青年は、その幼年時代を孤児院で過ごした。
彼に、自分が何者なのかを知る権利はない。 自由に出歩く事も許されず、 彼に許されていたのは夢を見る事だけだった。
ダリア
朝ごはんよ〜。リリー、サンドいらっしゃい。
リリー
はーい!
サンド
あ!待ってよお姉ちゃん。
レイン
リリー、サンドおはよう!
リリー
パパおはよう!
サンド
おはよう〜
レイン
なんだサンド、眠そうじゃないかw
サンド
昨日夜更かししちゃったんだよ。
レイン
これに懲りたら明日から早く寝るんだぞ〜?w
サンド
うん、分かってるよ!
ダリア
さあさあ、早く食べないと朝ごはんが冷めちゃうよ?
リリー
そうそう、本当サンドはお喋りなんだから!
サンド
お姉ちゃんに言われたくないよ!w
サンド
お母さん!お客さんが来たみたいだよ!出ないのー?
ダリア
お母さん今手が離せないからサンドが出てくれない?お願いね。
サンド
仕方ないなー。分かったよ。
カチャッ
サンド
あれ〜?ごめんなさい!どなたですか?
老人
説明は後だ。今すぐこの家から出てほしい。
サンド
え…なんで?
老人
いいか、よく聞いてくれ。君の家は砂で出来ている。時期にこの家は崩れて君の家族だって居なくなっちゃうぞ。
サンド
確かに僕の家は砂で出来てるけど、普通はみんな砂の家に住んでるんでしょ?なんで僕の家だけ崩れるの?
老人
今説明してる暇なんてないんだが、これだけは言っておく。普通はみんな砂なんかで出来た家に住んでいないんだ。
サンド
おじいさん僕を騙そうとしてるでしょ?それでこの家を乗っ取る気だ!大体僕のお母さんとお父さんが嘘なんかつくはずない!
老人
話の通じない奴だなぁ
サンド
ねぇお父さん!変なおじいさんがいるよ。
レイン
ちょっと待ってろ、今行くから。
レイン
あのー、うちに何の用でしょうか?
老人
私はあなた達を助けに来たんだ。この砂の家はもうすぐ崩れる。だから早く逃げろ。
老人
言う事を聞かないなら無理矢理にでも出すぞ。
ダリア
すみませんが、これ以上変な事を言うなら帰ってください。
ダリア
やめて!
老人
早く逃げないとお前ら全員死んでしまうぞ!
サンド
僕は…
サンド
僕は家族を守りたい。
サンド
おじいさん…ごめんなさい。やっぱりお母さんやお父さんが嘘をついてるなんて信じられないよ…
老人
な……包丁…
老人
うぅ
サンド
僕は…
レイン
見るな。サンドのせいじゃない。
ダリア
…
ガタガタッ
リリー
…何!?
ダリア
リリー、サンド!大丈夫!?
レイン
地震か…?
サンド
お父さん、お母さん、怖いよ…。
レイン
大丈夫だ、ただの地震だろう。
リリー
そうだといいんだけど…
ガラガラッガラガラッ
リリー
ねぇ、砂が落ちてきてない!?
レイン
バカな…!
サンド
怖いよ…
ダリア
みんな落ち着いて、とりあえずこの家から出ましょう。
ダリア
わっ!!
レイン
大丈夫か?ダリア!?
ダリア
玄関に砂の山があって出られないわ…
レイン
そんな…
リリー
やだよ〜!砂に埋もれて死ぬなんて。
ガラガラッ
リリー
助けて…
サンド
お姉ちゃん!?早くお姉ちゃんを引き揚げないと!
レイン
すまん。リリー、サンド。父さんはもう身動きが取れない。
ダリア
あなた!
レイン
ダリア、ごめんな。子供達の事頼んだよ。
ダリア
そんな…いやぁぁぁぁ!
リリー
…
サンド
お姉ちゃん!お母さん!
ダリア
ごめんね、2人とも。
その夜、少年は砂に埋もれていく家族を一晩中見つめていた。
少年は、砂を掘り返す。ただひたすらに。
だがそこから、ただ1人さえ見つける事は出来なかった。
月日は巡り、少年は15の誕生日を迎えた。
サンド
あれは幻だったのか。僕には家族なんて居なかったんじゃないかって時々思う。
サンド
何故あの時、お母さんやお父さん、お姉ちゃんの遺体が出てこなかったんだろう。
サンド
僕の家族は確かにそこで生きていたのに。
サンド
最初からいなかった?全て僕の妄想だった?じゃあ僕の本当の家族は誰なんだ。
サンド
分からない。
サンド
もう一度あの場所に行ったら真相が分かるだろうか。
青年は、真相を確かめるべくあの場所を何年も何年も探し続けた。
年老いた彼は、いつものように探索していた所あるものを見つける。
彼の家だ。忘れもしない。彼らが生きていた証だった。
サンド
もし、まだ私達が生きているなら…止められるかもしれない
サンド
おじいさん誰?
サンド
だから私は君たちを救うためにやってきたんだ。






