テラーノベル
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藤澤涼架side.
僕には、人の心を聴くことが出来る、不思議な力がある
小さい頃から、ずっと
それを小さい頃は、よく使って無双してた
ジャンケンで相手が出す手を聴いたり、
嫌いな先生の心の中の愚痴を聴いたり
小さい頃は、自分が “聴きたい”と思った人の、 “聴きたい”ときに心を聴くことができた
『よし、パー出そ。俺の無敵のパー!!』
『今年のクラス替えまじで最悪だ』
『今日の夕飯は炒飯かしら。お米が有り余ってるわ』
『明日はお義母さんの誕生日か。面倒くさいな』
友達、先生、お母さんにお父さん。
とにかく沢山の人の心の声を聴いた
「エスパーみたいだね!」 「なんでわかったの!?涼架」 「藤澤くんすごい!」
そういろんな人から言われるたび、勝手に誇らしくなってた
だから毎日毎日その力を使った
朝起きてお母さんの心の声を聴いて
学校に行く途中も友達の心の中を聴いて
授業中も、休み時間も、放課後も__
でも、これが駄目だったんだと思う
僕は“聴きたい”と思わなくても心の声を聴けるようになった
まだ何も知らなかった僕は。素直に喜んだ
いちいち聴きたいって思わなくていいなんて、ラッキーって。
でもそれは、大きな大きな間違いだった
ーー
中学校の時、「髪型可愛いね」って言った女の子
『男なのに、気色悪』って、心の中で言っていた
高校生の時「歌上手いのね」って褒めてくれた先生
『まあ一年の大森君の方がうまいけど』って心の中でぼやいてた
聴きたくないのに聞いてしまう
聞こえてくるみんなの心の声は、僕の心を確かに削っていく
こんなのことになるんなら、こんな力、いらなかった
最初から、ずっと間違ってたんだ
そして、僕は大学生
力はまだ継続されている
『今日も女みたいな格好してる。きも』
『わー、今日も安定のおかま』
『初めてみたけどあの人男だよね…』
『髪型ダッサ』
『付き合うとしてもあの人は無理…』
『げ、今日あいついる。来なきゃよかった』
『変な格好。普通にしてればいいのに』
『みないみない。気持ち悪いだけ』
大学に足を踏み入れると聴こえてくる心の声
カラフルなものが好きで
女の人みたいなふわっとした輪郭の洋服が好きだった
髪の毛も短いより長い方が好きだった
毎朝自分で髪を整えて、今日の髪型を考える時間が好きだった
中学高校も、髪型や服のことで色々言われてきた
でも、大学は大丈夫なんじゃないかって
思ったけど、その希望は打ち砕かれる
でも、大学は、ひとつだけ__違うところがある
それは__
fjsw.
『気持ち悪い気持ち悪い。なんでこんな格好してんだよ』
それは、
心の中で僕を気持ち悪いって言ってるのに
僕に喋りかける人が沢山いること
きっと社交辞令、お世辞ってことを学んだんだと思う
上部だけの笑顔で
今日も洋服きまってるね、なんて。
嘘だって全部バレてるんだってば
あー、ほんと、嫌になる
でもそれをみんなに言うつもりはなく
ただ単位をとって大学生活を送る日々
友達のいない僕はキャンパスライフなど無い
人の上辺と内面の差に苦しみながら生きていた
そんな、ある日のこと
『わ、ぁ…!あの人、藤澤涼架さんだよねっ…?!』
fjsw.
そう言いながら振り向くと、後ろにいた子はびっくりした顔をした
『なんで、この人、僕だってわかったんだろ…』 『いや藤澤涼架さんだっては思ったけど…』
その子の心の声が聞こえて、しまったと唇を噛む
心の声に反応して声かけちゃった、最悪
その子はよく見ると、とても綺麗な男の子だった
黒くて絹みたいな髪
陶器みたいにつるつるで白い肌
しなやかなライン
『でも、話せて嬉しいな、仲良くなれないかな…』
そんな心の声が、また聞こえた
__これが、彼と僕との出逢いだった
喋れない君と心を聴く僕の物語. StaRt.
こんにちは
連載ばっか増やしてすいません。 めっちゃ書きたくなったんです
涼ちゃんが主人公です! 涼ちゃんと出会った“彼”誰でしょうねぇ… 当ててみてくださいね!
♡&💬よろしくお願いします
それではまた
コメント
7件
涼ちゃんだったか! 続きが気になるような終わり方してて好き神
涼ちゃん主人公✨️めっちゃ嬉しいです🥹🫶🏻おそらく彼は、皆さんが予想している通り、大森さんと思います…🤔💭次の話も楽しみなので、ブクマさせていただきます🙇♀️
やったぁ涼ちゃん主人公だー!! 新作も最初からもう面白すぎる!これはこれからの展開が楽しみだ…🥰️ えー誰だろ?特徴的に大森さんかな…!?えでも若井さんでもいいな!(?)