死にたかった。
悠佑
覚悟を決めた。
悠佑
ほとけ。
首に縄をかけて
台を蹴った
ほとけ
そのはずだった。
悠佑
目に映ってるのは白い天井
悠佑
蹴った。 確かに蹴ったハズなんや。
ほとけ
死んじゃおうと
しちゃうの!
悠佑
聴き覚えのある声。 ずっと求めていた、貴方の声。
ほとけ
アニキ!
悠佑
子供のように無邪気な笑顔が、
貴方の笑顔が、ただ懐かしくて
悠佑
愛おしくて。
ほとけ
なんで泣いてるの?!
嗚呼
悠佑
ほとけ
俺が愛した貴方が今ここにいる
悠佑
言わなければならないことがある
悠佑
早る呼吸を抑えて、言う
悠佑
ずっと、待ってたよ
ほとけ
花のような笑顔が今でもまだ 頭にこびりついている。
あれから、数週間後。
悠佑
いつも通り、ほとけに声をかける
ほとけ
唐突に名前(?)を呼ばれたが、 そこまで驚くほどでもない
悠佑
どうせなんか買ってとかなんやろうな なんて予想をしていた
ほとけ
いけないみたいなんだ
悠佑
わかってた。この生活がいつまでも 続かないことくらい、
けれどそれは、あまりにも突然で
悠佑
残酷だった
ほとけ
これは、ルールなんだ
ほとけ
ほとけ
どうなるかわからない
悠佑
声にならない叫び声が、 頭の中に響いて止まない
悠佑
悠佑
消されるかも
しれへんのやもんな
悠佑
嘘だ
納得なんてできやしない
悠佑
おらんくなったら
どーしよなぁ
神が俺達を引き裂くというなら、 俺はどこまでもほとけを追いかける
ほとけ
悠佑
怒りを顔に出さないように 注意をしながら笑顔を向ける
ほとけ
辛いことを言うね
悠佑
貴方は優しい
悠佑
その優しさは
ほとけ
いずれ
ほとけ
人を殺す
悠佑
守らなあかん?
ポーカーフェイスを貫く それも限界に近いかもしれない
ほとけ
ほとけ
守ってほしい、かな
歯切れの悪い返しをしている 本人もわかっているのだ
悠佑
孤独と、貴方の残響
悠佑
いややねんけどなぁ……
そんな日々に戻るのは、 死ぬよりもきっと辛いこと
ほとけ
ずっと待たせちゃって
ほとけ
そんな顔をしないで欲しい。 貴方には、笑顔が似合うから
悠佑
なんも悪ないもんな
悠佑
両手を広げ、貴方を誘う
ほとけ
ぎゅっと、強く抱きしめ合う。
悠佑
冷たい、でも
悠佑
ほとけ
悠佑のこと、一番好き!
大好き!!
悠佑
子供みたいに叫ぶほとけを見ていると なんだか、胸の中が温かくなる
ほとけ
離れたくなんて、ない…
ほとけ
いいよ……
悠佑
ずっと、ずっと
一緒にいたかった。
ほとけ
スッと、ほとけが腕の中から 離れていく
悠佑
ほとけ
決意したような顔でコチラを 見つめる
悠佑
一緒に逝くの間違いなのだろうか。
ほとけ
綺麗なとこだよ!
涙を払った貴方は笑顔で そう言い放った
やって来たのは、ほとけが 生きてた頃、よく行った花畑だった
悠佑
数々の思い出が蘇っていく
ほとけ
笑っている貴方が好きだった
無邪気な顔で笑った顔が、可愛かった
ただ、笑顔を見ているだけで、 幸せになれた
悠佑
顔がまた、歪みそうになる それを堪えて必死で笑顔を保つ
悠佑
ああ、、綺麗だ、綺麗だよ
ほとけ
アニキと笑って、
ほとけ
行きたかったんだ
くるっと、俺に背を向けてそう話す
悠佑
綺麗なもんほとけと
見たかった
ぽろりと溢れる本音は誰にも、 止められやしない
ほとけ
ほとけ
気持ちで。
ほとけ
崩壊寸前で、一言でも話したら 零れてしまいそうなほどに歪んだ表情
悠佑
悠佑
貴方がいなくなることが、もう
悠佑
こ"ん、な"っ、に"
悠佑
耐えられないほどに、辛い
ほとけ
ほとけ
堪えていた雨が降り注ぐ
ほとけ
悠佑
花に雨が降り注いだ
大きな大きな雨粒が 音を上げて降っていた
いつのまにか夕日が綺麗な時間帯に なっていた
悠佑
ほとけ
体液でぐしゃぐしゃになった顔を 二人見合って笑う
悠佑
ほとけ
帰ろう、二人一緒に
次の日
悠佑
悠佑
悠佑
もうそこに貴方の姿はなかった
悠佑
悠佑
貴方といられたのかもね。
悠佑
さよならくらい……
言わせてや…、!
俺は、死にたかった。
悠佑
ほ"と、け"、ッ、!
明日が来なければ
悠佑
い"や"やよぉ"ッ、!!
きっと きっと
悠佑
こうはならなかったんだ
「明日を生きていく」
悠佑
会えたら、いいね。