エーミール
”知識比べ”……ですか
エーミール
それはまたどうして
ホワイトボマーがエーミールに提示した試練は知識比べ
創造の間と銃撃の間は戦闘を行い、人生の間では何が起こったか分からないが穏便に済むことはなかったように見えた
ホワイトボマー
そんなに警戒しないで下さい
ホワイトボマー
此方が困ってしまいます
エーミール
(殺気などの精神が参るような圧はない)
エーミール
(しかし、彼が浮かべている笑顔は貼り付けられた仮面のよう……必ず裏がある筈です)
エーミール
(気を抜いては……首を取られる)
雄蔵
そのような警戒は無意味じゃよ、エーミール殿
雄蔵
警戒は主殿にとって”ご褒美”じゃから
雄蔵
別に首を取ったりはせん
エーミール
”ご褒美”……ですか
雄蔵
これぐらいは構わんじゃろ?主殿
ホワイトボマー
ええ、構いませんよ
ホワイトボマー
私が不利になる事も、エーミール教授が有利になる事も無いですし
雄蔵
わしらが言う主殿の”ご褒美”は、誰もが行う警戒・威圧の事じゃ
雄蔵
主殿は自身でそれらの圧を出せない代わりに、他者から出る圧に含まれる”気”を吸収しそれを自身の力としておる
雄蔵
まぁ、その力は体力となるだけじゃが
エーミール
(そんな事……アビリティープレイヤーだからなのでしょうか)
エーミール
(それとも、”気”に関するアビリティーの副産物とか……)
ホワイトボマー
そういえば、私のアビリティーを申していませんでしたね
ホワイトボマー
私のアビリティーは「蝶掌握」
ホワイトボマー
自身の霊力と気持ちで生み出されたアビリティーを持つ魔族を召喚し、その力を行使させる程度の掌握です
ホワイトボマー
良い例が、そこにある雄蔵さんですね
エーミール
えっ?
ホワイトボマー
彼は人間ではありません
ホワイトボマー
先程、蝶掌握と言いましたが時たまに、変異種として「蛾」も生まれてしまう事があるのです
ホワイトボマー
雄蔵さんはその「蛾」に該当し、文献において、種族は「魔蛾族」
ホワイトボマー
それでも、魔蝶族をも仕切るトップの魔族なのです
ホワイトボマー
そして、原因は分かりませんが彼等にも意思があり命があり、考え・性格が全員異なります
ホワイトボマー
種族が異なるだけで、私達人間と何ら変わりありませんよ
ホワイトボマー
そのような方達が、私の中に”1億以上”居るだけですから
ゾム
1億以上って……ふざけとるやろ
ゾム
そんだけも、アビリティーを持ったバケモンがおるって事やろが
ホワイトボマー
そうですね、アビリティーを持たない人にとって、彼らは化け物でしょう
ホワイトボマー
それだけの数と力があれば、無能では敵いませんから
ホワイトボマー
そして、私はそんな彼らを使役する事ができる
ホワイトボマー
これが、私のアビリティーの詳細です
エーミール
良いのですか?そんな詳しい事を、私に話して
ホワイトボマー
別にふりになることではないので
ホワイトボマー
……これでは試練になりませんね
ホワイトボマー
雄蔵さん、試練変更を
雄蔵
承知したのじゃ
雄蔵
『知識の間代理者、蛾野雄蔵が命じる』
雄蔵
『試練内容を”お茶会”とする』
エーミール
……どういう息の吹き回しですか
エーミール
試練が試練では無くなるでしょう
ホワイトボマー
大丈夫ですよ
ホワイトボマー
条件は【私が満足するまで、相手に参加してもらう】ことですので
ホワイトボマー
続きを話しましょうか
ホワイトボマー
私の過去話に付き合って欲しいだけです
エーミール
……
ホワイトボマー
それを行う上で、エーミール教授の経歴も伺いたいのです
ホワイトボマー
私だけだと、不公平ですからね
ホワイトボマー
何故、祖国を飛び出しこの国へ?
ホワイトボマー
そして何処で総統閣下と知り合ったのですか?
エーミール
……ゲッシィ国主催の晩餐会で、グルッペンさんと初めて出会いました
エーミール
私が生まれた家はごく普通の家です
エーミール
国内にあるまだ小さな街に、母と父と……私の3人で住んでいました
エーミール
母は考古学者、父は軍学校の戦争歴史専攻の教授でした
エーミール
私の家、アルベルト家は、ゲッシィ国を代表する”ノーマン家”と对になる家系だったとも言われています
エーミール
ノーマン家が貴族に対し、アルベルト家は平民
エーミール
そして彼らは教育全般、まぁ軍事を中心とした策略・戦略を教えていたのに対して、私達は歴史専攻でしたから
エーミール
見事なまでの対極です
エーミール
未来と過去、先導者と観測者
エーミール
色んな言われ方をしていましたね
エーミール
あまり、気にしたことはありませんが
エーミール
ロックウェル様に1度お目にかかった時は流石だと思ってしまいました
エーミール
彼らこそ「知識の宝庫」だと、認めざるを得なかったです
「知識の宝庫」
ゲッシィ国の教育者に与えられる教育者の為の称号であり名誉あるモノ
それは未だにノーマン家が保有しており、現在称号を持っているのは
ノーマン家長女
ノーマン・クロエである
ホワイトボマー
ロックウェル様にお会いになられたことがあるのですね!羨ましい限りです
ホワイトボマー
それで?ゲッシィ国から出ていった理由は?
ホワイトボマー
ゲッシィ国は不当な渡航を許しはしない、鎖国国家としても名高いではありませんか
エーミール
そうですね
エーミール
確かに、ゲッシィ国は鎖国国家と言われてと過言ではありません
エーミール
私が過ごしていた頃は、物資関係以外の外交は一切しておらず、異文化を拒んでいましたから
エーミール
私が、ゲッシィ国を出ていくきっかけを作ったのはロックウェル様でもあります
ホワイトボマー
……
エーミール
ロックウェル様が国の上層部に入り、外務大臣になられてすぐ
エーミール
彼が大臣になられてから異文化が沢山もたらされました
エーミール
そこで、”ゲッシィ国だけではなく、色んな国の軌跡を見てみたい”と思うようになったのです
エーミール
そしてグルッペンさんと出会ったのも、ロックウェル様が外務大臣に就任した事を祝う晩餐会でした
ホワイトボマー
そうですか……そのような事があったのですね
ホワイトボマー
ありがとうございます、お話していただいて
ホワイトボマー
ここからは私の、お話をさせて頂きますね
少しホワイトボマーは悲しそうに見える作り笑いで応えた