テラーノベル
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次の日。
私は少し遠回りをして、いつもと違うルートで登校した。
朝の空気を吸って落ち着こうとしただけ__だったはず
赤 。
その声に、足が止まる。
目の前にいたのは、赤くんだった。
赤 。
赤 。
橙 。
橙 。
赤 。
赤 。
赤 。
彼は笑う。でも、私は笑えなかった。
偶然_そんなこと、何度も続くわけがない。
それからも"偶然"は続いた。
コンビニで、図書館で、駅のホームで。
私が一人でいると、何故か彼が現れる。
赤 。
赤くんは、笑顔のまま言う。
だけどそのたびに、私の心は冷たくなっていった。
本当に、偶然……?
そんなはず、ない。
あの通学路も、買い物の時間も、私は誰にも言ってない。
じゃあ、どうして_
帰り道、ふと振り返ると、そこには誰もいなかった。
でも、見られているような気配は消えない。
胸の奥に芽生えた不安を、私は無理やり押し込めた。
だって彼は、ただ優しいだけ。
私なんかを見つけてくれた、唯一の人だから。
信じたい。
でも_怖い。
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