ひな
ひな
ひな
ひな
⚠︎注意 ・irxs ・nmmn ・青白 ・死ネタ
If
初兎
部屋の中で恋人と睨み合う
初兎
初兎
If
喧嘩
普段温厚な彼とこうなることはめったにない
軽口を言い合うことはあってもその域を出ないし、基本は笑って許しあえる
If
初兎
If
初兎
If
返信中のdiscord画面から目を離さないまま答える
コラボ曲についての話だった
If
ぐりぐりとこめかみを抑えながら頭の中でスケジュール帳を開く
If
今月は仕事の方も繁忙期で、忙しい日々が続いていた
いれいすのことでも時間を取られ、十分に睡眠時間を取れないこともしばしば
初兎
あー、無理。眠くなってきた
心なしか頭まで痛い気がする。今日は絶対早く寝よ。
初兎
If
If
If
初兎
If
初兎
初兎
初兎
思わず大きくため息を着く
If
初兎
If
疲れからかなんだか無性にイライラして、顔を上げないままさも適当です、というように返事をする
初兎
初兎がスマホを無理矢理奪い取る
If
初兎
If
初兎
初兎
If
If
初兎
ヒートアップする声に思わずこちらの声も大きくなる
初兎
初兎
If
俯いたまま吐き出された言葉に思わず反射で同じ言葉を返してしまう
一瞬、ほんの少し、顔を顰めた初兎が手荒く俺のスマホをソファに投げる
初兎
If
初兎
目を逸らしたまま、自分の細かい荷物をカバンにしまい直す初兎
思わず大きくため息をついてしまう
さすがに年下の恋人を、夜に1人で放り出すわけにいかない
だめだ、今日もう
If
If
If
スマホと財布だけを持って 逃げるように家を出た
外に出た瞬間蒸し暑い空気に包まれて思わず顔を顰める
If
ため息をつく
普通にやってしまった
思えば、初兎の言うとうり、最近ちゃんと顔を見て話をしていない気がする
そういう行為はもちろん、ハグもキスもほぼ全くしていない
If
俺が忙しい、というのは初兎には何も関係がない
初兎にとっては恋人が突然自分にちゃんと時間を割いてくれなくなったわけだ
そりゃあ怒られても仕方ない
If
If
リスナーさんの前では調子に乗って見せたり煽ってきたり散々だが、 本当は温厚で滅多に怒ったりしない
自分が我慢して済むならそれでいい、みたいなタイプだ
If
If
我慢しなくていい、と言ったのは俺だった
If
If
If
思わず苦笑する
だめだ、俺が悪い
コンビニでアイスでも買って帰ろう
拗ねてるだろうからご機嫌取りして、
謝って、キスして
機嫌が直ったら一緒にアイス食べて
それで今日の夜は一緒に寝よう
If
そろ、と家のドアを抜ける
If
これは相当拗ねてる
If
こちらを伺おうとする様子を想像して思わず笑みがこぼれる
アイスの入ったビニール袋が揺れた
If
部屋に入るなりあまりの暗さに思わず目を瞬かせる
カーテンは締め切られて、隙間から差し込む僅かな日光だけが部屋を照らす
If
物に当たるなんて珍しい
If
カタン
If
初兎
If
乱雑に置かれた物で隠れて見えなかっただけらしい
机に突っ伏していた初兎が、ほんの少し顔を上げた
If
If
If
If
If
初兎
喋っている間にどんどん記憶が蘇ってくる
泣き腫らした赤い目に胸が痛む
こんな顔をさせたかった訳じゃなかった
If
罪悪感が込み上げて、買ってきたアイスの存在を思い出す
If
If
初兎
If
ボーッと空を見つめていた初兎の目からボロ、と涙がこぼれ落ちた
If
初兎
If
If
If
思わず駆け寄る
If
初兎
If
初兎
If
If
何度言っても謝り続ける初兎
仕方なく傍で泣き続ける背中に寄り添う
初兎
If
初兎
If
初兎
If
答えるとさらに涙がボタボタと零れた
初兎
If
俺を無視して、初兎がテーブルに手を伸ばす
それ、にこつんと額を当てた
初兎
If
上がっていた口角が引き攣る感覚がした
If
深い紺色のキーケース
去年の誕生日に初兎がくれたものだ
しかし俺が知っているものよりもずっと傷がついて、黒く汚れていた
If
乱雑に物が置かれたテーブルの上
バイブ音がなって、震えた初兎のスマホがまだ見ていない日付を指した
おかしな方向に潰れたプラスチックのカップ
思わず手元のビニール袋の中を確認する
初兎
初兎
初兎
If
If
If
声をはりあげても、初兎は俺を見ない
If
If
肩を揺さぶろうと、伸ばした手が空を切った
If
If
もう一度手を伸ばす
If
導き出された結論を、脳が否定する
If
まだ初兎と
仲直りだって、してない
If
If
If
何度呼びかけても、俺の声は初兎に届かない
薄紫の大きな瞳は、俺を映さない
絶望感から思わず視界が潤む
初兎
初兎
ああ、
初兎
あの時、ちゃんと初兎の顔を見ておけばよかった
あの時、じゃない
もっと前からだ
君の瞳に映るうちに、君を、もっと見ていればよかった
If
If
If
キーケースを握りしめる初兎の手に自分の手を重ねる
そのまま目元に唇を寄せて、こぼれる涙にキスをした
初兎
If
分からないはずなのに、まるで分かったみたいに、しょにだが自分の頬に手をやる
初兎
If
初兎
If
俺の存在を少しでも感じて欲しくて、そのまま強く抱きしめる
初兎
初兎
頬に手を当てたまま、初兎が更に泣きじゃくる
初兎
If
なんとか、伝わって欲しくて。何度も唇を寄せる
それが伝わるみたいに、初兎は更に涙を零す
初兎
If
また、ひとつキス
初兎
If
またひとつ
初兎
初兎
初兎
If
今度は唇に、そっと伝わらない熱を重ねる
大好き
愛してる
そんな言葉じゃ伝えきれないくらい、君は俺にとっての特別だった
もう伝える術のない想いが、夏に溶かされて消える
夏の蝉がなく頃に
アラームが鳴って、止まった
目を擦りながら初兎がリビングへ入ってくる
初兎
If
If
初兎
思わず苦笑すると初兎も自分の頭に手をやって、小さく声を漏らした
If
ソファに寝転んで二度寝の体制を取ろうとしていた初兎がスマホの液晶をみて飛び起きる
初兎
If
先程までとは違いとんでもないスピードで準備を始めるしょにだに思わず笑う
なんだか危なっかしくて、あれは持ったか、これ忘れてないか、なんてヒヤヒヤしてしまう
If
If
バタバタと準備をした初兎が荷物を引っ掴んで玄関へかけていく
If
玄関まで行って2、3秒ドアとリビングを交互に見て、初兎が戻ってくる。
If
机の上にあったパンを鞄に押し込んだ
散々ご飯を抜くな、と言っておいてよかった
初兎
If
初兎
If
靴を履いた初兎が振り返って呟く
俺はそれに返事をする
いつものことだ
俺の声が初兎に届くことはない
でも、それでも安心したように彼が笑うから
If
今日も彼に囁く
If
玄関を開けると蝉が大きく鳴いていた
君に届くまで、声の限り、なく
な、俺の気持ち、ちゃんと伝わっとる?
答え合わせは、もっとずっと、後でいい
コメント
6件
今回も良すぎるよー! 意味分かると涙ぽろぼろだよ〜
意味がわかると悲しくなりますね😢 ̖́- 考察失礼します🙏