すちくんの、目が覚めたらしい。
目が覚めた時、そこには なつ君しかいなくて
その後に俺らがついて、
どうして目が覚めたのかを聞いても 何も答えてくれなかった。
…初めは少し、泣いたらしい。
上体を起こしたすちくんと
目を真っ赤に腫らしたなつ君を見て
何が何だか、わからなくなった。
みこと
すちくんが目覚めてしばらく、 俺らと対面すると
きょとんとした顔で『君たちは誰?』 と告げた。
なつ君が泣いてるのは、 そういうことでもあると思った。
その後、先生も来て、 いろいろなことを聞いたりしたけど、 やはりすちくんの記憶は 途絶えていた。
みこと
みこと
そんなことより、
すちくんが目覚めたことが
嬉しくて
記憶がないことが
悲しくて
訳のわからない水滴が、 ケーキの映ったスマホの画面に溢れた
いるま
すちの目が、覚めた。
何日ぶりだろう…1ヶ月くらい?
いやもっと長いか。
…目が覚めたけど 記憶はないし、特に何も話さないで、 唯空を見つめていた。
だけど
なんでかわからないが…
暇72にだけは、声を発した。
暇72
すち
前の記憶があるのか、 もしくはもう体に染み込んでいるのか
暇72に名前を呼ばれると
ゆっくり暇72の手に
指を絡め、
ぎゅ、と強く握った。
そして、
すち
と、言った。
今のすちからしたら 暇72は知らない人で、
記憶もないから前の関係は いっさらわからないはず。
なのに彼は、暇72の手を握った。
暇72
そうやって今にでも崩れそうな笑顔と
悲しみが入り混じった顔で
大粒の涙を流す。
暇72も分かってるはず。 すちに記憶が無いことを。
それでも 俺にだけ話しかけて、 俺にだけ触れてくれるすちが
嬉しくて嬉しくて。
暇72
それでも忘れてることは確かで
それがすごい、
悔しくてー、
こんなに泣き叫ぶ暇72は、 初めて見たと思う。
俺らは唯、黙って見ているだけだった
すちが困惑するくらい、泣く 暇72を。
ベッドの横に座り込む暇72の手を、 すちはまだ握っていた。
すち
すちがいま、何を考えているのか
寂しそうな顔で、
暇72を見つめていた。
LAN
いるま
そう俺が聞くと、
LANはくるり、俺の方を見て、
LAN
と言って、泣きそうな顔で手を引いた
コメント
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見るのが相当遅くなりましたけど、表現の仕方がうますぎてなけます。。。
本当の話じゃないのに………涙が…・゜・(つД`)・゜・