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――シラヌイ家の邸宅。
ヴィクター&ディアナ
ウェンデッタ
リヴィオ
リヴィオ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
父母と弟の温かな祝いの言葉に、 ウェンデッタは 満面の笑みを浮かべた。
この日のために特注したドレスと 宝石とで着飾った姿は、 まさに『本日の主役』である。
ヴィクター
ヴィクター
ウェンデッタ
ディアナ
ディアナ
ディアナ
ディアナ
ディアナ
ディアナ
ディアナ
ウェンデッタ
ヴィクター
恥ずかしそうに 妻を止めようとする ヴィクター。
ディアナ
リヴィオ
ディアナ
思い出話へ花を咲かせる 家族たち。
自らも交じりながら、 ウェンデッタは しみじみと感慨にふけっていた。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
――笑顔の家族に 囲まれ過ごす、 何気ないひととき。
前世では脆く崩れ去ったからこそ、 その有難みが、ウェンデッタには 痛いほどわかる。
ウェンデッタ
こぼれそうになる涙を こらえ、“幸せ”を 噛みしめていると――
執事
ウェンデッタ
一瞬にして、令嬢の顔が 強張った。
ヴィクター
ヴィクター
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
父の言葉を、慌てて 否定する ウェンデッタ。
ディアナ
会話に割って入ったのは、 令嬢の母だった。
ディアナ
ディアナ
ヴィクター
意味深な熱い視線を ぶつけてくる妻に、 動揺する夫。
ヴィクター
ヴィクター
子どもたちの反応を伺ってから、 ヴィクターは、わざとらしい咳払いで 誤魔化した。
ウェンデッタ
リヴィオ
反射的に反論しかけた令嬢を 遮ったのは、 瞳をキラキラさせた弟。
ウェンデッタ
思わず引きつった笑顔に なるウェンデッタ。
ウェンデッタ
――ウェンデッタが “緊張”している。
それは事実なのだが――
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
無邪気にはしゃぐ一家を 横目に、2人は鋭い視線で 頷き合った。
――控室の1つ。
招待客向けに臨時開放された室内で、 ウェンデッタは “婚約者”と向かい合う。
アルス
2人きりになるや否や、 心配そうに尋ねる 皇太子。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
アルス
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
アルス
アルス
ウェンデッタ
アルス
アルス
アルス
ウェンデッタ
アルス
アルス
アルス
ウェンデッタ
表面上は、頬を赤らめて 嬉しそうに話す令嬢。
しかし内心は、 その真逆。
ウェンデッタ
彼女にとっての 皇太子は――
――前世の悲劇 の“元凶”。
婚約者であった自分を 手酷く振って、聖女クロエに 乗り換えたうえ、
理不尽に 自分を、家族を、大切な友人を 殺した“憎き仇”なのである。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
はっきり言って、アルスには 隙という隙がない。
――父である皇帝と同様、 優しく賢く、 国民に愛される皇太子。
――権力をはじめ、 この皇国の全てを 掌握しうる男。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
“完璧な強敵”への 対抗策――
――その『糸口』を探すのが、 本日の計画における 最大の目標だ。
表向きは会話も弾み、 場の空気が 温まりきった頃。
執事
執事
アルス
アルス
アルス
甘い言葉とともに、手慣れた様子で エスコートの手を差し出す 皇太子。
ウェンデッタ
令嬢はニコリと微笑むと、 迷うことなく 手を重ねたのだった。
――ウェンデッタの 16歳を祝う 誕生パーティー。
それは、ただの可愛らしい “誕生日”ではない。
ウェンデッタは、 皇国五大貴族『シラヌイ家』の直系で 『次期皇妃』でもある。
しかも『16歳』といえば、 この国の成人年齢――
――本日は 『次期皇妃が成人した特別な日』 を盛大に祝し、
皇国の有力者が集結する 一大イベントなのだ。
これを“好機”と見た ウェンデッタは、数日前から 密かに“計画”を立てていた。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
――当日の主役として、 貴族はじめ有力者と、直接 会話しやすいウェンデッタ。
――使用人として、 会場のあらゆる場所へ 溶け込みやすいダニエル。
ウェンデッタ
そして、時は 再び誕生日――
――広間。
煌びやかな会場には、 既に多くの人々が集まっていた。
揃いの正装に身を包んだ アルスとウェンデッタが 姿を見せると、
盛り上がりは、最高潮となった。
参加者
参加者
参加者
参加者
国を代表する有力者たちから、 口々に祝辞が述べられる。
ウェンデッタ
ウェンデッタは 上品な笑顔で応えつつ、 彼らの反応を探っていく――
だが、 パーティーも中盤と なった頃――
ウェンデッタ
ウェンデッタは 焦り始めていた。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
疲労困憊の令嬢が、訪問客の合間に こっそり溜息をつくと――
アルス
――穏やか笑顔のアルスが、 こっそり小声で ウインクしてきた。
アルス
ウェンデッタ
思わず 心の中でツッコむ ウェンデッタ。
貴族として厳しく育った彼女に とって、多少の会話は 苦ではない。
だが、本日は 例外だ。
会話相手は“大物”揃い。
さらには 未来の『悲劇』を止めるべく、 孤独奮闘しているのだから。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
気合いで笑みを捻りだし、 令嬢は 偽りの演技を続ける。
ウェンデッタ
アルス
アルス
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
いったん避難することに した少女。
会場直結の扉から、 屋外に出ると――
――バルコニー。
月明りの中、令嬢が見たのは 1人の影。
??
柵に寄りかかるようにして、 若い男は、無言で 星空を見上げている。
年齢は、おそらく ウェンデッタと変わらない ぐらいだろう。
ウェンデッタ
彼の美しい顔に目を奪われ、 ウェンデッタは 思わず見とれてしまう。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ふと気になったウェンデッタは、 わざと話しかけてみる ことにした。
ウェンデッタ
??
青年は、ウェンデッタを ちらりと見ると、すぐに 空へと目をやった。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
貴族同士らしからぬ反応に、 令嬢が戸惑っていると。
??
青年が ようやく口を開いた。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
??
聞きたいことだけ聞くと、 またもや無言で 星を見つめはじめる青年。
ウェンデッタ
ウェンデッタにとって、彼は 今まで会ったことが無い タイプだった。
ひとことで言えば――
――『ミステリアス』。
貴族としては 決して、正しい振る舞いでは ないのだが――
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
??
??
ウェンデッタ
??
??
ウェンデッタ
ウェンデッタ
青年が再び、 ウェンデッタへと視線を向ける。
??
それから ゆっくり言葉を紡いだ。
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
笑顔を保ちつつも、 心の中では首をかしげる ウェンデッタ。
彼女の『シラヌイ家』と同じく、 『フーレン家』も 由緒ある皇国五大貴族の1つ。
そのため基礎教養として、 主要人物の名前と顔は 暗記しているはずだが――
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
瞬間、彼女の脳内で、 足りなかったピースが はまった。