だいすき

俺の彼氏は

甘々だ

この会話もいつもの事

「俺も」って返すと、

じぇるくんは何だか寂しそうな顔つきになる

「俺も好き」って返した方が良いのだろうけど

生憎、俺にはそんな恥ずかしいこと出来ない

たったの2文字なのに、

言うと負けなような気がして言えない

あぁ、俺は一体誰と戦っているんだろう

自分勝手だから、

きっと、すぐじぇるくんに捨てられるんだろうなぁ

ごめんね、じぇるくん

こんな可愛くない彼女で、ごめんね

最近、りーぬの様子がおかしい

愛情表現をしてくれないのは

いつもの事だし、

｢好き｣って素直に言えない自分を

責めているりーぬも可愛いと思ってたんだけど

前のりーぬは、

恥ずかしくて、でも｢好き｣って伝えたくて

見えない自分と乱闘しているような感じだった

でも、今のりーぬを見てると

だんだん、こっちまで苦しくなってきていた

でも、何をしたって、

俺はやっぱりりーぬが好きで、

りーぬは、違うのかな

冷めちゃったのかな

嫌になったのかな

考えても、考えても、

不安はどんどん積もってく

でも、俺はりーぬの彼氏で居たい

別れ話を切り出せないように

上手く立ち回りしなきゃ

俺は、そういうのは得意じゃないけど

毎日、毎日、1日たりとも欠かさず、

俺はりーぬに好きを伝えた

苦しそうに笑うりーぬを見て

自分の胸が苦しくなっても

俺は愛想笑いで誤魔化した

ごめんな

自分の彼女も守れない彼氏で

ごめんな、りーぬ

今日もまた、じぇるくんは俺に好きを伝えてきた

黙る俺を見て、じぇるくんは悲しそうに笑った

あぁ、じぇるくんは俺の事を試してるんだ

自分の手を握って、俺は震える声で言った

そう言って俺の頭を撫でてくれるじぇるくんの手は、

とても、暖かかった

だいすき