神楽 莉兎
わたし、屋上で靴を
神楽 莉兎
脱ぎかけたときに
神楽 莉兎
三つ編みの先客に
神楽 莉兎
声をかけてしまった。
神楽 莉兎
「ねぇやめなよ」
私のアール
神楽 莉兎
口をついて
神楽 莉兎
出ただけ。
神楽 莉兎
ホントはどうでも良かった。
神楽 莉兎
先を越されるのが
神楽 莉兎
なんとなく癪だった。
神楽 莉兎
三つ編みの子は語る
神楽 莉兎
どっかで聞いたようなこと。
神座 日葵
「運命の人だった」
神座 日葵
「どうしても愛されたかった」
神楽 莉兎
ふざけんな!
神楽 莉兎
そんなことくらいで
神楽 莉兎
僕の先を越そうだなんて!
神楽 莉兎
欲しい物が
神楽 莉兎
手に入らないなんて
神楽 莉兎
奪われたことすら
神楽 莉兎
ないくせに!
神座 日葵
「話したら楽になった」
神楽 莉兎
って
神楽 莉兎
三つ編みの子は消えてった。
神楽 莉兎
さぁ、今日こそはと靴を
神楽 莉兎
脱ぎかけたらそこに
神楽 莉兎
背の低い女のコ
神楽 莉兎
また声をかけてしまった。
神楽 莉兎
背の低いコは語る
紅露 黑葉
「クラスでの孤独を」
紅露 黑葉
「無視されて」
紅露 黑葉
「奪われ」
紅露 黑葉
「居場所がないから。」
神楽 莉兎
ふざけんな!
神楽 莉兎
そんなことくらいで
神楽 莉兎
僕の先を越そうだなんて!
神楽 莉兎
それでも
神楽 莉兎
家では愛されて
神楽 莉兎
あたたかいご飯もあるんでしょ?
紅露 黑葉
「ありがとう。」
神楽 莉兎
と泣いて背の低いコは
神楽 莉兎
消えてった。
神楽 莉兎
そうやって何人かに
神楽 莉兎
声をかけて
神楽 莉兎
追い返して
神楽 莉兎
僕自身の痛みは
神楽 莉兎
誰にも言えないまま
神楽 莉兎
初めて見つけたたんだ
神楽 莉兎
似たような悩みの子
神楽 莉兎
何人目かにあったんだ
神楽 莉兎
黒いカーディガンのコ
白竜 罪無
「うちに帰るたびに」
白竜 罪無
「増え続ける痣を」
白竜 罪無
「消し去ってしまうため」
白竜 罪無
「ここに来たの」
神楽 莉兎
と、言った
神楽 莉兎
口をついて出ただけ。
神楽 莉兎
ホントはどうでも良かった
神楽 莉兎
思ってもいないこと
神楽 莉兎
でも声をかけてしまった
神楽 莉兎
「ねぇやめてよ」
神楽 莉兎
あぁどうしよう
神楽 莉兎
このコは止められない
神楽 莉兎
僕に止める資格はない。
神楽 莉兎
それでもここからは消えてよ
神楽 莉兎
君を見ていると苦しいんだ
白竜 罪無
「じゃあ今日はやめておくよ」
神楽 莉兎
と、言って
神楽 莉兎
目を伏せたまま
神楽 莉兎
消えてった。
神楽 莉兎
今日こそは誰もいない。
神楽 莉兎
僕独りだけ
神楽 莉兎
誰にも邪魔されない。
神楽 莉兎
邪魔してはくれない。
神楽 莉兎
カーディガンを脱いで
神楽 莉兎
三つ編みを解いて
神楽 莉兎
背の低い僕は今から飛びます。







