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赤くんと話すようになってから、少しだけ学校が楽しかった。
いつも静かだった昼休み。
今は彼が隣の席に座って、お弁当を食べている。
赤 。
赤 。
橙 。
橙 。
赤 。
赤 。
彼の言葉はいつもさり気なくて、だけど時々、何かが引っかかる。
たとえば今日。
彼が、私のお弁当の中身を知っていたこと。
たしか、私が卵焼きを食べてるところなんて、見せたことなかったはずなのに。
_たまたま、かな?
そう自分に言い聞かせて、私は笑って誤魔化した。
その日の放課後。
赤くんは、私より先に教室を出ていった。
私は少し荷物の整理に手間取って、校門を出たのは17時を過ぎていた。
ふと、背後に気配を感じて振り返る。誰もいない
気のせいだと思って歩き出したその瞬間。
赤 。
橙 。
すぐ背後から名前を呼ばれて、心臓が跳ね上がる。
振り向くと、そこには赤くんがいた。
赤 。
赤 。
橙 。
赤 。
赤 。
どうしてそんなことまで……?
私自身、うっかり忘れていたような些細なことまで、彼は全部知っていた。
赤 。
赤 。
その笑顔は、優しいのに、どこか恐ろしいくらい真っ直ぐだった。
まるで、私のすべてを見透かすような。