中国
気づけば我は変な場所にいた。
白い天井に、水色のカーテン。今寝てるのはいつもより小さいベッド。
中国
上半身を起こそうとすると、体中が悲鳴をあげた。
…痛い。
中国
ベッドから起きない程度に留めるため、手を見る。
手首には深い爪痕が、爪には黒い血がこびりついていた。
左肩も痛いし、足も蹴られた後のような痛みがある。
人に殴られた...?いや、まさか自分が?
…いや、我は誰かを泣かせるようなことはしてないはず。
そうやって悶々と一人で悩んでるうちに、看護師がきた。
何か、色んな、大事なことを言っている気がした。
けど、よく聞き取れなくて、心の奥が聞いちゃいけないって言ってるような気がして、
頭を空っぽにしてた。
中国
ぽつり、と呟く。
誰に会いたいのか、何があったのか。
我にはわからない。身に覚えもない。
だけど、絶対、思い出さないといけない。
そう思った。
日本
光が針に刺されたかのように痛い。
足音がハンマーに殴られたかのように痛い。
病室の匂いが鼻腔を切り裂くように痛い。
口の中に血が残って気持ち悪い。
ベッドが茨のように痛い。
耳を塞いでる両手が、血の中に突っ込んだかのように気持ち悪い。
あの時から、痛覚と気持ち悪さで頭を支配されている。
あの時______
中国さんに攻撃して、邪魔しにきた韓国さんを、そのまま________
日本
さっきよりも酷い痛みに襲われる。
そんな状態だからか、さっききた看護師さんも拒絶した。
書類が擦れる音、足音、息の音、部屋の光、気配。
どれも痛くて痛くて仕方なかったから。
日本
目眩と耳鳴りがする。
それは、アレの反動なのか、攻撃してしまった罪悪感からなのか。
もう、わからなかった。
日本
寝るに寝れず、私はずっとその病室で泣き叫んでいた。
韓国
真っ暗。
ベッドも掛け布団も長時間いたからあったかいのに、心は冷え切っていた。
今でも左腕や腹部がじんわりとした痛みが残っている。
そしてなにより...
本来目がある場所が、抉れたかのように痛い。
特に酷いのは左眼で、右眼部分も痛いが、まだ大丈夫な痛さだった。
手も痛いし、足も痛い。脚部が痛いのは多分、筋肉痛。
僕は数刻前に目を覚まして、看護師さんらしき人とも話をした。
どうやら僕の右眼は完全に潰れていて、左眼はまだ生きてるらしいが、機能はしておらず、完全に潰れるのも時間の問題らしい。
…そんなことより、日本と中国のほうが心配だった。
あの後、僕が止めに入ると、日本にも中国にも殴られるわ刺されるわ、散々な目にあった。
しかも日本が僕を傷つける度に、中国が息を飲んで、日本の気分がどんどん高ぶっていって...
誰にやられたかなんてわかんなかったけど、右眼にものすごい激痛が走った途端、僕も暴れてしまった。
多分その時に右眼が潰れたんだと思う。
その後、二人が倒れるまで、隻眼だったし傷だらけだったけど、攻撃しまくった。
二人にとってそれは予想外だったのか、消耗してたのか、わからないけど、動きが鈍かった気がする。
それで、僕よりも先に倒れた。
おかしいよね、一番負傷してるの、明らかに僕だったはずなのにさ。
それで、二人を殺す命令が聞こえて。
でも、殺したくなくって。
なのに勝手に体が動いた。
必死に拒絶したけどなんの意味もなくて。
でも、先に身体の限界が来たから、二人とも死なずに済んだ。
…こんなもの、かなぁ。
あぁ、そうそう。
右眼は確実に誰かに潰されたんだけど、左眼がこうなった原因はわかんないんだよね。
少なくとも気を失う前は大丈夫だったと思うんだけど。
看護師さんによれば、斬られた痕があったみたいなんだけど...
韓国
今まで仲良かったはずなのに。
あの夢のせいで、おかしくなっちゃった。
韓国
静かな病室に一人、乾いた笑いでそう吐き捨てた。
コメント
1件
中国さん 手 日本さん 耳 韓国さん 眼 ↑特に重症らしきところ それぞれ何かジンクスでもあるんですかね……