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ある日の放課後。 僕はいつも通り、鞄を持って教室を出た。 特に予定もなく、そのまま家に帰るつもりだった。 一階の下駄箱で上履きを脱ぎ、外靴に履き替えようとした、そのとき。
神宮寺郷美
突然、後ろから明るい声が聞こえた。 びっくりして、思わず肩が跳ねる。 僕に話しかけているのか分からなくて、ゆっくり振り向いた。
佐藤優斗
振り向いた先には、僕よりも背の高い女の人が立っていた。 黒色の髪がふわっと揺れていて、どこか目を引く人だった。 知らない人だ。 でも、その人はまっすぐ僕を見ている。 その女の人は、にこっと笑って言った。
神宮寺郷美
いきなりの質問に、頭が少しだけ真っ白になる。
佐藤優斗
本当は、そこまで深く考えたことはなかった。ただ、なんとなくそう答えてしまっただけだ。 すると、その人の目が一気にキラキラと輝いた。
神宮寺郷美
次の瞬間、僕の両手がぎゅっと掴まれる。 近い。距離が、近い。 人と目を合わせるのが苦手な僕は、思わず視線をそらした。
佐藤優斗
半分押されるような形でそう答えると、彼女はさらに嬉しそうに笑った。
神宮寺郷美
佐藤優斗
なんだか勢いに飲まれている気がする。 でも、不思議と嫌な感じはしなかった。 ふと、気になって僕は口を開いた。
佐藤優斗
彼女は少し考えるように首をかしげてから、にこっと笑った。
神宮寺郷美
佐藤優斗
そう答えると、彼女は満足そうにうなずき、手をひらひらと振りながら歩き出した。 その背中を見送っていたけれど、どうしても聞いておきたいことがあって、思わず声を張る。
佐藤優斗
彼女はぴたりと足を止め、振り返った。
神宮寺郷美
まっすぐな視線に、少しだけ息が詰まる。
佐藤優斗
一瞬きょとんとしたあと、彼女は明るく笑った。
神宮寺郷美
佐藤優斗
少し噛みそうになりながら名乗ると、郷美さんは僕の名前をゆっくり口にした。
神宮寺郷美
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が小さく跳ねた。 ドキッ、と心臓が強く鳴る。 どうしてこんなに緊張しているんだろう。
名前を褒められただけなのに。 それだけのはずなのに、顔が少し熱い。 ……もしかして。 これが一目惚れ、というものなのだろうか。