すみれ
私の名はキサナ。今は亡き導き手の生き残りだ。
私はかつてとある人物から「第三の選択」について聞いた事がある。その人物はこう言った、「もしお前達がどうしても転生を拒むと言うならば、それはそれで構わないだろう。しかしその場合……いずれ後悔する事となるぞ?」と。
その意味がよく分からなかった当時の私は、ただ漠然とした不安を感じていただけだった。そして今にして思えばあの時、もっと詳しく聞いておくべきだったのだ。
「おい、お前」
背後からかけられた声に振り返る。
そこにいたのは見知らぬ男。しかしどこかで見たような気もした。
男は言う。
「俺はお前だ。そしておめーは俺になるんだぜ」……なんだか妙な事を言っている気がするが気にしたら負けだろう。きっとそうだ。うん。
「お前さん、名前は?」
「名前? そんなもんねえよ」
そう答えると相手は目を丸くして驚いた様子を見せた。
「マジか!? まあ普通はそういう反応だよなぁ。じゃあ、つけてやるよ。お前の名前は──『ゼロ』だ!」
勝手に名前をつけられてしまった。別に嫌ではないけどさ。
「これからよろしく頼むぜ、『ゼロ』」
「ああ、こちらこそ」
差し出された手を握り返す。こうして奇妙な同居生活が始まったのだ。
***
「おい、起きろ! 朝飯できてっぞ!!」
「ん~……! 今日もいい天気だねぇ!」
少女――リーシャ=ネルンドールは背伸びをしながらそう言った。
彼女の名前は『リーシャ』。
長い銀髪が特徴の少女で、年齢は16歳くらいだろうか? 身長は高くもなく低くもないが胸は大きく膨らんでいて、女性らしい体つきをしている。
服装は動きやすそうな白いブラウスとスカートを着用していて、腰には剣を携えていた。
