私のアール

私、屋上で靴を

脱ぎかけた時に

三つ編みの先客に、

声を掛けてしまった。

“ や め な よ ”

口について出ただけ。

ホントはどうでもよかった。

先を越されるのが、

何 と な く 癪 だ っ た 。

三つ編みの子は

語 る 。

どっかで聞きたような事

欲しいものが手に入らない

なんて、

奪われたことすら

ないくせに、…

って、三つ編みの子は、

消 え て え っ た 。

さぁ、今日こそは

と、靴を脱ぎかけたら

そ こ に

背の低い女 の子。

また声を掛けてしまった。

背の低い子は、

語 る 。

ク ラ ス で の

孤 独 を 。

無 視 さ れ て 、

奪 わ れ て 、

そ れ で も 、

うちでは愛されて

あたたかいご飯も

あるんでしょ、？

と 泣いて、

背の低い子は

消 え て え っ た 。

そうやって、

何人かに

声を掛けて、

追い返して、

わたし自身の

痛みは誰にも

言えないまま──、

初 め て 見 つ け た ん だ 。

似たような

悩みの子。

何人目かに会ったんだ。

黄色いカーディガンの子。

うちに帰る度に、

増え続ける

痣 を

消し去ってしまうため

と、言った。

口について出ただけ、

ホントはどうでもよかった。

思ってもいないこと。

でも、声を掛けてしまった。

“ や め て よ ”

あぁ、

どうしよう

この子はとめられない

私には止める資格がない。

それでも、

苦しいんだ…、

って、

目を伏せたまま

消 え て っ た 。

今日こそは、

誰もいない。

わたしひとりだけ

誰にも邪魔されない。

邪魔してはくれない…

カーディガンは

脱いで

三つ編みを

ほどいて

背の低い

わ た し は

今 か ら

飛 び ま す 。