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ひとしきり堪能して、 唇をツツッと私の耳元に寄せ
智史
と彼は色のついた声音を吐いた。
環奈
クスクスと笑って誘ってやる。
智史
彼は私のスマホにチラッと目をやる。
智史
環奈
彼が驚いた顔を見せたあと、 皮肉めいた表情を浮かべる。
智史
環奈
私たちは目を合わせて笑った。
私はやっぱり 誰かの一番にはなれない。
どうしてこんなにも誰かの一番に なることが難しいのだろうか。
世の中には相思相愛の人間や自分の 一番欲しいものをいとも簡単に手に入れている人間がいるにもかかわらず。
どうしてなんだろうか。
いつしか私は 一番になることをあきらめた。
ううん、本当は諦めたと自分に 言い聞かせているだけかもしれない。
誰かの一番になれない 終
