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ガヤガヤと賑わう夜

あぁ、またココに来てしまった

サマーナイトフェスティバル

そう、祭りはまだ

始まったばかりだ

ピエロ

あらあら、まぁまぁ

ピエロ

いらっしゃーい!

ピエロ

私、貴方の事待ってたのよ!

少年

僕の事?

少年

何で...

ピエロ

さぁて、それは何でだったかしら?

おどけてピョンピョン跳ねるピエロ

僕は会いたくなかったよ

ピエロ

じゃあ今日もはい!コレ!

少年

...金券

ピエロ

まだまだ祭りを楽しまなくちゃ!

少年

だから、僕はっ

"帰りたいんだよ!"

そう叫ぶつもりだったのに

目の前にピエロはもういない

少年

はぁ...

少年

でも、お腹空いたし

少年

何か食べるか

僕は金券を握り締めて歩き出した

色んな所から良い匂いはするけれど

何だかどれもピンと来ない

どうしようか、何を食べよう

ずぅっと奥まで続く屋台を

僕は少し不思議に思った

少年

この先には

少年

一体、何が...?

このまま地球を一周しても

どこまでも続きそうな屋台の列

そもそも、ココは地球なのか

僕は好奇心に駆られ

屋台の先を目指す事にした

ピエロ

やぁ!少年!

少年

ぅわっ、いきなり出てくるなよ

ピエロ

お腹は空いていないかい?

少年

まぁ、空いてるけど

ピエロ

だったらコレをあげましょう

ピエロ

私、また買いすぎちゃった!

差し出されたのは焼きそばだった

僕はそれを受け取る

少年

何でいつも買いすぎるんだ...

ピエロ

それは私がピエロだから!

少年

意味わかんない

ピエロ

そんな事よりも早く食べて!

ピエロ

味の感想、頂戴な!

僕はピエロに急かされるまま

美味しそうな焼きそばを口に入れた

香ばしいソースの匂いがしている焼きそば

その味は

少年

うっ、あ、甘い...

ピエロ

甘い!甘い!貴方は甘い!

ピエロ

その焼きそばは甘かったのね!

少年

焼きそばだと思って食べたのに

少年

こんなに甘いと変な感じだ

まるで砂糖の様に甘い焼きそば

けれど貰った物だし

僕は全部食べきった

少年

ふぅ、ご馳走様でした

ピエロ

あらあら、偉い!

ピエロ

そんな貴方にヒントをあげよう!

少年

ヒント?

ピエロ

人の心よ

少年

人の...心

このヒントは前に貰った

そうだ、それで僕はひらめいたんだ

少年

あのっ

少年

ぁ...

またしても目の前にピエロはいない

このままじゃ僕は帰れない

僕はギュッと手を握り締め

再び屋台の先を目指した

少年

ここは本当にどうなってるんだ...

少年

歩いても歩いても終わりが見えない

少年

ずっとずーっと屋台ばかり

少年

ふぅっ、ちょっと疲れてきた...

しばらく歩いてきたのだが

やはり終わりは見えてこない

僕は適当な段差を見つけて腰を下ろした

サマーナイトフェスティバル

変な味のする食べ物

神出鬼没の変なピエロ

僕以外

人形みたいな人の波

僕はふぅっと溜め息をつき

真っ暗な空を見上げた

少年

...帰りたい

少年

お母さん、お父さん...

少年

僕、まだ

少年

生きていたいよッ

言葉が口から零れると同時に

涙も頬を伝っていった

僕はもう、理解していた

このフェスティバルは僕自身だ

ピエロ

そんなに泣いてどーしたの?

ピエロ

楽しくないの?帰りたいの?

少年

楽しくないよっ

少年

帰りたいよっ

少年

僕は、まだ、生きていたいよっ

ピエロ

それじゃあ答え合わせをしましょう

ピエロ

私と貴方で秘密の答え合わせ!

少年

...うんっ

ピエロ

貴方の答えを聞かせて頂戴?

少年

僕の答えは

少年

____

そうね

それなら...

帰らなくちゃいけないわね?

少年

...ん

僕の目に映ったのは見慣れない部屋

全体的に真っ白で

何となく、病院なんだと分かった

少年

...おか、さ...

少年

お、と...さん...

声の出し方を忘れてしまったのか

掠れて弱々しい声しか出ない

僕は本当に

戻って来れたのだろうか?

____!!

____!?

懐かしい声がする

聞き慣れているはずなのに

ずっと聞きたかった声だ

僕の頬に

また、涙がいくつも伝っていった

少年

た、だ、いま

ありがとう

サマーナイトフェスティバル

〜fin〜

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