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記憶と失った大切なもの

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記憶と失った大切なもの

12 - 第12話 もう失いたくない

♥

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2025年06月28日

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ドンッ!!

っ……?

大きな音が鳴り響いて、俺は気づけば歩道で尻餅をついていた。

玲王

はぁ、はぁ……

俺の上に誰かがのしかかっている。

玲王

っ、はぁ……大丈夫、か?

……え?レ、オ?

レオの顔が目の前にあった。激しく息を切らしている。

玲王

っ……良かった

え、どうして……

咄嗟に目の前の存在を確認するように抱きしめると、確かな温もりを感じた。

どうやらレオが轢かれそうな俺を見て咄嗟に飛び出してきたらしい。

玲王

思い出したんだよ……お前が車に轢かれた時のこと……

玲王

そんで、急に怖くなって、あんなのもう見たくなくて、体が勝手に……

半泣きの声で話すレオに俺はきゅっと心臓が締め付けられる。

う、うん……レオ、助けてくれてありが……

レオにお礼を言おうとした時だった。

突然息が苦しくなり始めた。

っ、はぁっ、ゔっ……

玲王

……?

朝からずっと動き回っていた自分の体はとっくに限界を超えていた。

その代償が今来たらしい。

はあっ、ゔっ、ぁ"……ごめ、息でき、な……

玲王

凪?凪、どうした?

何してんだ俺。せっかくレオに会えたのに。こっからたくさん話さなきゃいけないのに。

なんとか落ち着こうとするが頭までも痛くなってきて視界までも霞んできた。

完全に酸欠だ。

玲王

どうした?大丈夫か!?

レオは焦ったように身を乗り出した。

っ……!?

その時俺ははっきり見えた。 レオが頭から血を流しているのを。

(え……嘘、玲王怪我してるっ……全然無事じゃない……!)

俺が病院に連れて行かなきゃ、と思い立って起きあがろうとするが体は言うことを聞いてくれない。

玲王

ごめんなっ、ずっと追いかけてたもんな?しんどかったよな……

レオが背中をさすってくれる。

しかし頭から血が垂れてるのを見るだけで余計に俺の頭から血の気が引いていく。

まさかレオは……気付いてない?

はっ……れ、ぉ……病院っ、行かなきゃ……

玲王

ああ、そうだな。連れてくからしっかり掴まれよ?

あろうことかレオが俺をおぶって立ち上がった。

ち、が……

それは違う。俺がレオをおぶらなきゃ。俺がレオを守らなきゃ。

ち、がぅ……下ろし、て……

玲王

無理すんな。ほら、ばぁやのとこまで行こうな?頑張れ。

頭怪我してるのに何動こうとしてるの。

自分の方がやばいことに気づいてないの?

しかし俺の方も限界だった。

(やば……意識、が……)

自分が落ちてどうすんだ、レオを守れと自分の体に鞭を打つが、残念ながらもう耐えられるものではない。

レオ……

俺は蚊の鳴くような声でレオを呼ぶ。

玲王

ん?

ごめ、ん……

玲王

っ……凪?凪?

もう、何も考えられない。そのまま俺は意識を手放した。

玲王視点

玲王

ばぁや!ばぁや!!

俺は意識を失った凪を見てパニックになりばぁやの元まで必死に走った。

ばぁやは車の前で待機してる。

ばぁや

っ、玲王坊っちゃま!そのお姿は……!?

玲王

凪を乗せてっ!病院連れてって!早くしなきゃ……!

ばぁや

違います!……玲王坊っちゃま、その頭の怪我は……?

玲王

……え?

頭?俺はどこにも怪我してない。 痛みだってないのに。

ばぁや

かなり傷が深いですよ……!玲王坊っちゃまも早く!あ、傷口は触ってはいけませんよ?

玲王

わ、わかった!でもとにかく凪を早くっ……!

どうやら俺はアドレナリンで痛みに気づいていなかったらしい。

凪を突き飛ばした時に頭でも打ったのかな?あんまり記憶ないかも。

玲王

凪、頑張ったな……もう大丈夫だぞ……

俺は横になっている凪の頭を撫でる。

顔色が悪いし呼吸も少し変だ。 大丈夫なのか……?

俺はふと自分の服を見ると首元は血で真っ赤に染まっていた。

玲王

っ……俺、やばい?

ばぁや

どうか安静に!慎重に運転しますので玲王坊っちゃまもしっかり掴まってて下さい!

いつになく言葉が強いばぁやを信用して俺は大人しく言うことを聞いた。

玲王

ばぁや、病院前に担架とか待機させといた方がいいよね?

ばぁや

ええ。あと、玲王坊っちゃまもですよ?2人分です。

玲王

わかった。

俺はまだ自分の傷がそんなに酷いということを信じていなかった。こんなにも平気なのだから。

おかえりなさい!

そろそろこの話も終わりが見えて来ました。

他の作品も並行してるので毎回は投稿できないかもしれないですが……

完結までは必ず持ってくのでどうかよろしくお願いします!

それではさようなら!

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