テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
129
ねこねこにゃんこ
841
45
#〔インターネット少年/少女〕
狸野 ゆゆせ
249
メッセージが届いたのは、夕方の少し前だった。 朝比奈ひかりは、スマートフォンの画面を見たまま、しばらく指を止める。 送り主は、月城レイ。 たったそれだけで、胸の奥が少しだけざわついた。
月城レイ:今日、少し時間ある?
いつもなら、何でもないように返していたはずだ。 打ち合わせか。 次の配信の相談か。 それとも、ただの雑談か。 でも、今日は違う。 ひかりは、ここ数日で自分の気持ちが変わってしまったことを、ちゃんと知っている。 レイの声を聞くだけで落ち着かなくなる。 名前を見るだけで、心臓が少しだけ速くなる。 それがもう、ただの同期に向けるものじゃないことも。 だからこそ、短いメッセージひとつでさえ、少しだけ緊張した。
朝比奈ひかり:あるよ。どうしたの?
すぐに既読がつく。 でも、返事は少しだけ遅い。 ひかりは、返事を待つあいだ、ベッドの縁に座ったままスマートフォンを握りしめた。 ……何だろう。 打ち合わせなら、こんなふうには聞いてこない気がする。 雑談にしては、少しだけ改まっている。 考えているうちに、通知が鳴った。
月城レイ:駅前のカフェ。今から行ける?
朝比奈 ひかり
思わず声に出る。 時間を見る。 まだ夕方には少し早い。 今からなら、十分行ける。 でも、今から“会いたい”と向こうから言われたような気がして、ひかりの胸は妙に落ち着かない。
朝比奈ひかり:行けるよ
送ってから数秒。
月城レイ:じゃあ、待ってる
ひかりは、その一文を見つめたまま、少しだけ動けなくなった。 待ってる。 その言葉が、なんだかいつもよりずっと強く見える。
朝比奈 ひかり
ひかりはスマートフォンを抱えたまま、軽く息を吐いた。 会いたいのは、こっちのほうだ。 でも、そのことを自分で認めるのは少しだけ悔しい。
駅前のカフェは、夕方前の人の流れが少し落ち着いていて、窓際の席にも余裕があった。 ひかりが店に入ると、奥の席でレイが手を軽く上げた。 いつも通りの顔。 落ち着いた表情。 黒っぽい上着に、見慣れた横顔。 なのに、今日はそれだけで胸が小さく跳ねる。
朝比奈 ひかり
ひかりが近づくと、レイは一瞬だけ目を上げて、すぐに視線を外した。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは少しだけむくれながら、向かいの席に座った。 店内には静かなBGMが流れている。 コーヒーの香りと、人のざわめきが、ほどよく混ざっていた。
朝比奈 ひかり
ひかりが聞くと、レイはすぐには答えなかった。 メニューを閉じて、少しだけ指先で紙の端をなぞる。 その仕草が、なぜかいつもより静かに見える。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイの声は、いつもより少しだけ低かった。
月城 レイ
ひかりは、少しだけ息を止めた。 あのときのメッセージが、頭の中でよみがえる。 月城レイ:……俺も、ひかりのこと気になるし あれ以来、ずっと胸の奥に残っている言葉だった。
朝比奈 ひかり
ひかりが頷くと、レイは軽く目を伏せた。
月城 レイ
少しだけ間が空く。
月城 レイ
ひかりの心臓が、ひとつ大きく跳ねた。
朝比奈 ひかり
レイは、ひかりの顔を見ないまま、窓の外を眺めていた。 でも、その声は逃げていなかった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、手元のカップを無意識に握った。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイは一度そこで言葉を切る。 そして、少しだけ息を吸った。
月城 レイ
ひかりの胸が、静かに熱くなる。 言葉の続きを、聞きたいような、聞きたくないような。 でも、もう逃げられない気もした。 レイは、そこで初めてひかりのほうを見た。 その目が、思ったより真っすぐで、ひかりは少しだけ視線を逸らしたくなる。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、その問いに一瞬だけ黙った。 どう思ってるか。 そんなの、もう自分でも分かっている。 分かっているけれど、簡単に口にはできない。 好きかもしれない。 たぶん、好きだ。 レイのことを考えない日がない。 声を聞くだけで嬉しい。 他の誰かに向いているのを見ると、少しだけ苦しい。
朝比奈 ひかり
ひかりがそう言うと、レイが少しだけ息を飲んだ。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、そこまで言って、少しだけ言葉を探す。
朝比奈 ひかり
言ってから、ひかりは自分で驚いた。 こんなこと、思っていたよりずっと真っすぐだった。 でも、もう止められない。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイの目が、ほんの少しだけ見開かれた。 ひかりは、そこでようやく恥ずかしくなってきて、カップを持つ手に力を入れる。
朝比奈 ひかり
レイは、少しだけ黙った。 それから、ほんの少しだけ口元をゆるめる。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイは、少しだけ視線を落とした。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりの目が、少しだけ大きくなる。 レイは、そこで少しだけ苦笑した。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、そこで言葉を止めた。 だって、本当に分かりやすかったわけではない。 でも、分かってしまったのだ。 気になっていること自体が、もう隠せていない。
朝比奈 ひかり
レイが、静かに言う。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
少しだけ間があって、レイは続けた。
月城 レイ
ひかりは、そこで完全に黙った。 レイは、ほんの少しだけ照れたように視線をそらす。 それが珍しくて、ひかりは思わず見つめてしまう。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
レイは少しだけ笑った。 でも、その笑い方は軽くなかった。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、その言葉に胸が熱くなるのを感じた。 会いたかった。 話したかった。 ちゃんと、目の前で。 それがどんな意味を持っているのか、ふたりともまだ少しだけ怖い。 でも、逃げなかった。 少なくとも、今は。
朝比奈 ひかり
ひかりがそう言うと、レイは少しだけ目を細めた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、少しだけ笑った。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
言いながら、ひかりは少しだけ頬を熱くする。
朝比奈 ひかり
レイが、わずかに口元をゆるめた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
ひかりは、小さく頷いた。 レイは、少しだけ黙ってから、静かに言う。
月城 レイ
その一言に、ひかりは息を止めた。 やめてほしいのか。 やめてほしくないのか。 そんなの、もう分からない。 でも、ひとつだけ分かる。 それがなくなったら、少しだけ寂しい。
朝比奈 ひかり
ひかりがそう言うと、レイはほんの少しだけ目を見開いた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その返事は、思ったよりやわらかかった。 ひかりは、少しだけ安心したような、でももっと緊張したような、変な気分になる。 ここまで言ってしまったら、もう何でもないふりは難しい。 たぶん、レイも同じだ。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは少しだけ言葉を選んでから、ゆっくり言った。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりの胸が、静かに鳴る。 会えてよかった。 その言葉だけで、どうしてこんなにも嬉しいのだろう。
朝比奈 ひかり
ひかりは、少しだけ照れながら答えた。
朝比奈 ひかり
レイが、その言葉に少しだけ黙る。 そして、ほんの少しだけ視線を落としてから、小さく笑った。
月城 レイ
その一言は、さっきよりずっとやさしかった。 カフェの窓の外では、夕方の光が少しずつ傾いていく。 テーブルの上には、ほとんど減っていない飲み物と、まだ言い切れていない気持ちが残っていた。 でも、もう分かっている。 気になる。 気になるだけじゃない。 たぶん、もっと。 ひかりは、レイの顔を見た。 レイも、ひかりを見ている。 目が合って、すぐに逸らす。 でも、その一瞬だけで十分だった。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、少しだけ息を吸った。
朝比奈 ひかり
レイが、少しだけ苦笑する。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
その返事は、やけに静かだった。 でも、静かなぶん、深く落ちる。 ひかりは、少しだけ笑う。
朝比奈 ひかり
レイも、少しだけ笑った。 まだ告白じゃない。 まだ名前もついていない。 でも、もう戻れないところまで来ている気がした。 店を出たあと、外の空気は少しだけ冷たかった。 並んで歩く帰り道。 ひかりは、隣を歩くレイを見上げて、少しだけ口を開く。
朝比奈 ひかり
月城 レイ
朝比奈 ひかり
レイは、少しだけ間を置いてから答えた。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、少しだけ言葉を探す。 でも、まだ言い切る勇気はない。 だから、今はこれだけでいい。
朝比奈 ひかり
レイの足が、一瞬だけ止まった。 ひかりは、その横顔を見ないふりをする。 レイは、少しだけ黙ってから、低い声で答えた。
月城 レイ
その声が、やけに近く感じた。 ひかりは、思わず頬が熱くなる。 まだ何も終わっていない。 でも、ふたりの間にあるものは、もう見えないままではいられない。 そんな気がした。
月城 レイ
朝比奈 ひかり
月城 レイ
ひかりは、少しだけ笑った。
朝比奈 ひかり
レイも、短く頷く。 そのまま、ふたりは少しだけ黙って歩いた。 言葉はなくても、もう十分だった。 ただ、心のどこかで分かっている。 今日のこの時間は、きっと忘れられない。 そして、次に会うときには、もう少しだけ何かが変わっている気がした。
コメント
1件
うわ、やばい……これめっちゃ良かった。 「気になるだけじゃ足りなくなってきた」ってレイの言葉、重すぎて刺さった。しかもひかりも「他の人と話してるとこ見るとちょっと嫌だった」って正直に言っちゃうところ、リアルすぎて胸がギュッてなった。 まだ告白じゃないけど、お互いちゃんと気持ちを言葉にしようとしてる感じが尊すぎる……続き、めっちゃ気になる🔥