六年越しの愛してる

ー💎の家ー

家に帰ってから、そうつぶやいてみる。 …いふくんへの気持ち、どうしよ。 僕は帰り道からそのことをずっと考えている。

好き。 その気持ちは変わらないし、変われない。 …けどさぁ…

好きな人に好きな人がいるのに、好きで居続けるのは、つらいよ…。 …でも、好きなんだよなぁ。 いふくんの優しい所とか、 ちょっと意地悪な所とか、 誰よりも頑張ってる所とか。 大好きだけど…。

…あ～っもう！！ めっちゃジレンマだ…。 誰かに相談とかして、断ち切りたいけど…。

初兎ちゃんはいふくんの想い人だからダメだし、 ないちゃんは…まだ気まずいし、 いふくんはあり得ないし、 りうちゃんだって、前に「ないちゃんのことが好きかも」って言ってたから、 僕が告白されたって言うのはやめた方がいいし、 …ってことは、アニキ…？ アニキは誰のことが好きとか聞いたことないけど。 今、アニキ空いてるかな。

穏やかで優しい声に、とても安心する。 僕の相談する前に、アニキにも好きな人とかいるのか聞いてみないと。

これは…好きな人がいるやつだ…！！ 誰なんだろ…？？

本当は、いふくんが初兎ちゃんの こと好きみたいってところから、 話を始めようとしたんだけど。 でもアニキも好きみたいだし、 話さない方がいいかな…？

勘良すぎでしょアニキ…。 どうしよう…⁉

もうバレちゃったし、話すしかないか。

しばらくの沈黙。 …やっぱ、こんな話するべきじゃなかったかな？ そんなふうに思い始めていると、アニキが口を開いた。

どうしたいか。 もしいふくんがこっちを向いてくれるのなら。 …僕は、あの頃みたいに付き合いたい。

あ～、と一瞬悩む。 でも…絶望するのも嫌だし、 聞いて決意がゆらいだら嫌だし。

飛ばして次の日

彼から連絡してくるのは結構珍しいから、大声を出してしまう。 けれど、それくらい嬉しい。

あわてて画面を切り替えて、連絡を見る。

それにしても、なんで通話なんだろ。 何か言いたいことがあるのかなぁ。

今週の日曜日…ん、たしか何もなかったはずだけど。

一緒に出掛けるって…つまりデートってこと⁉ だったら嬉しいし、願ったりかなったりだ。 …あ、でも、と思いなおす。 いふくんは「一緒に」とは言ったけど、「二人で」とは言ってない。 つまり、メンバー全員で行くってことだってあり得る。

予想外に返されて面食らう。 えっと…えっと、どういえばいいんだろう。 戸惑ってるうちに、僕の口が勝手に動いた。

あ”あ”あ”あ”！！恥ずかしい！ こんなこと言わなきゃよかった…。 引いた？引いたよね？ああもうやだっ！

ほら！今引いてる！今引いてる！ 終わったぁぁッ…！！ （※照れて悶えてるだけです）

…ん？照れてる？ いやいやまさか。

え？ため息？ やっぱ引いてた……？ （※好きで悶えてるだけです）

いふくんとお出かけだ！！ これで仲が深められるかも…？ 嬉しいなぁっ！

ひとしきり喜んでから、ふと思い出す。 …そうだ、僕、ないちゃんの告白に返事してない。 いふくんを好きでいるって決めたんだし、 はっきり断らないと…！ あと、こんな僕を好きになってくれてありがとうって伝えないと。 でも、メールや電話じゃ申し訳ないし。 …よし、予定がある日を聞いてみよう。

優しいないちゃんの声。 …こんな優しい人、振ろうとしてるんだ、僕…。 いや、でも、ずっと曖昧にしてる方が悪…だよね？

…いふくんとのお出かけと同じ日だ。 でも、時間帯が違ければ大丈夫だよね。