〖 菫 〗

俺の言葉を否定しておきながら 彼女は口角の端を上げて言葉を 続ける...

もったいをつけた言い方を しているけど彼女の言いたい事は 分かっていた。

以前俺は無断で彼女の事を 撮影してしまいそうになった 事がある。

確かに学校中に俺が盗撮魔 だと吹聴されては、居づらく なってしまう。弁明は必要だ..

裁判官宜しく.. 彼女は大層な物言いで俺えの 冤罪を糾弾した。

仕方なく俺も彼女のノリ に合わせてあげる。

きょとん、という擬態語 が似合いそうな間抜けな表情 をしている彼女は、意外だと声を上げた...

彼女の言葉に胸中で嘆息 をつきながら、話の続きをする。

笑いながらそう言う彼女には、 全然悪びれる様子がない。

明らかに会話を引き延ばそうとする 態度に苛立ちを覚え始めていると、 彼女はそんな俺とは対照的な反応 を見せた。

えへへ、と俯きながら 彼女は照れくさそうに 笑う。

普段教室で騒いでばっかり居る 彼女の態度とは思えない。

一体彼女は俺に何を させるつもりなのだろう.. 全く想像出来ない。