私は、甘やかされて育ったんだと自分でも思っている
欲しいおもちゃも欲しい絵本も、口に出せば全て叶った
「可愛い」「可愛い」とチヤホヤされて、 私は世界一可愛いんだと思っていたし
一人っ子だったため、どんな事も許された
思い通りにいかないと、すぐに泣いて
誰かに泣きつけば私が悪くても相手が謝ってくる
あぁ、私は将来はずっとこうやってワガママ放題に生きたい
そう思っていた私に衝撃が走った
雷が打たれたようにビリッと突然に現れた
桐山 茜
小学校に入学して、人目見た瞬間
この子には勝てないと心の底から思った
綺麗にお辞儀をして、可愛く笑って
みんな彼女に釘付けだった
私のように心が醜くなくて
純粋で、誰にでも優しい聖女様のような彼女は
誰からも愛されていた
彼女になりたい
そう思っていても、中々同じクラスになれず
話しかける勇気も出なかった私は
ずっとひとりだと思っていた
チーノ
杏奈
チーノは1人だった私に話しかけてくれた
その頃はポ〇モンカードバトルが流行っていて、私もゲームをよくしていた
クラスの中心人物だったチーノが、まさか私に話しかけてくるだなんて……
杏奈
杏奈
チーノ
チーノ
杏奈
チーノ
杏奈
チーノ
杏奈
杏奈
杏奈
チーノ
チーノ
そんな些細な絡みから、ポ〇モンカードを交換するようになったり、公園で2人でゲームをするようになった
今まではこんな風に接してくれる人がいなかったけど
チーノは…ありのままの私でいさせてくれた
この気持ちは……これが恋なんだと気づいた
そして、小学6年生になってすぐ…彼女と同じクラスになった
チーノも一緒で嬉しかった
彼女に話しかけようとした時、
顔を赤くしながら、周りに群がった子たちとひそひそ会話をして
彼女は話しかけてきた
茜
茜
杏奈
杏奈
杏奈
茜
茜
杏奈
恥ずかしそうに右手を差し出して
彼女は笑顔でそう言ってきた
杏奈
1番近くで彼女を見てたら、私も彼女みたいになれると思っていた
茜
茜
茜
杏奈
そう言って握手をしたっけ
もう今じゃ……考えられないけど。
彼女は私にしつこく付きまとった
そうしている内に、お互いの家にも遊びに行くほど一瞬で仲良くなった
とある日の帰り道…
茜
杏奈
杏奈
茜
杏奈
茜
茜
茜
杏奈
嫌だった
これ以上彼女が完璧になったら、チーノまで奪われてしまう
杏奈
杏奈
茜
茜
杏奈
茜
杏奈
茜
茜
杏奈
杏奈
杏奈
茜
茜
杏奈
この時、彼女が言っていた「勇気」というのは
チーノに告白する勇気だったんだと知った
彼女は、チーノとゲームが出来なかったら告白する予定だったそうだ
そして
杏奈
茜
茜
茜
茜
茜
杏奈
違うのに
そう言いたいけど、言葉が出ない
私もチーノが好きだって言えば良かった
そうしたら、心優しい彼女なら
わたしに譲ってくれたかもしれないのに
杏奈
杏奈
わたしはその日、ひとり公園で泣いていた
彼女になりたい
どうして彼女は思い通りに行って
わたしは思い通りには行かないの
神様はケチな人
不平等じゃない、こんなの
杏奈
杏奈
大人の声がして、声がした方に顔を向けると
手に袋いっぱいのお菓子を持って、制服を着たお兄さんがいた
一目惚れだった
顔もかっこよくて優しそうな人
杏奈
杏奈
杏奈
杏奈
杏奈
その時に食べたお菓子は今まで食べたお菓子の中で1番おいしく感じた
私、このお兄さん好き
優しくて、私を大事にしてくれる
お兄さんに釣り合うような人になるために
もっともっと可愛くなろうとした
黒く長い髪をひとまとめにくくって、
メイクの勉強もした
お兄さんは忙しいらしくて、なかなか会えなかったけど
週に一回は、私たちが出会ったこの公園でお菓子を食べながら話した
中学生になって、周りも環境もどんどん変わっていった
チーノはDSからスマホゲームやPCに変わり
彼女も受験勉強で平日の放課後は塾に通うことになった
公園のお兄さんも高校1年生になったとこの前制服を見せてくれた
茜
杏奈
茜
茜
杏奈
杏奈
茜
茜
杏奈
杏奈
茜
茜
茜
杏奈
彼女は中学生になっても、周りから愛されて、幸せに生活していた
と、思っていたが
私は気づいた
彼女はチーノとの付き合いに、不満か何かを抱えていることを
杏奈
時はどんどん過ぎて
中学2年生になった始めの日
彼女は珍しく、塾がなかったらしく、その日は彼女の家で遊ぶことになった
茜
茜
杏奈
杏奈
茜
茜
茜
杏奈
杏奈
茜
杏奈
茜
茜
茜ママ
杏奈
茜ママ
杏奈
茜
茜ママ
杏奈
……その声は
茜
その声は…まさか
いや、そんな……そんなわけ…
茜
茜
シャオロン
杏奈
茜
シャオロン
シャオロン
杏奈
シャオロン
シャオロン
杏奈
どうして
みんな、彼女のものなの?
彼女ばっかり
ずるい
杏奈
杏奈
茜
杏奈
茜
私は飛び出すように、彼女の家を出た
全部彼女のもの
みんなの目線も
期待も
信頼も
チーノも
お兄さんも
全部、全部…茜のもの
茜のためだけにあるもの
そんなの…
不公平よ
どうして彼女だけなの?
嫌い
嫌い
大嫌い
ずるい
ずるい
私にちょうだい
ひとつくらい、彼女のものを奪っても何も言われないわ
だって彼女は…
優しいんだもの
コメント
2件
人それぞれ悩みはあるけど杏奈ちゃん大丈夫だッ君のことを知れて杏奈ちゃんのことわかったよッ
杏奈ちゃん、マジでシャオロンさん好きだったんですね… 本気というか、違うと思ってました… でも、やっぱ一人っ子だったら、何でも言うこと聞いてくれるので、全部取られたとか思いますよね… でもだからと言ってちょっとあれはやり過ぎだと思いますけどね… 今回も面白かったです!! 次回も楽しみに待ってます!