僕は6歳。小学一年生だ。
今日は新しくできた友達の家に行く。
奏
楽しみっっっ!
奏
楓ちゃんの家に行くの、初めてだもんな。
てくてく
奏
着いた!
ピンポーン
颯
あ、奏くん!!
颯
中入ってー
奏
うん!
颯
あ、ちょっとまって
颯
こんな所に可愛い人形が落ちてる…。
颯
交番に届けよう
奏
もらっちゃえ!
颯
でも…。
奏
誰にもバレないよ。それに、これすっごく可愛いし
颯
そ、そうだね
颯
それじゃ、もう中に入っていいよ
奏
おじゃましまーす
奏
ここが楓ちゃんの家!
奏
何して遊ぼう
颯
…
楓は虚ろな目で人形を見ている。
奏
大丈夫?
颯
ダイジョウブ
奏
いつもの楓ちゃんの声じゃないよ?本当に大丈夫?
颯
ダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブダイジョウブ
楓は人形を見つめ、尚も言葉を呟いていた。
奏
ひっ!
僕は怖くなり家に逃げ帰ってしまった。
奏
ただいま…
30分後
母親
大変!楓ちゃんが倒れたんですって!今、楓ちゃんのお母さんから聞いたわ
奏
え
母親
救急車に運ばれたらしいの
奏
そ、それでどうなったの?
母親
意識は戻ったんだけど…。
母親
精神に異常が発見されて、今から精神科に入院するみたい
母親
人形だけを見て何かをずっと呟いているんですって
奏
(僕のせい…??)
奏
(僕が人形もらっちゃえなんて言ったから)
4時間後
母親
奏、悲しい知らせがある
母親
楓ちゃんが亡くなった…。
奏
嘘!
母親
急死だったらしいわ
母親
しかも、死んだ時に目玉が無くなっていたんですって
奏
(さっきのは…夢か。)
長い夢だった。
あの出来事は忘れたはず。 7年も前で、俺はもう中学生なのに。
なのにそのまま夢に出てきたなんて…
奏
(楓は、俺が殺したようなもの…)
奏
(生きてて欲しかった)
奏
(あの時あんな事を言わなければ。)
奏
(もし死んだ人に会えるのなら…俺はあいつに会いたい)
奏
(それで、ちゃんと謝りたい)
奏
(神様、楓に会わせてください)
母親
奏?起きてる?
母親
最近、この辺りで変な事件が多発しているらしいわ
母親
鳥や犬が殺されるんですって
母親
しかも目玉をくり抜かれて…。
奏
犯人は捕まったの?
母親
それがね、まだなのよ
母親
奏も気をつけなさい
奏
はーい
8時半
奏
もうこんな時間か。学校行ってくるよ
母親
行ってらっしゃい!
てくてく
奏
ん?
そこには、目玉をくり抜かれたハトがいた。
奏
これが例の変死体…
??
コロスコロスコロス
??
ニンギョウ。アノニンギョウガ
??
ワタシノメダマヲクリヌイタ
奏
(なんだあの人!血が付いた包丁を持ってるじゃないか)
奏
(まさかアイツが動物を殺して…?)
奏
(しかも変なこと言ってるぞ?!人形が目玉をくり抜いた…?)
??
コッチヲミルナ
そういって振り返った犯人の顔は、あのころと変わらない楓の顔だった。
奏
ぎゃああああああ!
あれは本当に楓だったのだろうか。
死んでいるはずの楓がこの世に居る訳がない。
俺が楓に会いたいと願ったからなのか。
どうせ、確かめる術は無いのだけれど………
もし死んだ人に会えるのならば、貴方は誰に会いたいですか。
それがどんな形でも良いのなら…。