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凪
玲王
俺の声で一瞬で気付いたのか、レオはばっとこちらを向いた。
しかし身を翻して再び人ごみの中に消えて行ってしまった。
凪
俺も後を追って走り出す。なんとか姿は捉えた。あとは追いつくだけ。
その時、ポツリと頭に水が落ちた。
凪
スコールだろうか。激しい飴が地面を叩きつけ始めた。
玲王視点
玲王
店の人
玲王
店の人
俺はフランス語で傘下の会社の女性と話していた。
よかった、フランス語勉強しといて。
店の人
玲王
店の人
玲王
父親に言われた偵察も終わり、俺は家に帰ろうとしていた。
玲王
ばぁや
玲王
ばぁや
玲王
そんな会話をして大通りに出ようと思った時、
凪
玲王
懐かしい奴の声が聞こえた。俺は反射的に走り出してしまった。
ザーーーッ……!
玲王
俺はカバンの中の調査書が濡れないように抱えて走り出した。
俺はまだあいつと面と向かって話せない。 ちょっと言われたぐらいで逃げだしてしまった臆病者だから。
玲王
そんなことを考えるのは後にしよう。
大通りに出ればこっちのものだ。ばぁやが車で待機してくれているはず。
俺は足を滑らせることだけに気をつけながら凪から逃げ続けた。
大通り(凪視点)
さっきの場所と比べて人は少ない。長身の紫髪はよく目立つので見失わずに追いかけてこれた。
なんで、なんで止まってくれないの。
凪
玲王
傷つけたこと謝りたい。 毎日見舞い来てくれたことに感謝も言いたいのに。
少しの間だけでもこっちを向いてよ。
凪
ただでさえ体力は限界なのにこれはさらに足に来る。
玲王
その時前方を走っていたレオが何かを見つけたように方向転換をした。
凪
レオの走る先には長い車があった。 まさか車に乗るの?そんなのしたらどう頑張ったって追いつけないよ。
玲王は横断歩道を駆け抜ける。
凪
俺はレオに必死で左右もよく見ずに飛び出してしまった。
玲王視点
大通りを走りながら俺はばぁやの車を探し続けていた。
玲王
横断歩道を渡った左側に長い車が停まっていた。ばぁやの車だと確信する。
車に乗れば流石に凪も追いつけないはず。これで凪ともおさらばだ。
凪
ごめん、凪。俺まだお前に向き合える自信がないんだ。心の整理がついてないから……
凪との距離を確認するために俺は一瞬後ろを振り返った。
凪も横断歩道を駆け抜けていた。しかし左側からトラックが凪に向かって迫っていた。
玲王
凪はそれに気付いていない。大雨の視界不良のせいでトラックも前があまり見えていなさそうだ。
そして脳内に浮かんだのは記憶喪失の原因にもなったあの交通事故。
また凪が車に轢かれる……俺のせいで傷ついてしまう……!
玲王
凪
そこでようやくトラックの存在に気がついたようだ。
凪
凪は驚いたのか呆然と立ち止まってしまった。
その時、凪の視界には自分に向かって突っ込んでくる玲王の姿があった。
玲王
ドンッ!!
コメント
2件
あのーばぁやのセリフが凪になってます