テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

駅に近くなるほど 多くの店が並び 人も多くなってきた

誰かが言うでもなく 3人はゆっくりと歩いた 25分くらいかけて駅前に到着する

大森

おお

大森

賑わってるね

若井

なんか…唐揚げとかあるけど…

若井

ちょっと気分じゃないかも

大森

いや分かるw

藤澤

意外と疲れたよね

大森

ここまで来て言うことじゃないんだけど

大森

店内でゆっくりって選択肢ある?

藤澤

www

若井

ありー

若井

むしろそうしたいw

藤澤

あ!

大森

藤澤

かき氷!!

藤澤があるお店を指さす 和風な雰囲気の店で かき氷と書かれた旗が置いてある

大森

いいじゃん

大森

暑いし

若井

よしいこ…

若井は暑さでバテてしまったようだ 今すぐ涼しい店内に入りたそうだ

大森

www

大森

若井老けた?

藤澤

www

若井

あつい…

3人はかき氷のお店に入る

かき氷屋さん

いらっしゃいませー

若井

あー涼しー

かき氷屋さん

何名さまですか?

藤澤

3名です

店内は比較的空いているようだ 定員が窓際の景色のいい席に 案内をしてくれる

かき氷屋さん

こちらどうぞ

大森

はーい

藤澤

あ、僕こっちでいいよ

4人席のテーブルなので 2人と1人に別れてしまう いつも藤澤が進んで一人の方を選ぶ

大森

あ…

大森

いいの?

藤澤

うん

大森はこういう時 隣に誰もいないと寂しがる

一方、藤澤は同じ卓に 2人が居てくれれば寂しくない

それに机を広く使えるから良い という話を前に藤澤が話してくれた

大森

ありがと

若井

ありがとー

藤澤

わー

藤澤

景色いいねー

若井

若井

窓際ラッキー

大森はメニューを広げる 様々なかき氷がある 若井が隣から覗き込む

若井

結構種類あるね

大森

大森

迷っちゃう

藤澤

レモン練乳おいそう

大森

レモン…

大森

マンゴー

大森

え…どうしよ

若井

きめた!

大森

え、なに?

若井

いちご

大森

あー

藤澤

僕レモン

大森

大森

マンゴー練乳にしよ

若井

定員さん呼んじゃう?

大森

うんありがと

若井がベルを鳴らすと 定員が注文を取りにやってくる

かき氷屋さん

注文お決まりですか?

若井

えっと…いちご練乳と

若井

レモン…練乳?

藤澤

うん

若井

あ、レモン練乳と

若井

あとマンゴー練乳で

かき氷屋さん

はい

注文が済むと定員はさっさと 店の裏手に戻って行った

3人はしばらく外の景色を眺めて ぼーっとした

大森

大森

涼ちゃんさ

大森

マンゴー好き?

藤澤

んー?

藤澤

うん

大森

じゃあ1口交換しよ

藤澤

いいよ

若井

元貴いちご好き?

大森

www

大森

いいよw

若井

ありがとw

藤澤

若井…

藤澤

レモン好き?

若井

www

大森

もう!みんな好きなの食べて!!

藤澤

www

また外を眺めて待っていると それぞれが注文した かき氷がやってきた

藤澤

わー

大森

すごーい

若井

わーぁー

まずは自分が注文した かき氷を1口食べる

大森

ぅーんー

大森

おいし

大森

あまーい

藤澤

あ、めっちゃレモン

若井

うま…あまー

大森

トレードする?

若井

どういく?

大森

じゃあ右回り?

右回りでかき氷を交換する 若井がマンゴー 大森がレモン 藤澤がいちご味を食べる

若井

あ、これ好き

大森

うわっこれ!なんだっけ…なんか懐かしー

藤澤

いちご!あま!!

大森

はいトレード

またくるりとかき氷が回る

若井

わ…レモンうま

大森

王道でおいしいな

藤澤

色々食べすぎて味が…

藤澤

あれなんかマンゴーぽい

若井

涼ちゃんそれマンゴー

大森

www

藤澤

え?

藤澤

あれマンゴーどこいった?

大森

上のやつ俺が全部食べちゃった

藤澤

あ…そうなんだ

大森

下の方に果肉ない?

藤澤

あるかも…

隣の席の男性

ああいうの気持ち悪いよな

大森は心臓が一瞬で冷えた 隣の男性が自分たちの事を 話しているように感じたからだ

隣の席の女性

え?

隣の席の男性

隣の奴ら

隣の席の男性

あれ付き合ってんだよ

大森

勘違いじゃない 大森は息が荒れそうになるのを 何とか抑えた

藤澤

あ、あった

若井

わ、すご…まんまマンゴーじゃん

藤澤

これ食べていいの?

大森

若井

元貴?

大森

ううん

大森

なんでもない

隣の席の女性はこちらをちらりと 見た後に声を小さくして話した

隣の席の女性

そんなことないでしょ?

隣の席の女性

友達なんじゃないの?

隣の席の男性

お前見てないの?

隣の席の男性

あいつら入ってくる時手握ってたから

隣の席の男性

他所でやれよ

隣の席の男性

汚い

隣の席の女性

隣の席の女性

そう?

女性側はとても居心地が悪そうだ 早く帰りたいのか 食べるスピードが上がった

大森

(見てないのはお前だろ)

大森

(無駄なもん見てるから一緒にいる人見えないんだよ)

大森はスプーンを強く握った

一瞬で湧き上がった怒りや虚しさ 罪悪感をどうにか 抑えるのに必死だ

若井

元貴

肩を強く揺さぶられたので 顔を上げると 若井が顔を覗き込んでいた

若井

気にすんな

若井も隣の会話に気づいたようだ 藤澤だけが不思議そうにしている

藤澤

え…?なに?

大森

若井

ううん大丈夫

若井

涼ちゃんマンゴー食べな

言葉が出てこない 藤澤には隣の人の存在に 気づかせたくない

だが普通を装う事も難しい 大森はどうしたらいいのか 分からなくなっていた

隣の席の女性

ほら…

隣の席の女性

今は色々とあるから…

隣の席の男性

今ってwww

隣の席の男性

おかまは昔からいるよ

隣の席の男性

ああいうのが性病広めるんだよな

その言葉で自分の中で何かが弾けた 同時にバタンと大きな音がした

音の方向を見ると 若井が立ち上がっていた

若井

お前

若井

今なんて言った?

元同級生の大森でも聞いた事が ないほど地面に響くように低く そして強い怒りを含んだ声色だ

店内の空気が一気に冷え込む 隣の席の男性も若井の気迫に 一言も喋れなくなっていた

若井

もう1回言ってみろよ

若井が男性を殴っても おかしくないような雰囲気で 一歩踏み出した

大森

わ…若井!

大森

だめ!

大森も立ち上がって若井を止める 藤澤も大森の隣に来る

若井

なんで?

藤澤

若井

藤澤

あんなの相手にしてどうすんの?

若井

だから1回くらい痛い目見ないと

若井

分かんないんじゃないの?

大森

だからって殴っちゃだめだって!

若井の目が大森を見る 初めて見る表情と瞳の色に ぞっとする

大森

若井大丈夫だから

若井

若井が天を仰ぐ 自分を落ち着かせようと しているようだ

息を吐いてすっと前をむくと 無感情なトーンで喋った

若井

お騒がせしてすみません

若井

元貴もごめんね

何かに蓋をしたような 真っ黒な瞳がこちらを見る

大森

大森

ううん

若井

すみません

若井

お会計してもいいですか

かき氷屋さん

あ…あ、はい

若井がレジに向かう 大森は藤澤をちらりと見る 藤澤は心配そうに若井を見ている

かき氷屋さん

えっと…合計で3500円になります

若井

5000円でお願いします

定員が若井にお釣りを渡す

かき氷屋さん

あ…あの

かき氷屋さん

この度は失礼しました

若井

かき氷屋さん

これ良かったら割引券です

かき氷屋さん

今度またお越しになって下さい

若井

謝らなくていいですよ

若井

こちらこそすみませんでした

若井

かき氷美味しかったです

若井は割引券は受け取らず そのままお店を出た

大森は店員に会釈だけして 若井を追いかける

大森

藤澤

若井

無言のまま3人は歩いた お店を出てから若井は 少しもこちらを見てくれない

2人とも声をかけるタイミングを 掴みかねていた すると、不意に若井が振り返る

若井

やっぱり付き合うとさ

若井

ああいう奴は出てくるんだな

若井がやっと振り返るが 怒りを貯めたような 張り詰めた雰囲気で笑う

若井

2人はすごいね

若井

冷静で

大森は何も言えなかった 何を言っても若井の慰めには ならないと思ったからだ

何も言わない2人に 若井は痺れを切らしたのか 大森に1歩踏みよる

若井

元貴なんで止めたの?

大森

だって…

大森

あんな奴わざわざ殴らなくたって

大森

勝手に自滅していくでしょ

若井

本当に?

若井の目が抉るように大森を見る 審査されているような雰囲気に 大森は気圧されて、つい1歩下がる

大森

大森

わ…わかい

若井

自分守るためなんじゃないの?

大森

そんなわけ!

藤澤

そもそもあそこで若井が殴ってたら

藤澤

悪いってことになるの若井なんだよ

若井

じゃあ

若井

あんなこと言われても黙っとけって?

藤澤

そうだね

若井

はっはwww

若井

涼ちゃんおかしいよ

藤澤

大森

やめようよ!

大森

あいつのせいで…

大森

こんな変な喧嘩やだよ!

藤澤

俺だって

大森

藤澤

俺だってそりゃ!

藤澤

言いたい事山ほどあったよ!!

藤澤

でも言ってどうすんの!!

藤澤の瞳からポロポロと 雫がこぼれ落ちる

藤澤

どうせあいつすみませんとかすぐ言うよ?

藤澤

そんな…

藤澤

そんな何にも分かってない奴の謝罪に

藤澤

なんで若井が本気にならなくちゃいけないの

大森

若井

気がついたら大森も若井も つられるように泣いていた

若井

だって何にも分かってないんだもん

若井

元貴の事も…!

若井

涼ちゃんの事も!

若井

お前に何がわかるんだよ!!

若井が嗚咽を上げながら 膝を抱えてうずくまる

藤澤

若井…

藤澤が地面に膝を着いて 若井を抱きしめる

藤澤

若井

藤澤

泣かないで…

藤澤

ごめんね

若井

う…うぅ…

藤澤

若井

大森は抱き合いながら泣く2人を 見つめながら拳を握りしめた

この関係は歪だが なぜか受け入れて 貰えるだろうと思っていた

人に称えられる事も 感謝されることも増えてきた そのための努力した

代償は払ったつもりなのに この2人を幸せにできないなら 何のための努力だったのだろうか

🍏🎤愛され 人を操作できるスマホ...??

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

187

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚