華奈
ねぇ、涼
涼
ん?どうした
優しい声…この声を聞く度に 私は安心する
華奈
私…涼と
花火が見たい
涼
…はな、び?
3ヶ月前から付き合ってる華奈
華奈とは昔からの幼なじみで
告白は俺からした
華奈の事ならなんでも 知ってるつもりだった
けど…あの事を知ったのはつい最近
今までずっと気付けなかった
華奈の見える世界は違う事が
涼
おい…本気で言ってんのか?
華奈
うん
華奈
1度は見てみたいの
華奈
花火っていうものを
涼
けど…お前
そう…
華奈は生まれつき 見える色が逆に見える
赤は青。白は黒。…と
全ての色が逆となる
外国に行けば手術でも 治すことが出来る
でも成功率は 40%
これ以上世界が見えなくなるのは嫌
…と華奈は泣きながら言っていた
華奈
確かに色が多いの怖いけど
華奈
涼と一緒なら…平気な気がするの
涼
…でも
華奈
お願い…!どうしても花火を見てみたいの
涼
い…や、…
涼
涼
いいよ
華奈
やったぁ!
華奈
ありがとう
涼
…うん
ホントは…断りたかった
華奈とって花火は 凄く恐ろしいものだから
けど…華奈の悲しんだ顔は 見たくなかった
華奈
ただいま〜
華奈
…涼、困ってたなぁ
私だって
無茶のことを言ったのは知っていた
でも…どうしても花火を見てみたい
それが…
どんなに恐ろしいものでも
華奈
後 1週間…
華奈
…あっ!浴衣着てこ
華奈
ふふふ
華奈
楽しみだなぁ…
1週間経って 花火大会 当日の今日
花火開始30分前 私達は待ち合わせすることにした
時計台の針が35分を示す
華奈
涼…まだかな
華奈
遅い…
メールをしても返信は来ない
華奈
早くしないと…花火始まっちゃう
華奈
早く…早く来てよ涼
持っているスマホを ぎゅっと握りしめる
周りは大勢の人で騒がしい はずなのに
次々と動く時計の針だけが
頭の中で響く
後半へ続く︎