令
……兄貴。
令
リビングにいるとか珍しいね
類
今日は母さんが遅いからね。
類
代わりに僕がご飯を作ろうと思って
令
親父と同じぐらいに帰ってくんだっけ?
類
そうだよ
類
さて、令はなにが食べたいんだい?
令
なんでもいいよ
類
それなら今日はハンバーグにしようかな。
令
え、作れんの?
類
玉ねぎは入れないけどね
令
………あっそ。
令
コンビニ行ってくるわ。
令
サラダ買ってくる
類
サラダかい………
類
いってらっしゃい
店員
いらっしゃいませー
私は言ってしまえば家族が苦手だ
天才揃いの中、 私だけ特筆すべきものがない。
兄は天才だ。
だから、友達からよく比較された。
それが嫌だった。
親も気にしないでとか言うけど
私以上の才を持つ3人に 言われるのだけは嫌だった。
哀れに思われてんだろうなって ただの被害妄想だった。
令
……これで全部にしとこ
令
これでお願いします
私は、天才じゃない
実際は、なんでもできる。
なにをしても筋が良いって言われる
けど、全部合わないんだ
色んなことに手を付けるけど、
なんだって、やり遂げた試しはない。
なんでも出来るはずなのに、宝の持ち腐れ
浅く広くの人間になった
生活になんの影響もない
むしろこっちの方が便利なはず
なのに
店員
レジ袋はご利用になりますか?
令
いりません
なのに
なにも出来ないから、 私は存在価値を見失ってた。
だから、
劣等感を感じるしか私は出来なかった
店員
ありがとうございましたー
令
(……ちょっと買いすぎちゃったな。)
令
………あ、
令
寧々さんだ。
寧々さんとは兄貴の幼馴染みというやつだ
寧々さんが来る度、 私が丁度家に居なかったり
寧々さんの人見知りがすごく、 私とはあまり関わらなかったからだ。
だが最近は少し話すときがある
今、あっち側は気づいていないらしい。
令
……入るか、家。