雫
暴風のようなその戦場支配力に、太宰ですら呼吸を忘れて見守っている。
雫
雫
中原中也
GSS
中原中也
GSS
銃が発射された。中也は重力操作で弾丸を無効化しようとしたーーーが、できなかった。 するまでもなかったのだ。怪我のせいで弾丸の狙いがそれ、中也の頭の横を通り過ぎた。 その弾丸は背後の大木に命中し、固い木肌に跳ね返された。時速一千粁で飛躍する銃弾は、跳ね返った後でも相応の速度を保有する。対人用柔弾頭が潰れ、螺旋回転から不規則回転へと変化した銃弾は、危険な跳弾となって持ち主へとまっすぐ返っていった。 潰れた弾丸が、男の首に突き刺った。
GSS
不運な事故ーーーだが、戦場ではごくありふれた事態だ。
一部始終を目撃していた中也は眉をひそめ、小さく舌打ちした。
中原中也
雫
雫が静かに歩き出した。その時、
太宰治
GSS
太宰治
太宰治
GSS
太宰治
GSS
太宰治
太宰が立ち上がり、銃の引き金を引いた。 弾丸が頭部に命中し、それで男の体はただの物体になった。
太宰治
太宰はさらに銃を撃った。弾丸が次々に命中した。男の死体が跳ねる。
太宰治
中原中也
雫
中也と雫が横から銃を、太宰の腕を掴んで止めた。 太宰は掴まれた拳銃を見て、足下の死体を見て、中也を見て、雫を見た。不思議そうな顔をしていた。
中原中也
太宰治
そして拳銃を汚いもののように放り投げ、死体にも中也や雫にも興味を失ったかのように歩き出した。
太宰治
中原中也
雫