――バルコニー。
誕生パーティーでの情報収集に 行き詰まったウェンデッタが 出会ったのは、
ミステリアスな青年 『ノクトル』。
ノクトル
ウェンデッタ
ノクトルの口から 『魔塔』という単語が 出た瞬間。
令嬢の脳内で、 足りなかったピースが はまった。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
頭の中で『魔塔』の基礎知識を おさらいしつつ、 ウェンデッタは話を続ける。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタ
魔塔は、この皇国において、 皇族や貴族に対抗しうる 『第三の権力』だ。
魔塔には『強力な術者』も多く所属し その気になれば国を滅ぼせるほどの 力を持つ。
現状は“中立”を公言することで、 うかつに皇族や貴族が手出しできない 独立状態を保っているが、
その均衡は、今代皇帝が 即位してからの ここ十数年で崩れつつある。
何かあれば争いに発展しかねないほどの “一触即発”状態といえるだろう。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
2度目の人生を送る 彼女は、 よく知っている。
前世で 『聖アマツミヤ国の勢力図』 を書き換えた あの“重大事件”の詳細を。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
一瞬で“仮の計略”を組み立てた ウェンデッタは、 ノクトルへと向き直った。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
ノクトル
ウェンデッタは笑顔を崩さず、 言葉を続けた。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ノクトル
明らかに 顔色を変えるノクトル。
――星空を見つめること、数秒。
ノクトル
ノクトル
――翌日の午後。
しっかり休み、 パーティーの疲れも癒えた頃。
ウェンデッタは自室で、 専属執事のダニエルとともに 収集情報をまとめていた。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
満足げな顔で ウェンデッタが紅茶をすする。
ウェンデッタ
ダニエル
冗談っぽく 胸を張るダニエル。
うふふと上機嫌に 微笑むウェンデッタ。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
『皇国五大貴族』とは、 皇国を建国した5名をそれぞれ祖とする 五つの貴族家のことだ。
伝説によれば、 建国の祖となる5名は、 悪しき『闇の者』を封じたらしい。
それぞれが 『聖霊から授かった特別な力』を持っており、 五大貴族の子孫が 代々受け継いだとされている。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
――コンコン
急に何かを叩く音。
ウェンデッタ
ダニエル
2人が外を見ると、 そこにいたのは――
ダニエル
――くちばしで 窓枠を叩く小鳥。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
慌てて指示に従う ダニエル。
大きな窓を開けた瞬間、
小鳥は、優雅に 室内へと飛び込んだ。
ひらりひらりと天井を舞ってから、 ウェンデッタの前で 止まると――
――ぽわんっ
ダニエル
驚くダニエルを前に、 ウェンデッタは顔色を変えることなく 空中に浮かぶ封筒を見つめる。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
ウェンデッタ
ウェンデッタ
と断言し、 手紙を手に取る令嬢。
その封筒の口を止める封蝋には、 特徴的な『魔塔の紋章』が 刻印されていた。
――3日後。
ダニエル
ウェンデッタ
先日送られてきた 魔塔主からの返事を 要約すると――
――『詳しくは 直接聞きたいので、 魔塔へと招待する』
というものだった。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
気持ちを落ち着けるように、 深く深く息を吐きだす ウェンデッタ。
魔塔主より送られた 封筒から 取り出したのは――
――古びた鍵型の 魔導具。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
慣れない様子で、恐る恐る ウェンデッタの腕にしがみつく ダニエル。
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタが、 握りしめた鍵へと 『魔力』を流す。
それに呼応し、足元へ 出現したのは――
――光り輝く魔法陣。
と同時に2人を 魔力の光が 包み込んだかと思うと――
――魔塔の中。
ウェンデッタとダニエルは、 魔法陣が描かれた怪しげな部屋へ ワープした。
??
挨拶もなく 怪訝な顔で尋ねてきたのは、 不機嫌そうに 眉を吊り上げた眼鏡の男。
??
??
ウェンデッタ
――イザック・ハヤテ。
4年前、20歳にして 『魔塔主』の座を継いだ 若き天才魔術師。
ウェンデッタ
イザック
ウェンデッタ
ウェンデッタ
イザック
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ウェンデッタ
ダニエル
ダニエル
ダニエル
堂々と 言い放つ執事。
イザック
見定めるように ダニエルを眺めてから、 イザックは首を静かに振った。
イザック
イザック
イザック
イザックの瞳が 鋭く光った。
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