主
主
主
主
主
IMAWANOKIWA
作曲いよわ
キキッー!
ガッシャッン
ドシャッ
それは一瞬の出来事だった
今まで目の前にあった姿が
そら高く飛び散った
わたしには再び天使に見えた
そして声を上げる暇もなく
天に飛び散ったそれの姿が なくなった
母
助産師
母
助産師
そんな声と共に 室内に大きな産声が上がった
ああいとしい我が子 ようやくあなたの顔が見れる
娘
助産師
母
そう呟き眺める我が子の顔 想像以上にかわいい
いとしい
わたしは一緒この子を守り抜く 何があっても そう決めた
娘
母
娘
母
私は夫とは離婚している
でもとても幸せだ なぜならこの子がいるから
この子が一生懸命生きている限り 何があっても守り抜く
娘
母
母
娘
母
娘
母
やっぱり幸せだ
そんなあなたを見てわたしは思った ああ、あなたはわたしの天使だ!
娘
母
娘
母
そうやって娘がニコニコしながら 渡してきたのは
幼稚園の鞄に入れたのか 少し折れた母の日のカードだった
不器用なりに 一生懸命作った姿が想像できて
微笑んだ
娘
娘
母
娘
母
そんな娘の声で我に帰る
熱い何かが頬をつたわる
涙だった
娘
母
母
娘
娘
そう言って 小さな手のひらでしゃがみ込んだ 私の頭を優しく撫でる
とてもあたたかかった わたしは思わず抱きしめた
娘
母
母
娘
娘
娘
母
母
娘
母
今日は娘の入学式だ 桜の香りが漂う春
新しいランドセルを背負い 嬉しさで飛び跳ねる娘
娘もわたしもウキウキしながら 玄関を出た
まさかあんなことが起きるまでは
晴れた空
こんな晴天何年ぶりだろうと思う ほどに綺麗だ
娘
母
母
娘
ああどうして
この時わたしが踏切渡ろうって 言わなければよかった、
母
娘
母
そう言ってわたしの方を笑顔で 手を振ったのが 娘の最期だった
次の瞬間踏切が降りた
カーンカーン!
娘
母
娘
わたしは固まってその場から動けなくなった
全てがスローモーションに見えた 踏切が徐々に降りる
その場で固まる娘とわたし
おかあさああん そんな声がゆっくり流れた
その次の瞬間
ゴオオオ!
そんな音がして大きな何かが 娘の姿を消した
ドシャッ!
そんな鈍い音と共に 今まで目の前にあった姿が 空に浮かんだ
ただ呆然とする私 そんな中でた言葉
母
これだけだった 娘の姿を消したのが 電車とわかったのはこの時だった
お経が聞こえる中わたしは ただただ泣くだけだった
娘が本物の天使になった後は たくさん泣いた 現実が受け入れられなかった
どうして、 どうして守れなかったの、
自分を責めた、何度も でもなにも変わらなかった
ただただ泣いた
泣いても泣いても泣きたりない
かわいい我が子
嗚呼、手放したくなかった
この冷たい床のワンルームから 誰か連れ出してくれないか
ふと窓の外を見ると
白い翼を見た その四肢を見た
間違いなくあなたはわたしの天使だ!
幸福の定義さえ覆るほどに 綺麗なその瞳に全てを奪われた
もう嫌になったの全部
今はひたすらあなた もっともうちょっといたいなぁって 思った
暗い方は見ないで
バルコニーの外に乗り出した
やっと会えたいとしい我が子 いっしょに飛び立とう
掴んだんだ確かに
主
主
主
主
主
主
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おはようみんな