もしも
真面目な女子生徒と
不真面目な数学教師が
恋に溺れたら___
◇
◇
夕陽の光が窓から射し込んで
朱色に染まる廊下.
私…佐倉 ゆうは、たくさんの
問題集を運んでいた.
皆もうとっくに
帰っている時間だろうけど
これは仕事だから
仕方がないのだ.
並んで隣を歩くのは
一ノ瀬(いちのせ)先生.
一ノ瀬先生は
若い数学の先生だ.
授業はわかりやすいし
面白いから男女問わず人気.
見た目が爽やかだから
一部の女子にはもっと人気.
私も、まぁ
好印象だとは思った.
一ノ瀬先生の出身校が
私の志望校だから、一ノ瀬先生
自体は別に嫌いじゃ
なかったのだ.
けど、それだけ.
それ以上にも以外にも
思ってない.
___はずなのに.
今、どうしてこんなに
鼓動が早いんだろう.
顔もあつい. なんだろう
ドキドキしすぎて息が苦しい.
私は、私と同様にたくさんの
問題集を抱えている
一ノ瀬先生を横目で見た.
___これって、恋…?
一瞬にちらついたその仮説が.
私の頭の中で、急激に
大きくなっていく.
どうしようどうしよう.
私は、すずしい表情を
している一ノ瀬先生の真横で
パニックになっていた.
先生に…恋をした.
___そんなの、ありえない.
途端に、会話が弾まなくても
どうでも良かった今の状況が
とても気まずく感じた.
しかし、それも一瞬で.
あっけなく数学研究室に
着いたのだった.
一ノ瀬 馨
一ノ瀬先生は私に向かって
微笑んで、数学研究室の
扉を開ける.
一ノ瀬 馨
一ノ瀬 馨
佐倉 ゆう
控えめに数学研究室の中に
入りながら、私は
かろうじて返事をする.
声が震えていないか、心配だ.
重たい問題集の束を
指示された机の上に
置こうとしたその時、
私はバランスを崩した.
佐倉 ゆう
小さく情けない悲鳴を上げ
ぐらりと後ろに
倒れそうになる.
一ノ瀬 馨
一ノ瀬先生の声が聞こえる.
私はぎゅっと目をつぶって
衝撃を覚悟した.
___でも.
私は、何か柔らかいものに
受け止められた.
柔らかいけど、しっかりと
私を支えている.
一ノ瀬 馨
私は一ノ瀬先生に
抱きとめられていた.
__ドクン、と
心臓が跳ね上がる.
佐倉 ゆう
私は慌てて、パッと
一ノ瀬先生から離れた.
佐倉 ゆう
私は自分の顔が
あつくなるのを感じて俯いた.
こういう時って、顔が
赤くなっているのだろうか?
私は心底焦りながらも
頭の奥底ではやけに冷静に
そんなことを考える.
放課後の校舎はシン…と
静まり返っていて、二人の間に
気まずい沈黙を流した.
私は居た堪れなくなって
視線を数学研究室の窓に向ける.
一ノ瀬 馨
一ノ瀬 馨
一ノ瀬先生が優しい声で
沈黙を破って、微笑んだ.
佐倉 ゆう
佐倉 ゆう
私も、自然に笑みが
こぼれていた.
一ノ瀬 馨
一ノ瀬 馨
佐倉 ゆう
一ノ瀬 馨
一ノ瀬 馨
♡きたら続き出します!! 読んでくれて📖 ありがとです!!☺︎ ぜひ他の作品も 見てみてください!!☃
コメント
4件
先生に恋してるわ!
やばい、、あんまり言えないけど今の自分と重なってる気がする
気になる〜(。´´ิ∀ ´ิ)