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突然ですが、僕はバツイチである。

離婚した理由は単純で、 価値観の不一致。

そこで僕は考えた。

次に恋をするなら、 価値観が100%合う人にしようと。

カチ恋〜100%価値観が合う恋人〜

まずは、髪の毛を送ってください。
毛根の細胞から遺伝情報を読み取り、あなたと価値観がぴったりの恋人を紹介します。と

怪しいけど、もうバツも1つついたし、失うものもないから試してみるか

細胞提出後、数日して通知が届いた。

駅前の喫茶店に行ってください。 窓際の席であなたの理想の恋人が お待ちしております。

ここか。

あの、こんにちは。

ここで出会った僕の今の彼女、 仮の名をイマカちゃんとしよう

イマカちゃん

はじめまして

イマカちゃん

イマカです。すみません、先にハンバーグプレートとクリームソーダ頼んじゃいました。

構いません。僕も同じのを!

イマカちゃん

いや、そうじゃなくても2人分頼んだんです。勝手にすみません。

いや、いいですよ2人で同じもの食べたいじゃないですか?

イマカちゃん

私もそう思ったんです。良かったー。価値観合いますね。

合いますねー、価値観

そして僕らは、何度かあって 結婚した。

価値観の合う、理想の夫婦。

の、はずだった。

イマカちゃん

はい、コーヒー

ありがとう

ポテチ買ってきた。
絶対のりしお味だよねー

イマカちゃん

ほんと。のりしお味以外いらないよね

ほんと。なんでコンソメ味とか作ったのか謎。

何もかも全て理解し合える。 言い争うことも、言い争えなくて モヤモヤすることもない。

理想的な夫婦。 価値観のあった夫婦。

だけど、どこか物足りない…

元嫁との生活

元嫁の事は、便宜上モトヨと 呼ぶことにしよう。

モトヨ

うすしお味のポテチ買ってきたから、チョコつけて食べようよ

何から突っ込んでいいのかわからないくらい、意味不明な食の好みだな!

それに僕はのりしお味しか食べないって言っただろ

モトヨ

1回食べてみおいしいから

本当だ!

思わぬ発見もあって楽しかった。

仕事が忙しくて今日2時間しか眠れてないんだ

モトヨ

キリンじゃん!

キリンってそんなに睡眠時間短いの?

モトヨ

そうだよ。結構有名な話だよ。

モトヨ

ちなみに私は今日12時間寝たから、コアラだね。

コアラは12時間なんだ。すげえ!

モトヨ

そうだよ〜!これも有名!

あんなに楽しかったのに…

モトヨ

ポテチ買ってきたよ

なんでのりしおじゃないの?

モトヨ

だって前チョコつけて食べたら、うすしお、おいしいって

それはチョコがあるからであって、常日頃からそんな質素なうすしおなんて食べないよ!貧乏くさい!

モトヨ

貧乏くさいって何よ

モトヨ

あんたこそ、いつものりしおばっかり。同じものばっかり大量に食べてパンダみたい!

パンダ?

モトヨ

パンダはとても偏食で、笹だけを大量に食べるの!

お前なんで動物の知識ばっかりそんなに多いんだよ!前々から思ってたけどお前めちゃめちゃ変なやつだぞ!

もう一緒にいるのもしんどいんだよ

モトヨ

じゃあ、離婚した方がいいかもね!

そして、僕の戸籍にバツがついた。

ある時カフェで元嫁を見かけた。 指をしていたので、再婚したらしい。

一緒にいる男性はきっと、 今の旦那さん。 仮にイマダさんとしよう。

モトヨ

ちょっと、このパフェ思ってたより小さくない?

イマダさん

そうだね。パフェにしては小さすぎるね。

イマダさん

霊長類に例えたら、ピグミーマモセットだね。

モトヨ

ほんと。これじゃ足りないからポテトも頼もうか。

イマダさん

そうだね、塩味と、バーベキューソース味があるけど、もちろん塩味だよね

モトヨ

そりゃそうだよ。うすしお一択でしょ

2人は食事を済ませた。

イマダさんは仕事があると言って 席を外した。

僕は思わず、モトヨの向かいの席に 座った。

あのさ、元気?

モトヨ

元気だよ

新しい旦那さん?ずいぶん話が合うみたいだね

うすしお派でよかったじゃん

動物が好きで、動物のうんちくめっちゃ語る人でよかったじゃん

モトヨ

そう…だね

モトヨ

ねえ、何しにきたの?

モトヨ

あなたも再婚してるんでしょ?

机に置かれた僕の左手を指さした。

相手は別れた妻。 でも、好意を持って会うなら、 これはきっと不倫だ。

わかっていても、止められなくて それから幾度と無く 僕たちは密会した。

これは、禁断の恋だ。 元嫁との不倫。

イマカちゃん

ねえ、あなた何してるの?

ある日、モトヨとの密会がイマカに バレてしまった

イマダさん

お前、何してるんだ

イマダさんも…

モトヨ

あなた…

イマカちゃん

ひどいわ

イマダさん

なんてひどいんだ。君たちのために生まれてきた僕たちを、こんな目に合わせるなんて!

どういうことですか?

モトヨ

私たちのために、生まれてきた?

イマダさん

これを見ろ

イマカちゃん

この忌々しい紋章を!

2人が斜め上を見ると、 白目の部分に模様が浮かび上がった

イマダさんは、XXTOXY イマカちゃんは、XYTOXX

イマダさん

2人とも、カチ恋にエントリーしただろ?

そ…そうです。

モトヨ

私も

イマダさん

僕は、モトヨと同じ遺伝子を持った今は性別が違うだけのクローンなんだ。

イマカちゃん

私はあなたのクローンよ!

イマダさん

女(XX)から男(XY)で、XX to XY

イマダさん

まるで物流品の商品ロットみたいだ

イマカちゃん

それでも、同じ価値観を持った人と幸せになると思ったのに

イマカちゃん

何という裏切り!

これは、禁断の恋だ。 僕は、自分自身に恋していたのだ。

イマカちゃん

勝手にすればいいわ。これだからオリジナルなんて信用できない。

イマダさん

そもそも人間は、遺伝学的多様性の観点から、自分からかけ離れた遺伝子を持つものに惹かれるようになっているんだ。

イマカちゃん

そもそも価値観が近い人と結婚しようってのが間違いなのかもね?

イマダさん

でもその理屈で言うと、あの男とモトヨさんは、価値観が違うって事は、かけ離れた遺伝子を持っている可能性が高いってことだよね?

イマカちゃん

そうだね。だから別れてもまたこうやって、不倫してまで惹かれあった。それなら…

イマダさん

そうそれなら、イマカと僕もまた同じこと。

これは、禁断の恋なのだろうか? 僕たちが作ってしまった クローンどうしの恋。

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