テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
3件

…ごめん自分の涙に溺れてた(は?) 二人の絆が尊い…最高だった! 次も楽しみに待ってる!!

『あなたに話したいことがあります』
-----
テーブルの上では、肉じゃがの湯気がゆらゆら揺れていた。 降谷はしばらく黙ったまま視線を落とす。
まるで、どこまで話すべきか。慎重に線を探しているみたいだった。
やがて口を開いた。
降谷零
深緒の指先がわずかに止まる。
降谷零
低い声。
降谷零
深緒は静かに息を止める。 ”やっぱり” と思った。驚きは不思議と少なかった。
降谷零
降谷零
降谷は淡々と続ける。感情を押し殺すみたいに。
降谷零
降谷零
公安。 警察の中でも、限られた人間しか詳細を知らない部署。
表に出ない。名前も出ない。時には存在すら伏せられる。
深緒は静かに降谷を見る。驚きより、点と点が繋がっていく感覚の方が強い。
降谷零
降谷零
松田深緒
降谷は少し沈黙してから、続けた。
降谷零
その瞬間。深緒の呼吸が少しだけ止まった。
降谷零
降谷零
降谷零
淡々とした口調だった。だからこそ、重い。
降谷零
降谷の目が、一瞬だけ遠くを見た。きっと。今でも消えない記憶なのだろう。
深緒は何も言わない。降谷の声だけが静かに響く。
降谷零
降谷零
降谷零
降谷零
松田深緒
降谷零
降谷零
降谷零
降谷零
そこで一度、言葉が途切れる。降谷は苦く笑った。
降谷零
深緒は黙って聞いていた。
降谷零
降谷零
降谷零
低い声が、わずかに掠れる。
降谷零
降谷零
自嘲みたいに小さく笑った。
降谷零
降谷零
その言葉は、本心だった。だからこそ苦しい。
降谷はそこで、一度言葉を切った。 そして。
降谷零
静かな声。
降谷零
降谷零
深緒の指先がぴくりと動く。
降谷零
降谷零
降谷零
その声音は、どこまでも静かだった。
でも。諦めるみたいな声だった。
深緒は降谷の顔を見る。疲れ切った目。何かを守るたび、自分を削ってきた人の顔。
次に続く言葉なんて、容易に想像できた。
降谷零
その瞬間。深緒は箸で肉じゃがを掴んだ。
降谷零
そのまま降谷の口へ突っ込む。
降谷零
完全に不意を突かれた顔。降谷が目を見開いた。
松田深緒
突然のことに、降谷は数秒固まる。やがてゆっくり咀嚼した。甘めの味付け。優しい味。
降谷零
少し呆然とした声だった。深緒は真っ直ぐ降谷を見る。
松田深緒
降谷の目が揺れる。
松田深緒
松田深緒
松田深緒
松田深緒
静かな声だった。でも、はっきりしていた。
降谷は何も言わない。深緒は視線を落とす。
松田深緒
ぽつりと零れる。
松田深緒
松田深緒
少し悲しい声だった。
松田深緒
深緒はもう一度、降谷を見る。
松田深緒
松田深緒
松田深緒
深緒はゆっくりまばたきをする。
松田深緒
降谷零
降谷の目が揺れる。
松田深緒
松田深緒
降谷零
深緒は少しだけ眉を下げて笑った。
松田深緒
松田深緒
降谷の呼吸が、止まる。
松田深緒
松田深緒
深夜の静かな部屋。ぐつぐつと、肉じゃがの鍋が小さく音を立てる。
降谷は何も言わなかった。
言えなかった。
ただ。張り詰めていたものが少しずつ崩れていくみたいに、ゆっくり目を伏せた。
降谷零
掠れた声で、小さく笑った。 本当に、僅かに。
でも。今まで見たどんな笑みより、力の抜けた顔だった。
花梨
148