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悠佑
そう言って家から駆け出し、 待ち合わせ場所へ向かう。
悠佑
そんな恨み言を言うが、初兎を ちょっぴり意識させるためには 仕方のないことだとまとめる。
悠佑
走ることに適していない格好で、 いつもよりも速く走り出した。
悠佑
悠佑
待ち合わせ場所は神社の前だと 混むから、神社の近くの公園になった
悠佑
待ち合わせ時間は5時30分だ。 家を出たのがそのくらいだから、 少し遅れてしまってる。
初兎
悠佑
公園の前でおろおろしていると 後ろから初兎の声が聞こえた。
初兎
顔を見てから言うのはそれか。 謝罪かと思ってた俺は少し面食らった
悠佑
それでも、褒められたのは嬉しくて 顔に熱が集まっていく気がした。 きっと、夕日のせいだ。
初兎
空気を変えるように、言い放つと 俺に手を差し出した。
悠佑
その手を握って二人で駆け出した。 あつくて楽しい夏祭りを目指して
手を差し出された時、ちょっと キュンときたのは初兎には内緒だ
悠佑
様々な屋台が神社を色とりどりに 輝かせている。
悠佑
初兎
そのとき少し時が止まった気がした 初兎は頬を赤く染めている。
悠佑
変な気持ちになってきてしまった。 自分の顔も今は赤いのだろう。
初兎
悠佑
初兎の手と、俺の手が絡み合う 別に恋人繋ぎというわけではないが それだけの行為が気恥ずかしかった
悠佑
初兎
変な雰囲気になってきたので 俺は初兎の手をひき適当に見つけた 射的屋台に連れて行った
悠佑
射的屋のおじさん
悠佑
棚にはクマの人形やお菓子、 缶ジュースなど、子供が好きそうな ものが並べてあった
初兎
悠佑
棚に陳列する品を眺めて、 一つ欲しいものを見つけた。
悠佑
箱の中に入った二つのおもちゃの指輪 これこそ、子供騙しのものだろう けれど俺はそれが欲しいと思った
初兎
悠佑
初兎が言ったのはクマの人形。 可愛いなコイツくらいにしか考えて いなかったが子供の物という印象は なかなかぬぐえない
初兎
悠佑
初兎
初兎
悠佑
先ほど屋台で見かけた焼きそばが 美味そうだったから勝った暁には それを奢ってもらおうと思った
悠佑
初兎
初兎が銃を構えたと同時に、 俺も銃を構える。 狙うは指輪、ただ一つだ
パン パン パン
それぞれが3発、弾を打った。
悠佑
初兎
俺も、初兎も緊張していたのか、 それぞれ息を吐き出した。
射的屋のおじさん
悠佑
初兎
受け取る時の反応を見れば もう分かるだろう。
悠佑
結果は俺の目的の物は取れたが、 俺自身の球では取れなかった。
初兎
そう、最後の一球 初兎は取ったのだ ーーーー指輪を。
悠佑
初兎
指輪を渡すと初兎は黙りこくって 動かなくなってしまった。
悠佑
初兎
悠佑
初兎
固まってしどろもどろしてる初兎。 なんか可愛いがいまは理由を知りたい だから顔を近づけて問い詰める
初兎
悠佑
俺が負け…な気もするが、欲しい物を 取れたら勝ちという話だったはずだ だからこの場合は……
悠佑
引き分け それは勝負事をしてる側に とっては良くない結果なのだろう。 だけれど、俺は嬉しかった。
初兎
初兎のほんの少し、赤く染まった頬。
悠佑
触れたい、できればキス…やって、 してしまいたい。
悠佑
初兎
変な空気になる前に、話題を変える。 …いや違うあのままだったら、 俺は…きっと我慢できなかったから…
悠佑
俺は焼きそばを思うがままに すすって食べていた。 ちなみに初兎はりんご飴を買った
初兎
悠佑
初兎がじっと見つめてきた。 もしかしたら、一口欲しいのかも? とか考えながら問う
初兎
初兎
どうやら読みは当たっていたらしい
悠佑
焼きそばを差し出すと、 初兎は一瞬驚いた顔をして、 次はため息を吐き出した
初兎
悠佑
あんまり小声だったから 聞こえなかった。 そ……て?そうめん食いてー?
初兎
悠佑
初兎
意気消沈、といった様子だが それでも食い意地だけはあるらしい
初兎
悠佑
初兎
悠佑
箸が他にないから当たり前のことを 言ったつもりだったのだが、 初兎は何故か固まってしまった
悠佑
理由が一つ、思いつく
悠佑
箸を介したキス。 今更気にする関係なのかと問われれば 否定はできないのだが…それも昔の話
悠佑
今の時代はジェンダーがどうとか、 そんな話をしているらしいが ノンケの親友にそれを押し付けるのは少し違うと思う。
初兎
そう叫ぶと少し乱雑に箸を俺から取り 焼きそばをかっ喰らう初兎がいた
悠佑
少しの戸惑いと、
初兎
悠佑
大きな喜び。
初兎
悠佑
初兎
やっぱり、初兎は初兎なのだ。
悠佑
ただただ君が、愛おしい
初兎
ゆっくりと染まっていく頬の、 この夏の暑さに俺も存外 浮かされているようだ。
初兎
悠佑
初兎が話しかけてきたのはちょうど 俺が焼きそばを食べ終わって、 さらにかき氷を買ってきていた頃
初兎
悠佑
まだ夏祭りの主役とも言える、 花火を見ていたないのに?と 心底疑問に思った
悠佑
初兎
初兎
ここまで真剣に言われてしまったら もう俺に拒否権はない。
悠佑
これが、惚れて"しまった"弱み というやつなんやな…
俺は初兎に手をひかれて、 夏祭りに名残惜しさを感じながら 二人走り抜けた。
悠佑
初兎に連れられてついたのは 夜の公園だった
初兎
悠佑
祭り会場、神社との距離を考えれば 見えることは明白ではあるが、まあ 知らなかったということにしておこう
初兎
初兎の顔が見えないから、 どんな感情で言っているのか 分からない
悠佑
それが尚更、 頭に?を浮かべることになっている 俺を見ると、 初兎は振り返り、小さく微笑んだ
初兎
初兎
悠佑
やっぱり、綺麗だ なんて、思いながら俺は耳を傾けた
初兎
そのとき、花火が咲く音がした
初兎
悠佑
綺麗だと、二人一緒に打ち上げられた 花火を見上げた
初兎
悠佑
腕を強引に引っ張られ 初兎の方を向くしかなかった。
初兎
紫水晶の瞳がいつになく 鮮やかに輝いていた
初兎
その声を、言葉を、表情を、 何一つ取りこぼすことなく 俺は初兎を見ていた。
悠佑
抑えきれなくなった感情が、 言葉と一緒に飛び出してくる。
悠佑
花火は色鮮やかに咲き誇っていて
初兎
少し呆けた顔をした君がいた
初兎
初兎
俺の左手が初兎に握られて、 その薬指に、なにかがはめられて
初兎
初兎は俺の手を持ち上げ、 唇に近づけて小さなリップ音の後、 そう言った
悠佑
初兎
不安気な顔…ではなく、 いたずらっ子のような笑みを浮かべ 問いかけてくる
悠佑
それが、どれほど嬉しいことなのか 俺はわかっているから。
初兎
悠佑
そう言って、初兎の指に丁寧に おもちゃの指輪をはめていく
初兎
指輪をはめたあと、とんでもない ことをいい出した。
悠佑
俺は小さく笑ってから答える
悠佑