あさまでねる人。
💙
受話器を置き、僕は顔を上げた。
目の前には、 キッチンから持ち出した、包丁。
もう、心はきまっている。
💙
僕の無惨な姿を見て…… るぅとくんは、どう思うのだろうか?
悲しむ?
怖がる?
喜ぶ?
想像はつかない。……でも、 試してみるだけの価値はある。
るぅとくんが家に来るまで、あと、 約10分程。
言い換えると、僕の余命はのこり 10分。
💙
口元に笑みが広がっていくのを感じる
せいせいするんだろうな。
ほんとは、呼び出すならアイツが良かったんだけど。
💙
僕は、家電から少し離れたところにある、黒色の革製ソファに 寄りかかるようにして座った。
そのまま手に持っていた包丁を、 自分の心臓辺りに近づける。
刃先が胸に触れるまで、あと数センチになった。
💙
そこで、悲劇は起きた。
……手が、これ以上動かないのだ。
💙
近づけようとする度に、手が震え、 固まったように動かなくなってしまう。
💙
……包丁を両手で持ってみても、結果は同じだった。
💙
そこで。
玄関のドアを開ける音が、響いた。
ガチャ。
💛
1番聞きたくなかった、彼の声。
💙
焦りと怒りが混じった感情。
衝動的に持っていた包丁を 1度遠ざけ、思い切り自分の胸を突き刺した。
グサッ……
💙
💙
これだけじゃ、まだ死ねないかもしれない。
引き続き、何度か突き刺した。
1秒も経たないうちに、体に変化が現れる。
まず、激痛が走り、 後からドロっと生あたたかい液体が 胸の内から溢れ出すのを感じた。
高速に胸が脈打つ。 何かが込み上げてきて、 耐えきれず思い切り吐いた。
口の中が血の味で溢れている。
💙
以外に苦しい。そして死ぬほど痛い。
あ、死ぬのか。今から。
💙
痛い。痛い痛い痛い。
涙が溢れてきた。
むなしいなぁ……
💛
ここの部屋の床が踏まれた。
おそらくるぅとくんが来たのだろう。
💛
僕は朦朧とした意識の中で、 その声を聞いていた。
「つづく。」
あさまでねる人。
コメント
3件
うおっふぉう、好きです🥺