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威榴真side
春緑すち
春緑すち
気が付くと、須智と夏都は 怒涛のアイデア出しを 終えていた。
紫龍いるま
後の作業のことを考えながら もう半分で絵の調達方法に ついて考えてみる。
須智が描く絵も美術部に 顔負けしない程上手いが、 撮影の時間などを考えたら 絵を描く時間の確保は 難しそうだ。
後輩の中には小道具などの 美術を専門に手がける 器用な人間もいる。
だが2人が彼の名前を 挙げないということは イメージに合わないと 思っているのだろう。
紫龍いるま
そこまで考えてふと、 蘭の顔が脳裏に浮かんだ。
昨日練習ではあったが 告白してきた彼女は 間違いなく恋する女子だった。
いっそ知らない人に 見えるくらいに。
紫龍いるま
俺の呟きに、2人が 弾かれたように顔を上げる。
そして同時に 「それだ!」と叫んだ。
赤暇なつ
紫龍いるま
赤暇なつ
赤暇なつ
赤暇なつ
赤暇なつ
何となく言いたいことは 分かるが、素直に受け止めるには 少し気恥ずかしかった。
反応に困っていると くすくすと笑いながら 須智が言い換える。
春緑すち
紫龍いるま
春緑すち
春緑すち
今度こそストレートに 言葉を投げ込まれ、 俺は堪らず俯いた。
須智も夏都も一緒になって 「そこが威榴真の持ち味だよな」 と満足げに頷いている。
紫龍いるま
話題を変えよう。 でないと憤死する。
特にプランもないまま 俺が衝動的に口を開いた矢先 部室のドアがノックされた。
紫龍いるま
ドアを開けようと 腰を浮かせたが、 もしかしてと思いとどまる。
夏都も腕時計を見やり 来客に思い当たったのか 「あぁ」と呟いた。
赤暇なつ
思わせぶりの笑顔を向けられ 須智がむすっとした顔になる。
紫龍いるま
俺が肩を竦めたのを 合図だったかのように 須智が夏都にデコピンを お見舞いした。
赤暇なつ
春緑すち
夏都のことは華麗に スルーして、 鞄を肩にかけた須智が ドアへと向かう。
ガガッ、ガゴッン
立て付けの悪いドアが 相変わらずの騒音と 共に開く。
何気に視線を送ると 忠犬ハチ公よろしくの 桜黄 美琴が立っていた。
桜黄みこと
春緑すち
紫龍いるま
春緑すち
どことなく嬉しそうな 須智に声を掛けると ひらひらと手が振られた。
再び騒音を立てながら ドアが閉まり、 脱力したように 夏都が机に突っ伏す。
赤暇なつ
感心したような夏都の 呟きに同じく気付いていた 俺が頷く。
紫龍いるま
赤暇なつ
紫龍いるま
赤暇なつ
まだ机と仲良くしてる 夏都が投げやりに答える。
紫龍いるま
それとなく理由を 聞いてみようと思った矢先 夏都の方から 声をかけられた。
赤暇なつ
紫龍いるま
思いもよらぬ方向から 飛んできた質問に 俺は目を白黒させる。
端から答えは 求めていなかったのか 夏都は自分から 正解を告げた。
赤暇なつ
「片思い」
口の中で繰り返すと ぎゅっと心臓を 掴まれたように痛んだ。
その痛みで蘭への 想いを実感させられる。