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本気で最高です!神作品をありがとうございます_|\○_ ブクマ失礼致します_|\○_ 大好きです_|\○_
最初はどうなることかと思いましたけど最後ほっこりしました…😭 涙腺崩壊ですよ😭
黄
桃
名前を呼んだだけで怯えた 表情になる彼。
わかってる。僕のせいなことなんて。
最初は普通の恋人だった。
男の子同士だからと言って、僕たちは 全く変だとは思わないタイプだったし
周りにも僕たちの関係を 否定するような人はいなかった。
順調な交際...のはずだった。
ある日、桃くんは青ちゃんと 出かけてくると言った。
青ちゃんは僕の友達でもあるし、 特別変なことはしないだろう、と 桃くんを送り出した。
実際、何も起こらなかった。
だけど、帰ってくる時間が 問題だった。
桃くんが帰ってきたのは 日付が変わってから。
僕は、日を跨ぐことにひどく 恐怖心があった。
僕には2年間付き合った彼女がいた。
彼女となら結婚も有り得ただろう。
でも、彼女はある日 「友達と遊びに行ってくる」 と言って出かけて以来、 帰ってくることはなかった。
思えば、その日の何週間か前から、 日を跨いで帰ってくることが 増えていた。
完全な浮気だった。
結婚も有り得た彼女が浮気。
純粋に彼女を愛していた僕にとっては あまりにショックが大きかった。
数ヶ月まともに食事を取れず、 軽いうつ状態だった。
そんな僕を救ってくれたのが、 次に付き合った彼女だった。
彼女は僕を真摯に愛してくれた。
とても真っ直ぐな愛だった。
それなのに。
僕は彼女にも逃げられて しまうのではないか、という 恐怖感から、彼女を束縛した。
僕にとっては、それが愛だった。
そばに居て欲しかった。
愛し続けて欲しかった。
ただ、それだけだった。
でも、それは彼女にとっては 辛いことだったらしい。
彼女はある日突然、 「黄は重い」と言い残し、 家を出ていった。
なんで。
なんでなんでなんで。
僕に残ったのはそんな疑問と 歪んだ愛だけだった。
名前も見ず、「死にたい」と メッセージを送った相手。
それが桃くんだった。
桃くんはまず僕の家に来て 話を聞いてくれた。
夜中になっても、寝ることなく僕の 話だけを聞いてくれて、
食欲不振の僕にも食べやすい物を 作ってくれた。
「一緒に住もう」。
そう言ってくれた。
求めていたあたたかさ。
求めていた優しさ。
彼は、全て持っていた。
僕はそんな彼を 好きになってしまった。
告白は緊張した。
今までは、友達から恋人に変わる 瞬間というのはなんとなくだった。
どちらが告白するでもなく、 そういう関係になれていたから。
黄
桃
黄
黄
桃
桃
黄
告白は成功した。
嬉しかった。
でも、僕には一つ問題があった。
これから、桃くんをどうやって 幸せにするのか。
どうやって、愛していくのか。
一番大事な部分が、僕には わからなかった。
あの日、どうして僕は何も言わずに 見送ってしまったのだろうか。
「日を跨ぐ前に帰ってきてね」
「遅くなるなら連絡してね」
そんな声かけの一つや二つ できたのではないのだろうか。
何もしなかった。
僕は何もしてなかった。
だけど、怖かった。
青ちゃんを好きに なるのではないかと。
また、帰ってこなくなるのでは ないのだろうかと。
僕は、一人になるのではないかと。
その恐怖心だけで、
___彼に暴力を振るった。
桃
気づいた時には、彼は床に倒れ込んで 何も言葉を発しなくなっていた。
僕がやったんだと思うと、それは それで怖くてたまらなかった。
だけど、ようやく本当の 愛し方を見つけた。
黄
桃
黄
桃
桃
黄
これが、愛するということなんだ。
きっと。
いや、絶対に。
「死にたい」
たった四文字送られてきたあの日から 俺の人生は変わってしまった。
大切な友達を失いたい者はいない。
俺は彼を失いたくないはずだった。
だから、家に行った。
たくさん話を聞いて、ご飯だって 彼のために作った。
一人では危険だと思い、 「一緒に住もう」と提案した。
それらは全て、一人の 友達としての行動だった。
恋愛感情など、一切 含まれていなかった。
だけど、ある日彼に告白された。
告白されたことは純粋に嬉しかった。
俺を好きでいてくれる人など、 一生に数人だ。
ただ、俺の彼に対する恋愛感情は ゼロと言っていいほどだった。
しかし、元はと言えば恋人と別れて 気分が激しく落ち込んでいた彼。
断ると言う選択肢を、 俺は考えられなかった。
それが間違いだったのかもしれない。
彼との関係が変わって、恋人として 暮らし始めると、彼に対して 好意を抱くようになった。
友達としての好意ではなく、 恋人として。
好きになるほど、彼の良いところも 悪いところも見えてくるわけだが、 そこも含めて好き、というのが 恋人というものだろう。
あの日までは。
俺は青と遊ぶ約束ができた。
彼と付き合ってからは友達と 遊ぶことがなかったから、 青が初めて。
嫌がるかもしれないと思ったが、 青だったら共通の友達なので 問題ないだろう、と考えた。
実際、遊ぶこと自体は問題なく、 青も俺も、単純に友人として 密な時間を過ごした。
最後に会ったのはまだ大学生だった 青も、今は社会人として働いている。
そんな時の流れが惜しくて、 夜遅くまで青と酒を交わしながら 色んな話をした。
しかし、やはり時の流れは残酷で、 終電が近づいてきていた。
お互い明日のことを考え、 日を跨ぐ直前に解散になった。
あの時、もっと早く帰っていたら 俺の運命は変わっていたのだろうか。
家に帰ると、彼は玄関で待っていた。
様子がおかしかったので、 名前を呼んでみた。
桃
黄
恐ろしいほど低い声だった。
怒ってるんだ。
咄嗟にそう思った。
黄
桃
確かに、連絡くらいしてもよかったと 思った俺は、素直に謝った。
黄
桃
黄
桃
怪しまれることは何もしていないのに 言葉に詰まってしまった。
それが、彼の地雷を踏んで しまったのだろうか。
黄
桃
黄
黄
桃
黄
黄
桃
何が起こったのか、最初は全く 理解が追いつかなかった。
でも、床が目の前にあることに 気づいた時、彼に 殴られたことを理解した。
黄
桃
黄
桃
桃
黄
桃
桃
黄
桃
黄
殴らなくなったと思ったら、 今度は質問責め。
頭がおかしくなりそうだった。
詳しく覚えていないところまで 聞いてくる彼に、疲れてしまったのか 何なのかもう覚えていないが、
素直に答えることをやめた瞬間が あったことは覚えている。
その瞬間、彼は殴るだけの ロボットのようになり、俺を ただただ殴り続けた。
壁に押し付けられ、膝で腹を 抑えられたまま、ひたすら殴られる。
「やめて」などという俺の悲痛な声は 彼に届くはずもなかった。
桃
何十分。いや、何時間だろうか。
俺の体は、もはや抑えられなくとも 抵抗する力すらなくなり、 床に倒れ込んで殴られ続ける サンドバッグにすぎなかった。
いつ終わるのかわからない 地獄の時間が終わるのを、 ただひたすら待っていた。
黄
殴らなくなったと思えば、彼は またそんな質問をしてきた。
ここで「好きではない」なんて言えば また殴られるかもしれない。
もう、それしか考えられなかった。
桃
話す気力も体力もなかった俺は、 頷くことで表現した。
「口で言えよ」
そう低い声で言い放つ彼が、 俺にとっては恐怖でしかなかった。
桃
桃
実際に自分が思っているかなんて どうでも良かった。
とにかく、彼に従うだけ。
従わなければ、命まで なくなりそうだった。
黄
彼からのキスには、もう ときめかなかった。
僕はまた、恋人を 束縛するようになってしまった。
でも、これはただの束縛ではない。
桃くんと僕が幸せでいるための 束縛なんだ。
これが、正しい愛し方なんだ。
黄
桃
黄
桃
本当はずっと一緒にいたいけど、 あいにく僕には仕事がある。
今日も、僕は彼と約束して家を出た。
“今日からは家から出ないように”
殴られたあの日、彼はそう言った。
俺が失いたくなかった彼は もういないのだと、その時悟った。
黄
桃
今日もまた、その言い残して 彼は家を出ていく。
俺は彼にとって何なのだろう。
そんなくだらないことを考えながら、 することもなく俺は 自分の部屋へ向かった。
桃
こんなことをしても 意味がないことくらいわかっている。
でも、こうでもしないと気持ちを 保っていられないのも事実だ。
無心で、ただ自分の腕を傷つける この時間だけが、自分の存在を 確かめられる唯一の方法だった。
傷つけても傷つけても、彼に 心配されることはない。
気づかれることもない。
彼にとって、俺は その程度の存在なんだ。
そう思った。
黄
桃
黄
彼は帰ってきて早々、 俺にそう問いかける。
桃
嘘偽りない、真実だった。
それなのに。
黄
桃
黄
黄
桃
彼が見せてきたスマホの画面では、 俺は外にいたことになっていた。
黄
桃
桃
桃
桃
殴られたあの日から、あまり自分の 感情を彼に見せないように してきたが、久しぶりに自分の言葉で 自分の思いを伝えた。
黄
桃
黄
桃
俺が何を言っても、彼には伝わらない 状態にあることがすぐにわかった。
もう、無駄な抵抗などする気も 起きなかった。
黄
彼に連れて行かれた場所は 地下室のようなところだった。
桃
この家にこんな場所があるなんて 知らなかった。
頭がはてなで埋め尽くされていると、 彼はまた俺の名前を呼ぶ。
黄
黄
彼が指差すのは、手錠やら 鎖やらがついた何とも不気味な椅子。
これから何をされるのか、 すぐにわかった。
桃
黄
桃
抵抗しても無駄だとわかっているのに これからを想像するだけで無意識に 抵抗してしまう自分がいた。
黄
桃
「まだわからないんですね」
そう言って彼は俺に近づいてくる。
そこらへんのホラーゲームなんかより ずっと怖かった。
だから、逃げた。
さっきこの部屋に入ってきた 扉に向かって、全力で走った。
でも、彼はなぜか 追いかけてこなかった。
諦めたのかと思った。
だけど、違った。
ドアノブに手をかけた瞬間気づいた。
鍵がかかっていることに。
そして、開けられるのは 彼だけだということにも。
黄
黄
黄
桃
黄
黄
不敵な笑みでそう言うと、こちらに 近づいてきてそっと俺の手を握った。
もう逃げられない。
そう思った。
そこから、“躾”という名の 暴行が始まった。
殴る、蹴るはもちろんのこと、 強制的に性交させられた。
いわゆるレイプ、ってやつだ。
付き合う前も、付き合ってからも したことがなかったのに、 まさかこんな形になるとは 思ってもいなかった。
彼いわく、これは“躾”であり、 俺のためなのだという。
“躾”の間、彼はずっと同じ質問を 俺にしていた。
黄
黄
何度も何度も、繰り返し質問された。
何度も何度も、同じように答えた。
答えざるを得なかった。
「好き」
「逃げたりしない」
と。
“躾”が終わった頃には、俺の感情など ほとんどなくなっていた。
怖かっただけ。
バグかもしれないことなんて わかってた。
当たり前だ。
暴力を振るったあの日から、彼は僕に 抗うことをしなくなったのだから。
だけど、本当に外に出ていたら?
もう二度と、戻ってこなくなったら?
また、逃げられてしまったら...?
それしか頭になかった。
だから、僕はまた彼を正しく愛した。
今度は、“躾”という形で。
彼を部屋に連れ込み、こだわりの 椅子へ座るように指示した。
だけど、彼は珍しく拒んだ。
拒まれるなんて思っていなかった。
だけど、もう怖くなんてなかった。
なぜなら、もうすでに鍵は かかっているのだから。
逃げる彼を見ていると、思わず 笑みが溢れる。
黄
黄
黄
君も、僕も。
桃
黄
黄
これは、彼のためなんだ。
これが、彼への愛なんだ。
僕も、好きで殴ったりしている わけではない。
では、何のためにやっているのか。
そう問われると、上手く 理由を言語化できない。
怖い。
逃げられたくない。
失いたくない。
愛し合いたい。
どれもこれも正解で、 実際にはこれといった理由は 存在していないのかもしれない。
殴る蹴るばかりでは可哀想だと 薄々感じていた。
そこで、考えた。
彼を犯そう、と。
本当は、こんな形でなんて やりたくなかった。
当たり前だ。
彼とはこれが初めてだったのだから。
無理やりしたのは失敗だった。
誰も快感など得ない。
ただただお互いに傷つくだけだった。
だけど、彼も僕も興奮していたのは 事実で、やはり僕の愛し方は 正しいのだと思った。
黄
そう聞くと、必ず彼は 「うん」と答えた。
黄
何を質問しても、何度質問しても、 彼の答えは必ず「うん」だった。
違う。
僕が求めていたのは 肯定でも賛成でもない。
「好き」という一言だ。
僕のことを好きか聞いたら、 どこが好きかまで答えてほしい。
逃げないかどうか聞いたら、 「好きだから逃げたりしない」と 答えてほしい。
たったそれだけだった。
最後にもう一度だけ、確認した。
僕のことを愛しているか、と。
彼の答えは、「うん」だった。
黄
桃
あの日以降、僕が名前を呼ぶだけで 怯えるようになった。
僕のせいなことはわかる。
でも、僕のどこが ダメなのかわからない。
怖がることをしたつもりはないのに。
彼を想っているのに。
僕は、ちゃんと愛しているのに。
黄
桃
名前を呼ばれただけなのに、思わず 体がビクッと震えてしまう。
何をされるわけでもない。
それはわかっている。
黄
桃
反応の一つでさえ、彼の逆鱗に 触れてしまうのではないかと 声が震える。
黄
桃
黄
桃
黄
黄
桃
パタン、とドアが閉まる音だけが 部屋に響く。
俺はまた、いつものように 自分の部屋へと向かった。
桃
毎日こんなことをして 何になるのだろう。
死ねたら楽なのかな、なんて。
桃
「死にたい」
気づけば、青に無意識に そう送っていた。
まさか俺が送ることになるなんて 思ってもいなかったけど。
まあ、すぐに返事なんて 来るわけもないけど、なぜ 俺はこんなにも何かを 待ってるのだろう。
返事がほしいわけではない。
かと言って、 助けてほしいわけでもない。
...ああ、わかった。
もう答えは出ていたんだ。
俺は...
桃
なぜ今まで思いつかなかったのか。
こんなに簡単なことだったのに。
もっと早く気づいていたら、 こんなに苦しくなかったのに。
もう何も怖いものなどない。
外の世界へと、一歩踏み出した。
外に出たのは何週間ぶりだろうか。
いや、何ヶ月か...?
とにかく、久しぶりだ。
桃
太陽を浴びることができることが こんなに幸せなことなんて、今まで 気づきもしなかった。
何も気にせず外を歩いて
この先を考えることも しなくていいなんて
今の俺からすれば嬉しくて仕方ない。
桃
音を鳴らしながら震えるスマホを 手に取り、画面を確認する。
桃
青からの電話だった。
出るか出ないか迷ったが、 出ないことにした。
今出てしまったら、 死にきれなくなりそうで怖かった。
「生きたい」と 思ってしまいそうで怖かった。
だから、電源を切った。
もう、誰のことも気にしなくて 良いように。
最後くらい、自分の意思で 生きたいから。
どうやって死ぬか散々考えた結果、 結論を出す前に海に来ていた。
何度も彼と訪れた海。
友達だった頃も、 恋人になってからも、彼とたくさん 思い出を作ってきた場所。
...なんて、また彼のことを 考えている俺はおかしいのだろうか。
桃
この先もずっとこの景色を見ることが できるのなら、どんなに幸せだろう。
世界はこんなに広くて美しいのに、
俺は目の前しか見ることができない。
彼と普通の関係でいられたら。
あの時、友達のままだったら。
まだこの先もこの景色を見ることが できていたのだろうかなんて くだらないことを考える。
ずっと海を眺めていると、色々 考えてしまうし、
ここにいると、これからも 生きたくなってしまいそうで 怖くなってきた俺は、そっと 海に近づいた。
桃
いざ入ろうとすると、足がすくんで なかなか一歩踏み出せない。
でも、もう決めたから。
今日ここで命を終えると。
桃
そう海に告げ、俺は一歩、また一歩と 海へと足を踏み入れていった。
桃
苦しい。
あんなに美しい海が、こんなにも 簡単に人を殺せる武器になるなんて 信じられない。
でも、あの景色の一部になれるのならそれでいいのかもしれない。
意識を手放しかけた、その時だった。
...みくん!さと...ん!
誰かが俺を呼んでいる。
幻覚なのだろうか。
それとも、走馬灯だろうか。
桃く...!手を...って!
なんだ...?
桃くん!手を取って!
もしかして...現実なのか...?
桃
必死に手を伸ばしてみると、 その手を思い切り引っ張られた。
桃
引き上げられた先にいたのは
青
青だった。
桃
夢が現実かわからなくて、 とりあえず名前を呼んでみた。
青
青
その元気で明るくて少し掠れた声は、 紛れもなく青だった。
桃
なぜ、今ここにいるのか。
なぜ、居場所がわかったのか。
なぜ、助けてしまったのか。
全てが含まれた「なんで」だった。
青
青
桃
桃
桃
青
青
桃
青の発言で、確かに 青ともよくこの海に 来ていたことを思い出す。
桃
青
桃
桃
桃
青
桃
桃
本当はわがままだなど思っていない。
ただ、死にたかったのは事実で
どうして生かしてしまったのかと
どうして助けてしまったのかと
そう思っているのも事実で
このまま生きていくのは 生き地獄だと言うのも、本音だった。
青
青
青
青
青
違う。
頼りなかったわけでも、 我慢したかったわけでもない。
俺には...彼がいただけ。
彼という存在が、俺を消していた。
それだけ。
桃
青
桃
本当のことを言って良いのだろうかと 俺を不安が埋め尽くす。
青
桃
青
桃
青
青
桃
俺は、全てを話した。
彼に今までされてきたこと。
もう、限界だったことも 全部、話した。
青
青
「ありがとう」なんて言葉を 久しぶりに言われて、それだけで なんだか泣けてきた。
桃
青
スマホから音が聞こえ、画面を 確認すると、青ちゃんから 電話が来ていた。
ちょうどお昼休憩だったので、 僕は電話に出ることにした。
黄
青
黄
青
黄
黄
青
青
黄
黄
青
青
黄
青
青
黄
黄
通話
05:25
ぶつっと切れた電話。
ツー、ツー、という音だけが 虚しく僕の耳に響いている。
とにかく帰らないと。
その気持ちだけで、僕は説明も ほどほどに、退勤した。
急いで帰宅すると、玄関には 青ちゃんが待ち構えていた。
黄
青
冷たかった。
知っている。
青ちゃんはそう簡単に冷たい言葉を かける人ではないということを。
だからきっと、 怒っているのだとすぐに思った。
青
僕は素直について行くことにした。
青ちゃんについて行った先には、 彼がいた。
黄
ベッドで眠る彼の目は腫れていて、 泣いたことがわかった。
青
青
黄
そんなの、好きに決まってる。
愛している。
黄
黄
青
黄
青
青
「ごめんね」と彼に一言かけ、 彼の服をめくる青ちゃん。
そこには、アザだらけの腹や 傷だらけの腕があった。
黄
青
黄
バレてしまった。
咄嗟にそう思った僕は、やはり クズなのかもしれない。
青
青
黄
青
黄
黄
黄
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青
黄
青
青
僕の愛を馬鹿にされていると思った。
黄
黄
青
青
青
黄
こんなに声を荒げた青ちゃんを 見るのは初めてだった。
黄
黄
黄
黄
黄
黄
黄
黄
青ちゃんはしばらく黙っていた。
少し目が潤んできたと思うと、 大粒の涙が一つ、青ちゃんの 頬をなぞった。
青
青
青
青
青
青
青
僕の愛し方が...間違ってる...?
これは...愛じゃない...?
嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ。
これが愛なのに...!
やっと見つけた...愛し方なのに...!
黄
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黄
黄
黄
黄
黄
青
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黄
桃
黄
目を覚ますと、彼が泣いていた。
彼が泣きながら話す内容で、 俺は初めて、彼の気持ちを知った。
桃
黄
驚いたように顔を上げた彼の目は、 友達だったあの頃と 変わらない目だった。
黄
黄
黄
深々と頭を下げる彼に、 俺はなんと声をかけたらいいのか わからなかった。
桃
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青
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桃
桃
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黄
桃
君がいてくれることが、 俺にとっては“愛”なんだから。
黄
桃
正しくなくても良い。
僕は僕なりに、彼を愛していく。
いや、彼と一緒に、愛を育てていく。
『愛し方』