神官達
女神様、次の神託の儀ではもう少し穏やかな声でお願い致します

神官達
女神様、本日もあの素敵な笑顔をお見せください

こはね
(今日は疲れたなあ⋯⋯)

神官達
!

神官達
女神様、お姿を崩しては!

こはね
⋯⋯

こはね
ごめんなさい。

こはねは女神として、食事の仕方も、歩き方も、笑い方さえも「こうあるべき」と矯正されている。
こはね
はあ⋯外に出てみたいなあ⋯

神官達
外は穢れています、女神様。貴方が出れば、民が不安がります

こはね
⋯⋯⋯っ、そうですよね⋯ニコッ

神官達は部屋の外へ出ていく。
こはねは身につけていた冠を外し、両手でそっと抱き抱えた。
こはね
この冠、重いな⋯

ビビルカ
女神様!本日は外の空気を吸いに行かれるのは如何でしょうか?✨

こはね
え⋯?

ビビルカ
私が責任を取りますよ!少しだけでも、気持ちが楽になるんじゃないかと!

初めて女神では無く、1人の人間として扱われた気がした。
こはね
うん⋯ありがとう、ルカさん

2人は、これをきっかけに徐々に距離が近づいていく。
ビビルカ
(女神様の色んな表情を見れて楽しかった〜!)

ビビルカ
(最初は女神みたいな優しい笑顔だけだったけど、焦った顔、驚いた顔、わくわくした顔⋯色んな顔を見れて嬉しいな〜)

こはね
(ルカさん、素敵な人だな)

こはね
(冒険心っていうのかな⋯失敗するかもしれない事に対してもワクワクを求めて挑戦するルカさんを見て、私もつられて笑顔になっちゃう)

こはね
(かっこいいな⋯)

神殿を狙う反乱軍が襲撃。
ルカはこはねを守るために前線へ立ち、傷を負った。
こはねは恐怖と焦りで思わず外へ飛び出し、ルカのもとへ駆け寄る。
こはね
る、ルカさん⋯!?

こはね
し、しっかりして!

こはね
神官長!ルカさんが立ってられない程の傷を⋯!!私があちらの休息所まで連れていきます!!

神官達
!?女神様、お待ちになられてください!

ビビルカ
⋯⋯女神様⋯泣かないで

ビビルカ
致命傷では無いから、数週間で治るよ⋯

こはね
治療して欲しいと思うのは、悲しくて泣いてるのは、“女神”じゃない。“私”なの!

神官達
⋯ですが、女神様がこれ以上外に出ては危険なのもまた事実。サポート班に緊急で治療を頼みます

こはね
⋯ありがとうございます

こはね
(⋯あれ?)

こはね
(私、いつの間にルカさんの事こんなに大事になってたんだ)

こはね
⋯⋯。

こはね
⋯⋯!?

こはね
かぁぁぁ⋯///

ビビルカ
(さっき、女神様―こはねちゃんを初めて人として見たなあ)

ビビルカ
(なんだろう、すごくドキドキしてきちゃった!)

ビビルカ
(同じ人間として見てみたら、なんだかすごく魅力的な人に見えてきた⋯)

ビビルカ
(でも、それだけじゃない)

ビビルカ
(あの時、私の事“持ち上げた”よね??)

ビビルカ
(⋯⋯⋯女神って護身の為に鍛えてるのかな?)

ビビルカ
こはねちゃん!

ビビルカ
私、伝えたい事があって⋯!

こはね
⋯⋯!

こはね
はい、教えてほしいです

ビビルカ
わ、私、こはねちゃんの事が好き!

ビビルカ
だから、えっと、付き合いたい!!

こはね
⋯ルカさん、それは⋯⋯“女神”だから、ですよね

ビビルカ
ううん。優しいところも、不器用な笑い方も⋯こはねちゃん自身が好きなの!

こはね
⋯ルカさん

こはね
私⋯ずっと、言えなかったことがあるんです

こはね
私は“女神”なんかじゃない。そして──“女の子”でもないんです

こはね
期待させて、騙して、ごめんなさ―

ビビルカ
そんな事、関係無いよ!!

こはね
へ⋯?

ビビルカ
私は、こはねちゃん自身に心を動かされてるの!

ビビルカ
こはねちゃんの性別だけで、それは揺らがない!

こはね
⋯⋯!!

こはね
る、るかさん⋯ポロポロ

こはね
私も、ルカさんの隣で⋯生きていたいです!

ビビルカ
⋯⋯!!

ビビルカ
こ、こはねちゃん⋯

ビビルカ
これから、よろしくねっ!

こはね
もちろん⋯!
