、そら真……! いつものクールな感じはどこにいったの!? 甘えん坊なのはママに似ちゃったかなぁ」
リムル
「ははは! あの子、そら真の髪を優しく撫でてるぞ。
リムル
完全にそら真の方が尻に敷かれてるな。……おっ、あっちの二人が手、繋いだぞ!」
シエル
《 報告。……対象:そらね、およびそら真の幸福指数は極めて高い状態。……なお、影を通じて自宅のジェジェへ視覚情報を共有しますか? 》
そら
「「ダメダメ! 絶対にダメ!!」」
リムル
「「ダメダメ! 絶対にダメ!!」」
そらちゃんとリムルが同時に叫ぶ。今ジェジェにこれを見せたら、間違いなく「死の宣告」がその青年たちに下ってしまうからだ。
そら
「……でも、二人とも本当に幸せそうだね。パパが怖いのは、それだけ愛されてる証拠だって、いつか分かってくれるかな」
リムル
「ま、あいつらも立派に自分の道を選んでるってことだ。ジェジェの説得は、そらに任せたぜ?」
だが、家ではジェジェが「論理的に考えて、今すぐこの世から消すべき男の名前リスト」を作っているとは、まだ知る由もないのでした……。






